髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第1章

46.味濃すぎ…。

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そのままライさんの膝の上で他の料理を食べた。
せっかくだからガイさんによそってもらったぴくぴくと動いているような気がするお肉も食べてみようと思う。
とても勇気がいるが……。

「あ、次はこれ食べるの?美味しいよ」
「ほんちょ?たええう?」
「食べれるよ!ほら」

ライさんが食べて見せてくれた。
俺はそれにほっとして、勇気を出し、一口食べてみる。

口の中に入れてすぐの感じは、さっきの野菜と、同じなきがした。口の中でもぴくぴくしている。
しかし、野菜と違いこれはお肉。味付けもしっかりされていて一瞬美味しいかも?と思ったが噛むと肉から溢れるこすぎる味と汁。子供舌には厳しい味付け。
思わず噎せて吐き出した。

「げほげほ……っ……うぅ」
「わー!大丈夫?どうしたの?美味しくなかった?」

ライさんが心配して背中を摩り口元の汚れを拭ってくれる。

「こぇ、こい~……」
「あー味が濃かった?……そっかあのスープが好きなんだったら濃いか……ごめんね、気付かなくて。ほら、これ飲んで」
「うぅ…」

相当に味が濃くてしんどい。胸の当たりが気持ち悪い。
慌ててライさんに差し出されたコップのお水を口に含む。
しかし、お水じゃ口の中に残る濃い味は消えない。しかも、口の中にあった少量のお肉の脂が水で流されて食道を通り胃に流れつこうとしている。
いつまでたっても口の中には濃い味付けが残っているし、動きの遅い濃い味が食堂を通る感覚がして、気持ち悪いのがどんどん増す。

「うっ……おみじゅ…おみじゅ~~っ…」
「ちょっと待って今持ってきてもらってるから!」
「「大丈夫か?ユキ……」」

俺はテーブルの上にあったお水を少し嘔吐きながら飲み干していた。
自分の分なんてとっくになくなっていて、耐えられず3人のお水にも手を出していた。
それももう無くなり、焦っている。

濃い。濃いのが消えない。気持ち悪い。

「よしよし、すぐ持ってきてくれるからね…」

そう言ってライさんは俺の背中を擦ってくれる。

「お待たせしましたーっ!足りますか?大丈夫そうですか?」

店員のお姉さんがよく食べ物屋さんのテーブルに常備されているようなお水ポットに、沢山入れて持ってきてくれた。

「ありがとうございます。ほら、お水」

お姉さんが持ってきてくれたポットからコップに水を入れてくれ、持たせてくれる。
俺は慌ててそれを流し込む。
通りの悪いものを流したいのだ。一気に飲み干すと、ようやく食道の違和感が消えた。
しかし、急に沢山水を飲んだことにより、また別の吐き気に襲われる。
もうどうすればいいんだよ。

「はぁ…はぁ……うぅ…きもちわりゅい……」
「ごめんね…食べさせなかったら良かったね……」
「んーん…っ……」

ライさんのせいじゃないよ。初めから食べなきゃ良かったのに、野菜が美味しかったから変な好奇心が湧いて食べたくなっただけ。前の世界でも国によって食べ物が違い合う合わないがあったんだ。今は国どころか世界渡ってんだから合わない食べ物があったって仕方ない。軽率だった俺が悪い。

「とりあえず、ユキを部屋へ連れていこう。休ませてやった方がいいだろう。吐くにしてもこんな所じゃ迷惑になる」
「そうだな」
「そうだね。とりあえずノアは会計してきて。私が連れていく」
「俺も心配だからついて行く」
「わかった。」








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