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第1章

30.食欲減退おすすめスープ。

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……えっまって……おっちゃん………ほんとにそれがおすすめなの?なんか色やばいけど?紫色のスープ?え?なに?これ?食欲無いよ~言うてる子供にこれオススメするの?正気?え?

おっちゃんにおすすめされたスープをみて俺は大変混乱した。
おすすめされたのは紫色のスープ。野菜や肉?とが小さく切られ浮いている。
どの辺におすすめ要素があるのだろうか…え゙……まって、まってまってまって…この肉なんか動いてない?え?いや、え?……肉がプルプルしてるのだが?え?え、なに?まって無理気持ち悪い。まってまってまって…動いてる動いてる……!

「どした?ユキ……顔色悪いぞ?」

ガイさん、そりゃそうでしょうよ。こんなん食べれませんよ。食欲のない子供にこんなもの見せたらそりゃ、顔色も悪くないますよ!

「むい…いりゃにゃい……いい……ためない……」

俺は見たくないし食べたくもないから、半泣きでガイさんの胸に顔をぐりぐりと埋めた。

「これもダメか~……」

おっちゃんのしゅんとした声が聞こえるが、むしろなぜそれなら食べれると思ったのだろう。
美味しいの?胃に優しいの?え?食べず嫌いはよくないとおもうけど、さすがに無理よ。
もっとこう…食欲ありあまってる時くらいにして欲しい。ほら、空腹時はゲテモノでも美味しく感じるとか言うし。真逆状態の今出されても食べれんよ。

「おいしゃん…ぉめんにゃしゃい……」
「いや、いいんだ。この中には食べられそうなものはないか?」

……食べられそうなもの?
今1番近くにさっきのスープがあって、テーブルを見るとどうしてもそれが目に入ってしまい、何があるのか把握出来ない。
故に何が食べれるかわからん。

「……しょれ、にょけて、くりゃしゃい……みりゅにょ、やりゃ……」
「お?見た目に抵抗があるのか?」
「普通じゃないか?」

え…その見た目が普通なの?なら、多分テーブルの上に今俺が食べられそうなものは何も無いわ

「ほら、のけたぞ。何なら食べれそうだ?」
「え、ちょ……あ、これ、これ、にゃんれしゅか?」

テーブルの上を見渡すと、普通の温野菜スープみたいなのがあった。
これなら食べれそうだと思ったが一応やばい物じゃないか確認する。

「これは、ただの野菜スープだよ。この店じゃ肉料理を3品頼むとついてくるんだ。ほかの店でも割とついてくる。正直薄味すぎて俺は好きじゃないな」
「濃い味のものばかり食べた後には口の中がリセットされて丁度いいとライはいっていたが……まぁ基本食べるのはライだな。俺らはあまり食わん」

なるほど。味変させるためにサービスとしてついてくるの薄味のスープか……
今なら丁度いいんじゃない?

「しょれ、たぇてみましゅ……」
「これか?」
「あい!ちょ~らい!」

流石にあざとすぎか?子供らしさ全開すぎた?

「っ…お、おう……!どーぞ」

え、おっちゃん引いてる?やっぱダメ?
心配になってガイさんの顔を下から覗いてみると、変な顔してた。眉間にシワが寄って、ほっぺ内側にキューって入ってるみたいな…どういう表情?ていうか、どういう感情ならそんな顔になるわけ?

ガイさんの表情はあまり参考にならなかったので、諦めることにした。
子供らしさは必要だから仕方ない。これからも子供の可愛さ信じてやるしかない。弟にされて可愛かったことを、自分でするのは超絶恥ずかしいが……。


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