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第1章

36.悲しんだのは…。

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『起きよ…わ、わしの子よ…///』

え?
「…ここ、どこ?ケイン?」

照れてる…かわいいな…それに、久々ケインな気がする…まだ一日しか経ってないけど。

「“わしの子”…ねぇ~」
『にやにやするでない…!お主が最初に言ったのじゃろうが!』
「そうでしそうでした~ふふっ、お父さん♪ふっ……」
『……』

少しからかうとケインは顔を赤らめ、プルプル震えながら黙ってしまった。

「あ、ご、ごめんなさい。おこりました?」
『い、いや、怒ってはおらぬ。……………もういちど…………………』
「え?なんて?」
『もう良い!なんでもないわい!』

ふふっ……本当は聞こえてたけど、ついついからかいたくなって聞こえないふりをした。

「それで?ここはどこ?俺、また死んだ?眠っただけじゃないの?なに?子供によくある突然死?」
『いや、そうではない。1日経ったのでの、様子を聞こうと寝ているお主を呼んだのじゃ。』
「あ~なるほどね~」

なんだ死んでないのか。よかった。
一日ほとんど泣いて寝るしかしてないのに、死ぬとかいやだもね。

『それで?どうじゃ?まぁ殆ど見ておったのじゃが、一応1日経った感想が聞きたくての』

感想……

「涙腺が緩くなった気がする……とか?」
『……』

あ、それちがう。みたいな顔した。ふふっ


『…ほかに、ないのか?楽しくなかったか?』
「んーん!すっごくワクワクした!それで、すっごい眠った!」

しゅんとした様子でそんな質問をされると、つい、言葉選びが単純になる。

『そ、そうか!それはよかった……しかし見ておったが、ほとんど寝ておったな。』
「そうなんだよね~子供ってこんなに寝るものなの?やたら泣くしさ……うちの弟はよく遊んでたよ?夜はよく寝たけど…もしかして保育園で爆睡しまくってたから平気だったのかな?」
『それもあるじゃろうが、お主はしばらくよく眠るじゃろう』
「なんで?」

そんなはっきり言う?

『お主が寝るのは、魂が移ったばかりで、からだと馴染んでおらんからじゃ。お主の魂が馴染むまで最低でも明日1日はかかるじゃろう。』
「…なるほどね」

つまり明後日は街の探検ができるというわけだね?!

『まぁ、そうじゃな。楽しみか?』
「え?」
『……心の声も聞こえておるぞ』
「あ、そうなの?今回はちゃんと体も口もあって話せてるから心の声は聞こえてないのかと…ケインも反応してる感じなかったし」
『無視しておったのじゃ。』
「だったら今のも無視してよ!」
『……つい』

かわいいかよ。

「そっかー…」
『…わし、お主と話すの少し嫌じゃ』
「え?!なんで?!」
『なんだか…恥ずかしいのじゃ』
「うっっわ…やめてそゆの……」
『……わし、心の声も聞こえると言ったぞ?』
「…そうでした。」

心の荒ぶりは無事バレてました。

「あ、そういえばさ、武部さん、しってる?」
『…だれじゃ。お主の身内でないのならわしは知らんぞ』
「あの、両親が離婚する前料理人としてうちで働いてたんだけど」
『………………』
「え、なんでだまるの?」
『あぁ、お主の葬式に来ておったようじゃ!……どうしたのじゃ?』

あ、なるほど、調べてくれたのね?それで反応無かったのね。

「…そっか。武部さん俺の葬式来てくれてたんだ」
『あぁ。お主の父親の元で今も働いているようじゃよ。そして……誰よりも本気で泣いておったようじゃ』
「え……」
『お主が親は悲しんでるフリだと言っておったじゃろ?だからわし、深くまで探ってみたのじゃ感情を。』
「そんなこと出来るんだ?」
『あぁ、ちと大変じゃができるぞ。それでな、やはり…お主の家族は殆どフリじゃった。』
「ほとんど?」

殆どってことは少しは悲しんでくれてたってこと?

『悪いがお主の思ってるような悲しみ方ではない。お主が初めに言ってたように、家政婦がいなくなったという怒りとほんと少しの悲しみじゃった。かなしみなんて無いに等しいくらいのものじゃった…………なんか、すまんのぉ……』
「あーやっぱり?でしょうね~って感じだったよ~ケインが謝ることじゃないよ」

ほんとに、意外と平気だ。その事実を告げられると予想した瞬間、傷つくのでは?と心配したが杞憂でしか無かった。
    
『本当に大丈夫なんじゃな…良かったわい。伝えるか悩んだんじゃ……』
「ありがとう!案外平気だったね!」
『……それでのぉ、お主のことを悲しがっておったのは、学校の子達や、お主の救った友達、そして、武部とやらじゃ。』
「…そっか」
『武部とやらはな、懺悔も混じっておった。お主にもっと親切にしてやればよかったとか…そういった類のものじゃ。』
「そんな…十分すぎるくらいに親切にしてもらってたのに……。
俺、今までずっと気付かなかったんだ。俺は誰にも大切にされてない、愛されてないって思ってた。でも違った。思い出したんだ。武部さんはいつも俺を気遣ってくれてた。俺を心配して、親切に……それに気付いた今じゃ、武部さんに何も返せなかったのが悔しい。武部さんが気にすることなんて何も無いのに……」

心からそう思う。もう昔のことなのに、もう何年もあっていなかったのに、ずっと俺のことを覚えてくれていたなんて。それに、1番泣いてくれたってケインは言った。それがとても嬉しい。

『……今の言葉とお主の気持ち、わしが伝えてやろうか?夢という形で。』
「え…そんなことも出来るの?」
『できるぞ。それくらいはさせてくれんかの?』
「え、それくらいって…十二分に色々してもらってるけど…?」
『それは責任を取っただけじゃ。今回のは、わしの気持ちじゃ』
「そっか…そっか!ありがとう!!じゃあ、お願いしても、いい?」
『うむ!任された!』














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