髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

文字の大きさ
上 下
48 / 218
第1章

48.結局苦くて苦しいだけ。

しおりを挟む
𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
前回同様吐く表現があります。









その後も何度か嘔吐き、体力も限界に近付いていた。

「うっ……はぁはぁ……」
「大丈夫か?もう何も出ない?」

うん。もう何も出ない。元々そんなに食べてないし、2回も吐いたらもうあとは気持ち悪くて嘔吐くだけ。

「ガイ、まだかな?」
「そうだな」

そう言いながら、ライさんは俺の服を着替えさせ、ノアさんは服と床にクリーンをかけ俺自身にもかけてくれた。

「うっ……うぅ……はぁはぁ…ふぅ…」
「まだ気持ち悪い?」
「きもちわりゅい……きもちわりゅい~~…グスッ」
「よしよし…」

2回も吐いて、何度も嘔吐いて、心も体も疲弊していて、涙もこぼれて、とても情けない感じになっていると思う。そしてまたそれが恥ずかしくて悔しくて。
俺15歳の男の子、思春期の男の子、そういうのに多感な時期なの。心は。だから、人前で吐くとか、昨日からさんざんしてるけど泣くとか、慰められるとか、正直少しきつい。
でも、この人たちは優しいなと思う。吐いても嫌がらないし、汚がらない。
今までだったら吐けば汚いと罵られ、殴られるものだったから。しんどいので吐いても、殴られて吐いてもどっちにしても吐いたら苦しいのに、さらに殴られ罵倒され、ヘロヘロな状態になった頃に、なぜ片付けないのかと怒られる。
そんな環境だったから、この人たちの優しさが染みる。武部さんは確かに優しくて、気付いた今はとても感謝している。でも、武部さんと過ごした時間はとても短い。それに気付いたのは昨日。だから、どうしても俺の考え方は今までされてきた行為が思考の基準になる。だってそれが今まで俺が築き上げてきた価値観だから。

「ユキ…!薬、買ってきたぞ」
「ガイ遅い!」
「すまん。何買えばいいのかわかんなくて、店員と悩んでたんだ。」
「で、何買ってきたの?」
「結局基本的になんでも聞くからってポーションになった。」
「…なのに何故遅かった?」
「初めに行った店含め、近くには売ってなかったんだ。だから、少し離れたところのを買いに行ったんだ」
「ポーション売ってないとかある?」
「なんか誰かが大量買いしてるとからしい」
「なんだそれ……まぁいいや、とりあえずユキに飲ませよう」
「そうだな…ユキ、苦しそうだな。飲めるか?」

え…まだ気持ち悪いのに薬飲むの?ポーションってなに?美味しい?不味い?

「ほら、飲め。…むりか?飲めば少し楽になると思うんだが」
「そうだな…ユキ頑張って飲め」

う~~やだな~……本でもよくポーションは不味いって書いてたし。まぁでもあくまで物語。実際そうとは限らないし…良薬は口に苦しって言うし…頑張って飲も!ガイさんがわざわざ買ってきてくれたし。

「~~~ごくっ、ごくごくっっ!」
ゔ~~やっぱり苦い、美味しくない。

目を閉じて一気に頑張って飲みほしたけど、苦くて気持ち悪い。
でも、さっきのお肉の味の濃さがその苦さで上書きされて少し薄れた。
……でもこれはこれで気持ち悪い。

「うっ……ゔぇ゙っ……はぁはぁ…ふっ…うっ…」

なんだよ。頑張って飲んだのに全然気持ち悪いの収まんないし、空っぽだった胃に入ったことで今飲んだポーション吐いたじゃん……。
飲まなきゃ良かった。何が良薬は口に苦しだよ。嘘つき。悪薬はもちろん苦しに変えるべきだ。







しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

簡単に聖女に魅了されるような男は、捨てて差し上げます。~植物魔法でスローライフを満喫する~

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
ファンタジー
ifルート投稿中!作品一覧から覗きに来てね♪ 第15回ファンタジー小説大賞 奨励賞&投票4位 ありがとうございます♪ ◇ ◇ ◇  婚約者、護衛騎士・・・周りにいる男性達が聖女に惹かれて行く・・・私よりも聖女が大切ならもう要らない。 【一章】婚約者編 【二章】幼馴染の護衛騎士編 【閑話】お兄様視点 【三章】第二王子殿下編 【閑話】聖女視点(ざまぁ展開) 【四章】森でスローライフ 【閑話】彼らの今 【五章】ヒーロー考え中←決定(ご協力ありがとうございます!)  主人公が新しい生活を始めるのは四章からです。  スローライフな内容がすぐ読みたい人は四章から読むのをおすすめします。  スローライフの相棒は、もふもふ。  各男性陣の視点は、適宜飛ばしてくださいね。  ◇ ◇ ◇ 【あらすじ】  平民の娘が、聖属性魔法に目覚めた。聖女として教会に預けられることになった。  聖女は平民にしては珍しい淡い桃色の瞳と髪をしていた。  主人公のメルティアナは、聖女と友人になる。  そして、聖女の面倒を見ている第二王子殿下と聖女とメルティアナの婚約者であるルシアンと共に、昼食を取る様になる。  良好だった関係は、徐々に崩れていく。  婚約者を蔑ろにする男も、護衛対象より聖女を優先する護衛騎士も要らない。  自分の身は自分で守れるわ。  主人公の伯爵令嬢が、男達に別れを告げて、好きに生きるお話。  ※ちょっと男性陣が可哀想かも  ※設定ふんわり  ※ご都合主義  ※独自設定あり

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

処理中です...