上 下
60 / 218
第1章

60.アミュートとケインのおもい。

しおりを挟む
どうやら異世界転生のお決まり物は付いているらしい。しかし新たに付いてしまった虚弱体質。正直これは不要だが仕方ない。今回のことは諦めるしか無さそうだ。

別にあの3人を責めるつもりはないし、もちろんケインの事も責めるつもりはない。
あの3人は、薬を飲みたがらない子供に工夫して飲ませようとしただけ。俺のためで起きた不慮の事故のようなもの。責めるなんてそんな意味不明なことはしない。もちろん、ケインのこともそうだ。つまり今回の件を誰かのせいにするのはお門違いもいいところということ。
諦める他ないのだ。不慮の事故。というかそういうものだったんだきっと。
力を与えられた俺に不満を抱く、別の神様がそうしたのかもしれない。と言うかもうそういう事にしとこう。

『他にもいろいろ付いておるが、その場その場で発覚した方がワクワクするじゃろ?儂はする。じゃからあとは内緒じゃ。』
「…お茶目だよね」
『それで、虚弱の件、本当にすまんかったな』
「ケイン」
『なんじゃ』
「おバカ」
『なんじゃと?!』

さっきも言ったが誰かを責めるのは間違っているのだ。だから、神様だろうがなんだろうがそんなことを考えるケインはおバカだ。

「誰も悪くないし、本人が気にしてないのに謝るのはおバカだよ。謝る相手の存在しないことに誤ってても仕方ないでしょ」
『……おバカなんて言わなくても良いじゃろうが…』
「それは言いたかったから。」
『はぁ…』
『僕、創造主様と、ユキのやり取り好きだな~』

ずっと存在を消していたアミュートが急に声を出し驚いた。
どうやらすぐ近くにいたようなのだが、完全に存在を消していて、全く気付かなかった。

「アミュート、居たんだね。ごめんずっと気付いてなかった」
『気配消してたから。』
『…正直わしも気にならんかった』
『意識を向けていなかったから気付かなかっただけでしょう?』
『確かにそうじゃが、それでも凄いぞ!』
『光栄です。ありがとうございます!』

元気で明るいアミュートの素の喋りも好きだが、神様に対しての敬語もとっても可愛くてかっこよくて素敵だ。
そう言えば俺はケイン、神様に対しての失礼すぎる言動では?

「ケイン、俺、もしかしなくてもめちゃくちゃ失礼?」
『なんじゃ?』

心配になって思わず質問すれば、なんじゃそれかと、笑われてしまった。

『お主に敬語じゃなくていいし、ケインと呼んでくれて構わんと伝えなかったか?』
「確かに言われたけどさ…でも、でもさ!」
『お主はわしの子だと言ってくれた。嬉しかったし、儂ももうそう思っておる。じゃからきにしなくて良いのじゃぞ』
「……ケイン!!嬉しい、ありがとう!」
『それにじゃ、アミュート、お主も別にそんなにかしこまらんでも良いぞ?』
『いえ、さすがにそれだけは承諾しかねます。』
「…」
『なぜじゃ?』
『創造主様、貴方がいたから私はユキを護ることが出来ますし、ユキに名前をつけてもらい可愛がってもらうことが出来ております。貴方に創っていただいたお陰でそれらがあるのです。ですのでどうかこの言葉遣いのお許しを……』
『…よかろう。お主も幸せになるのじゃよ。ユキに嫌気がさしたらいつでも言ってくるのじゃよ。お主もわしの子供のようなものじゃからな。特別な、わしの子じゃ。』
『ありがとうございます。』
「……ありがとう」

アミュートがそこまで思っていたなんて知らなくて、感動してしまった。
ケインの言葉も俺には失礼だけど、アミュートに対してはあたたかくて、嬉しくて左側がじんわりとあたたかくなる。
アミュートの幸せも願うケイン。アミュートの事を道具として見ていないのが、凄く嬉しい。
ケインが俺を守らせる為にと創造して生まれたから、正直そういう役割を求めていて、そういう役割としか捉えていないんじゃないかと思っていた。だから、そうじゃないとしれたことが凄く嬉しい。
まだこっちに来て2日目。アミュートと知り合って1日満たず。なのに、もう何十年目もの友達のように大好きで少し変な感じだ。







しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。

あっちゅまん
ファンタジー
黙示録の最終戦争は実際に起きてしまった……そして、人類は一度滅亡した。 だが、もう一度世界は創生され、新しい魔法文明が栄えた世界となっていた。 ところが、そんな中、冷凍睡眠されていたオレはなんと蘇生されてしまったのだ。 オレを目覚めさせた超絶ボディの超科学の人工頭脳の超美女と、オレの飼っていた粘菌が超進化したメイドと、同じく飼っていたペットの超進化したフクロウの紳士と、コレクションのフィギュアが生命を宿した双子の女子高生アンドロイドとともに、魔力がないのに元の世界の科学力を使って、マンガ・アニメを蘇らせ、この世界でも流行させるために頑張る話。 そして、そのついでに、街をどんどん発展させて建国して、いつのまにか世界にめちゃくちゃ影響力のある存在になっていく物語です。 【黙示録戦争後に残された世界観及び設定集】も別にアップしています。 よければ参考にしてください。

引きこもりが乙女ゲームに転生したら

おもち
ファンタジー
小中学校で信頼していた人々に裏切られ すっかり引きこもりになってしまった 女子高生マナ ある日目が覚めると大好きだった乙女ゲームの世界に転生していて⁉︎ 心機一転「こんどこそ明るい人生を!」と意気込むものの‥ 転生したキャラが思いもよらぬ人物で-- 「前世であったことに比べればなんとかなる!」前世で培った強すぎるメンタルで 男装して乙女ゲームの物語無視して突き進む これは人を信じることを諦めた少女 の突飛な行動でまわりを巻き込み愛されていく物語

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

最弱職テイマーに転生したけど、規格外なのはお約束だよね?

ノデミチ
ファンタジー
ゲームをしていたと思われる者達が数十名変死を遂げ、そのゲームは運営諸共消滅する。 彼等は、そのゲーム世界に召喚或いは転生していた。 ゲームの中でもトップ級の実力を持つ騎団『地上の星』。 勇者マーズ。 盾騎士プルート。 魔法戦士ジュピター。 義賊マーキュリー。 大賢者サターン。 精霊使いガイア。 聖女ビーナス。 何者かに勇者召喚の形で、パーティ毎ベルン王国に転送される筈だった。 だが、何か違和感を感じたジュピターは召喚を拒み転生を選択する。 ゲーム内で最弱となっていたテイマー。 魔物が戦う事もあって自身のステータスは転職後軒並みダウンする不遇の存在。 ジュピターはロディと名乗り敢えてテイマーに転職して転生する。最弱職となったロディが連れていたのは、愛玩用と言っても良い魔物=ピクシー。 冒険者ギルドでも嘲笑され、パーティも組めないロディ。その彼がクエストをこなしていく事をギルドは訝しむ。 ロディには秘密がある。 転生者というだけでは無く…。 テイマー物第2弾。 ファンタジーカップ参加の為の新作。 応募に間に合いませんでしたが…。 今迄の作品と似た様な名前や同じ名前がありますが、根本的に違う世界の物語です。 カクヨムでも公開しました。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。  けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。  思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。  ──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……? ※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。

処理中です...