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第1章

45.クルトンと言いたい。

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「食えたか?これも食ってみるか?」

パンを3口ほど食べたところで、ノアさんが野菜の様なものを渡してくれた。
……野菜のようなものだ。そう。ようなもの。

「……こえ、にゃに?」
「野菜だ。」

え~かってにもしょもしょと動く野菜ってある?

「食ってみろ!ほら、うまいぞ」

そう言ってノアさんが一口食べて見せてくれる。……大丈夫そうだ。

「ん……ん!」
恐る恐る食べると、口の中で僅かに動くのは気持ち悪いが、たしかに美味しかった。
シャクシャクしていてとても瑞々しい。
普通の野菜とは見た目も味も違うが、とても美味しかった。敢えてなにかの食べ物に似せるなら、レタス…だろうか?

「こえは?」
もう一口食べようと思ったら、その野菜にまじってなにか四角い茶色いのがあった。
前世だとクルトンかな?って思ったが、ここは異世界。怖くてよく知らない食べ物は食べたくない。

「ん?これは、パンを作る時に少し材料を変えて作られるやつだ。パンに似ているが、日持ちしないし、よく料理に混ぜて使われるやつだ。」

……クルトン?

「((ぱくっ))
ん!くうとん!」

程よく固くて、どことなくクルトンだった。完全に一致はしていないが、さっきのパンより何倍も柔らかい。カリカリサクサクしている。もうひとつ食べてみると、どうやらものによって食感が違うようだ。
これ美味しい!クルトン!俺クルトン好き!

「くうとん?なんだ?それは。これは名前すらないぞ?パンの粗悪版…と言ったところだ」
「……くうとんやにゃいにょ?」
「くうとんってなんだよ…クスクス。可愛いな」

名前ないならクルトンでいいじゃん。

「こえ、くうとん!」
「そうかそうか、なら、これからこれはくうとんだな」
「ちかう!くうとん!~~~っ……く、う……りゅ!……くりゅちょん!~~~~~~っ……!」

全然言えない。

「「「???」」」

ほら、全然伝わってない。

「くりゅちょん?…………あ、くるとん!」
「しょう!!!」

流石ガイさん!!!よく通じたね!

「おまえ、よく分かったな?」
「今までの話し方から…」
「((ギューーーッ))」

発音できないもどかしさから開放された俺は、勢いとテンションでガイさんに抱きついた。

「おお…これは“くるとん”か?」
「しょう!」
「……っ(俺の膝の上に居たのにっ!)」
「くるとんって名前可愛いね」
「かーいい!」

そうだね~クルトンって可愛いよね~ほわほわしてるし。

「可愛い名前付けたな~」
「…」

ガイさんは俺の頭を撫でながら褒めてくれる。
でも、俺発案の名前じゃないんだよ。似てるからそう呼びたいだけであって。

「どうした?」
「んーん!」
「そうか?なら、このまま俺の膝の上で続きを食べような」
「あ、ずるいぞ!お前は昨日食べさせただろ!今日は俺だ!」
「は?ユキが自分から俺のところに来たんだ、ユキの気持ちを優先させるべきだろうが!!」
「お前の意思だろうが!」
「……」

2人が俺のせいで喧嘩を始めてしまったので、俺は静かにライさんの膝の上へと移動した。

「あ、こっちで食べるのね((コソッ))」
「うん((コソッ))」
「「しー…クスクス」」

俺とライさんは2人にバレないように静かに笑った。








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