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第1章

17.決められない。

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「それで?どれがいいんだ?」
…ガイさんがすごく顔を近づけて聞いてくる。近い。ガイさん近い。

「えっちょ……あにょ……」
俺の前世のあだ名はミトだった。名前を略称して、限られた友達からはそう呼ばれていたのだ。
だから、ノアさんの『ミト』と言うのには馴染みがある。しかし、他のふたつも捨てがたい。
『ショウ』は言いやすいし、日本の名前にも似てるし、瞳の色だし。『ユキ』は俺の今の髪の色だし、俺は雪が好きだし。
どれもちゃんと気に入ってて、どれにしようか本気で悩む。
いっそ混ぜてしまうか?
ミト、ショウ、ユキ……ミショユ…トウキ…ユウト……!ユウト!良くね?!日本名をカタカナにしたみたいな名前だけど、すごくバランスがいい!よし、これにしよう!

「あにょ!ぼく、きめまちちゃ!」
「「「((ゴクッ))……どれ?」だ?」」
「あにょね、ぼくね、みんにゃにょ、きにいりまちちゃ。らからね、あわせちぇ、『ユウちょ』ってにょはろう、れしゅか?…りゃめ?」
「「「ぐぅ……」」」
「「「((コソコソ))」」」

どうだろ?俺の提案はやっぱりダメだっただろうか?
ヒソヒソ話さないでちゃんと話してよ…自信なくす。
やっぱり誰か一人のを選んで欲しかった?でも、俺には無理だよ。全部気に入ってるもん。


****


「おい、どう思う?」
「…健気すぎて泣きそう。」
「確かに…選べないからって混ぜちゃうなんて可愛すぎる……」
「しかし、こいつ賢いなぁ…子供のくせにあんな短時間で、3つの名前混ぜたのを考えたんだろ?」
「「確かに…」」
「ユウト、もいいと思うけど、どうせなら俺らが考えてやりてぇよな…?」
「そうだな」
「そうだね。ある意味私たち4人で考えたことにはなるけど、やっぱり誰かひとりのを選んで欲しい。」
「じゃあ、どう考える?」
「「……」」
「……」

「わかった、じゃあもう1回一人一つずつ考えようよ」
「「……」」
「なに?」
「いや、また考えるのか?」
「……((ウンウン))」
「……そんなの私だって、ネーミングセンスないんだから……」
「「「……」」」
「「「考えよう」」」
「でも、考えるのは3人でだ。意見を出し合って考えよう」
「そうだね…私一人だと何も思い浮かばなそうだし」
「俺も…さっきの大分頑張った…いいと思ったのに…ショウって。」
「だからあの子が気に入ってたんでしょ」
「あ、じゃあさ!ジャンケンで決めないか?あの子が気に入ってるなら、新しいの決めても気に入らないかもしれねぇじゃねぇか」
「「確かに…」」
「じゃあ、じゃんけんで決めよう!」
「「おう!」」

「「「じゃんけん、ほい!」」」
「「「…決まりだな(ね)」」」



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