髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ

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第1章

19.暖かな気持ちとこそこそ話。

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そうして俺の名前が決まってしばらくすると、俺たちの前に並んでいた人達が門前の小屋へ入る。
もうすぐ門の中へ入る。異世界へ来て初めての街。ワクワクが止まらない。

「((ワクワク ワクワク))」
「落ち着け、ほら、おいで。」

俺は名前を決めてもらってからずっとライさんに抱っこされていたが、ソワソワしすぎて、らいさんに負担をかけたのか、ノアさんに抱っこをかえられる。

「もうしゅく、にゃか、はいりぇましゅか?」
「そうだな。あの中に入って、身分証だしたりして確認とってから、街の中に入れるんだ。」
「そう言えばユキ、お前身分証持ってねぇんじゃねぇか?」
「「あー……」」
「…み、……?にゃあに?」

“身分証”が言えなくて、分からないふりをする。実際何かわかんないし。なんだよ身分証って。学生証や免許証、保険証みたいな前の世界での身分証と同じようなもんかな?そんなのもちろん持ってないよ?

「あーでも、石触って通行料出せば通れるだろ」
「…フードとれって言われないかな?」
「「確かに……」」
「こりぇ、ちょっちゃ、ぁめにゃんれしゅか?」
「あぁ。お前の髪色は珍しいから、一応隠しといたほうがいいんだよ」
「しょうにゃにょ?みんにゃにょ、かみにょいりょも、いりょいりょありましゅよ?」
「ユキの髪はとても綺麗で珍しいの。だから、隠しておかないと、毟られるかも。」
「……((キュッ))」

どうやら俺の髪は綺麗で珍しい為に、毟られることがあるようだ。
異世界へ2歳になってやってきて、これからのまだまだ長い人生、ハゲになって過ごすのは嫌だ。禿げるには早すぎる。
髪の毛を毟られたくないので、かけてもらっていたブランケットで作られたローブを目深に被った。フードの裾をキュッっと固く握り締めて。

「……大丈夫だ。俺たちがそばにいる時は、そんな事にはならない。絶対にまもるからな!」
「そうだそ!」
「ええ。絶対あなたのその綺麗な髪は毟らせないわ!」
「「……お前、そればっかだな」」
「…なに?」
「いや、もっとほかに注意すべきことがあるだろうが」
「言っても難しいでしょ?
((ぽむ))
それに、辛い過去を思い出してしまうかもしれないじゃない!」
「「……確かに」」
「なら、この説明でいいでしょ。」
「「あぁ…」」
「((ぽむ))
でも、いつかは話さなきゃいけないよな。俺たちがちゃんと」
「ええ、そうね。他人から悪意ある表現で知らされるより、ちゃんと私達が伝えるべきだと思う」
「俺もそう思う。まぁ、基本俺たちがそばに居るはずだから、そんな事は無いだろうがな」

この人たちは本当にいい人達だ。見ず知らずの子供を助け、街まで連れてきて、名前までつけて。それに、これからもそばに居てくれるみたいなことを言ってくれるし、守ってくれるとまで言ってくれた。嬉しい。心が暖かくなる。
しかし、また俺を除け者にして3人でコソコソと話し出したのには、少し拗ねてもいいだろうか。この人達は一体どれだけコソコソ話をするのだろう。わざわざ俺の耳まで塞いで!抱っこしてると近いから聞こえるもんね!そんなに秘密な話なの?!
もっと構ってよ!子供だよ!2歳だよ!ねぇー!

「むーーー」
「…ん?どした?ユキ。そんなにむくれて」
「ほくりゃけ、おはにゃしに、いりぇてくりぇましぇん。」
「ん?あぁ。わるいわるい、ごめんな。少し内緒話が多かったな…だがちょっとこれは極秘事項だから、小さいお前に聞かれたくないというか、難しいと思うから、だから…まぁ、わるかった!ごめんな!」

俺、もうすぐ高校生だったんですけど~!分からない話とかないんですけど~!
……まぁでも、パーティーメンバーにしか話せない話もあるよね。俺は部外者なわけだし。何より、知り合ったばかりのやつに全てさらけ出せとか無理だしな。理解はしてる。
でも、子供の身体に精神まで引っ張られてるのか、今まで満たされなかった暖かな気持ちになったからか、俺は今放置されると寂しくなるんだよ。ほっとかないで……。あ、泣きそう。

「みみ、きこえにゃいにょ、ぃやれしゅ……」
「え?あ、あぁ!ごめんな…ごめん…!」

俺は寂しくて泣きそうになるのを誤魔化すために、耳塞がれて怖かったんだから!って事にした。
まぁ、子供にうるうるな瞳で聞こえないのヤダとか言われたら、罪悪感わくよね…。
慌ててノアさんが謝ってくる。いいよ。それは別に怖くなかったから。やだったのは疎外感を味わったこと。案外俺って寂しがりだったみたい。
今まで家では家事をする家政婦とか、妖精的なものとして扱われてたのか、存在を認めてもらうことが少なかったから。話しかけても無視or暴力(兄達から)だったから。こんなに、構って貰えたことがなかったから。うっかり心がポカポカしちゃったから。だから今は、少しの事が寂しくて仕方ない。俺はここにいるのに、存在を無視しないで欲しい。
あぁ、俺はきっと愛に飢えている。やっと自覚した。今まで平気だったのは、こんな暖かな気持ちを向けてもらったことがなかったから、気が付かなかったんだ。知らなかったから気付けなかった…。
あぁ、なんか虚しいな………








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