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第1章

48.結局苦くて苦しいだけ。

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𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
前回同様吐く表現があります。









その後も何度か嘔吐き、体力も限界に近付いていた。

「うっ……はぁはぁ……」
「大丈夫か?もう何も出ない?」

うん。もう何も出ない。元々そんなに食べてないし、2回も吐いたらもうあとは気持ち悪くて嘔吐くだけ。

「ガイ、まだかな?」
「そうだな」

そう言いながら、ライさんは俺の服を着替えさせ、ノアさんは服と床にクリーンをかけ俺自身にもかけてくれた。

「うっ……うぅ……はぁはぁ…ふぅ…」
「まだ気持ち悪い?」
「きもちわりゅい……きもちわりゅい~~…グスッ」
「よしよし…」

2回も吐いて、何度も嘔吐いて、心も体も疲弊していて、涙もこぼれて、とても情けない感じになっていると思う。そしてまたそれが恥ずかしくて悔しくて。
俺15歳の男の子、思春期の男の子、そういうのに多感な時期なの。心は。だから、人前で吐くとか、昨日からさんざんしてるけど泣くとか、慰められるとか、正直少しきつい。
でも、この人たちは優しいなと思う。吐いても嫌がらないし、汚がらない。
今までだったら吐けば汚いと罵られ、殴られるものだったから。しんどいので吐いても、殴られて吐いてもどっちにしても吐いたら苦しいのに、さらに殴られ罵倒され、ヘロヘロな状態になった頃に、なぜ片付けないのかと怒られる。
そんな環境だったから、この人たちの優しさが染みる。武部さんは確かに優しくて、気付いた今はとても感謝している。でも、武部さんと過ごした時間はとても短い。それに気付いたのは昨日。だから、どうしても俺の考え方は今までされてきた行為が思考の基準になる。だってそれが今まで俺が築き上げてきた価値観だから。

「ユキ…!薬、買ってきたぞ」
「ガイ遅い!」
「すまん。何買えばいいのかわかんなくて、店員と悩んでたんだ。」
「で、何買ってきたの?」
「結局基本的になんでも聞くからってポーションになった。」
「…なのに何故遅かった?」
「初めに行った店含め、近くには売ってなかったんだ。だから、少し離れたところのを買いに行ったんだ」
「ポーション売ってないとかある?」
「なんか誰かが大量買いしてるとからしい」
「なんだそれ……まぁいいや、とりあえずユキに飲ませよう」
「そうだな…ユキ、苦しそうだな。飲めるか?」

え…まだ気持ち悪いのに薬飲むの?ポーションってなに?美味しい?不味い?

「ほら、飲め。…むりか?飲めば少し楽になると思うんだが」
「そうだな…ユキ頑張って飲め」

う~~やだな~……本でもよくポーションは不味いって書いてたし。まぁでもあくまで物語。実際そうとは限らないし…良薬は口に苦しって言うし…頑張って飲も!ガイさんがわざわざ買ってきてくれたし。

「~~~ごくっ、ごくごくっっ!」
ゔ~~やっぱり苦い、美味しくない。

目を閉じて一気に頑張って飲みほしたけど、苦くて気持ち悪い。
でも、さっきのお肉の味の濃さがその苦さで上書きされて少し薄れた。
……でもこれはこれで気持ち悪い。

「うっ……ゔぇ゙っ……はぁはぁ…ふっ…うっ…」

なんだよ。頑張って飲んだのに全然気持ち悪いの収まんないし、空っぽだった胃に入ったことで今飲んだポーション吐いたじゃん……。
飲まなきゃ良かった。何が良薬は口に苦しだよ。嘘つき。悪薬はもちろん苦しに変えるべきだ。







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