上 下
32 / 218
第1章

32.それでもおっちゃん。

しおりを挟む
スープを食べて、今は眠っているユキ。
さっきはびっくりした。

スープをひとくち飲んで、急に切なそうな顔をして、かと思ったら瞳に涙の膜を張り泣きそうな顔をした。
そしてその涙はどんどん溢れ零れていく。
泣いていると教えると一瞬驚いて、自分で頬を触り、また驚く。しかし涙は止まらず次らか次へとこぼれ落ちる。

どうしたのか、しんどいのか、どこか辛いところがあるのか、何を聞いても、辛そうな顔をしたまま涙をこぼす。
どうしていいか分からず、抱きしめて、背中を摩る。

しばらくすると、“大丈夫”だと、“スープがあたたかかったから”だと。
なんだよスープがあたたかかったって。それだけであんなに辛そうで切なそうな顔をして泣くはずがない。
きっとあのスープに何かある。失われたユキの記憶に関係しているのかもしれない。

そして、ユキになにか変化があったように思う。なんとなく“心の距離が縮まった”そう思った。


****


ほんと…俺ってよく寝るよな。いくら子供だと言っても寝すぎでは?
でも、勝手に零れたといえど涙を流すと、流れた分だけ体力も消える。そして、ガイさんの体温+ぽんぽん+よしよし。これらが揃うと子供は簡単に寝ると思う。

「お、起きたか?今ロダンが会計しているからちょっと待ってような」

……ロダン?だれそれ?おっちゃん?あのずんぐりむっくりのおっちゃんのこと?

「お、来たな。ありがとな、ロダン。ご馳走様。」
「おうおう、気にするな!ユキ、お前は全然食ってないが平気か?」
「あい!ありあとう、おいしゃん!…ぉちしょうしゃま、れちちゃ!」
「…おう!」

やっぱりこの人がロダンなんだね。
ガイさんとは元々知り合いだったのかな?それとも、俺が寝てる間に仲良くなったのかな?
俺もロダンさんって呼ぶべき?おじさんじゃなくて。
でも、俺、自己紹介されてないしいっか、おじさん呼びで。心の中ではおっちゃんだけど。






𓂃◌𓈒𓐍◌𓈒
今回ちょっと短いです…すみません(>_<)💦
次回もちょっと短いです…

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

私はただ平凡に生活したいだけです!

m
ファンタジー
5歳の時に自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気づいたレイラ。 ゲームのような結末にならないように攻略対象を避けようとするのだが…。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)

田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ? コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。 (あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw) 台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。 読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。 (カクヨムにも投稿しております)

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

転生キッズの魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

西園寺若葉
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

処理中です...