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第1章

62.この世界で。

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アミュートとケインと沢山話し、沢山もふもふし、癒されすぎた頃ケインに『そろそろもどるのじゃ』と言われ俺は目を覚ます。
目を覚ますと傍にはアミュートが居て、ガイさんたちは見当たらない。

『ユキ、大丈夫?』
「だ~ろうぶらよ……あ!にょろにゃおってりゅ!」
『創造主様がさっき言ってたでしょクスクス。でも良かったね』

そういえば、帰らされる時ケインが『もうそろそろ体も回復した頃じゃろう。』と言われた。
聞けばケインの力の消費理由は、眠っていない俺を強制的に夢の世界(?)に連れてきたからではなく、体と魂の修復と定着を早急に行うためだったそうだ。
だからケインは心の声を聞くというの事が出来なくなり、俺はいつもより長い時間あの空間で過ごすことが出来たというわけだ。
てっきり癒されるためだと思った。

『ユキ、じゃあ僕はそろそろ戻るね』
「え?!しょばに、いちぇくりぇにゃいにょ?」
『…そろそろ守り人達が戻ってくるよ。僕がいたら困惑するでしょ』
「にゃんれわかりゅにょ?」
『音。階段を上ってくる音が聞こえるから』
「にゃるほりょ、じゃ、いーよ」

するとアミュートは微笑み、光のつぶになり消えた。右耳が暖かくなり、そこにアミュートがいるのだと思うと何だかほわほわした気持ちになりピアスに触れる。
すると嬉しいという気持ちだけがそこから流れてきて、きっとアミュートの感情だろうなと思い、撫でるようにピアスを触った。

そんなことをしていると、足音が聞こえてくる。
きっとさっきアミュートが言ってたように3人が戻ってきたのだろう。

「…ユキ起きてるかな」
「心配だな…」
「医者…は呼んでも仕方ないよな」
「まだここにいるだろ?」
「帰る時は声かけるって言ってたからまだ帰ってないと思うよ」
「だよな…」

扉の傍でそんな話し声が聞こえてきた。やっぱり3人だなと思っていると静かに扉が開き、3人が俺に気を使ってか足音を立てないよう静かに入ってきた。

「にょあしゃん、ぁいしゃん、りゃいしゃん」

そう声をかけると、3人が静かに、でも急ぎ足でそばまで来てくれた。

「ユキ…!大丈夫か?もう起きて平気か?」
「ユキ…!どこか辛いとこはないか?まだ喉は痛いか?」
「ユキ…!まだ気持ち悪い?吐きそう?喉痛い?お水飲む?」

3人が同時に話始め、聞き取れたのは初めの3人の「ユキ…!」の部分だけ。
そこだけ3人はセリフもタイミングもピッタリで聞き取れたが、あとは何を言っているのか分からない。
でも俺のことを心配している内容だと言うのは分かる。

「あにょ、いっきに、しゃぇりゃにゃいれ。わかんにゃいかりゃ」
「あ、すまん」
「あ、ごめんな!」
「あ、ごめんね」

「もう、りょこも、ちゅりゃくにゃいよ!けぇんき!」

そう力拳を作り伝えると、3人は心底ほっとしたという表情をした。
そんなに心配してくれていたなんて、申し訳なかったな…と思う反面とても嬉しい。

僕は本当にこの世界に来てよかったと思った。この世界では神様であるケインが父親のようなもので、大切にしてくれて。アミュートは俺の家族みたいな友達みたいな、そんなあたたかい関係のような気がして、念願のもふもふで。そして、俺にあって数日なのにこんなに心配してくれている人達がいる。

幸せだ。

俺に嫉妬や妬みの感情を持つ人。俺の事をアクセサリーか何かだと思い、中身を何も見ようとしない人。勝手に期待し幻滅する人。俺の事を騙した人。…もう何も俺を見てくれなくなった人。

今まで出会った、俺の…好きに、なれなかった人達はもうここには居ない。逆に好きだった人達とももう会えない。でも別にいい。

この世界で新たに築き上げていく人間関係。周りにいるのは神様の選んだ、信じても良い人たちに大好きなアミュート、そしてケイン。俺はこっちに来て2日で、もうこんなにも大好きになれる人達に出会えている。だからきっとこれからも大丈夫。

別に虚弱になったからって与えられたスキルが消えるわけじゃない。前向きに、この世界での幸せを見つけていこうと思う。











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