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第1章
6.助けられる。
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「おい、今変な感じしなかったか?」
「あ?別に?敵か?」
「いや、そんな感じじゃなかった……」
「ん?なら気の所為じゃねぇか?」
「…かもな」
俺たちは今、森の調査依頼を受けて森の中に居る。
もう依頼を終え帰る途中だ。
帰るために森の中を歩いていると、一瞬なんとも言えない変な感じがして、隣にいるガイに尋ねた。しかし答えは“しらない”やはり気のせいだったのだろうか……
しばらく歩いていると、突然目の前にうさぎとリスが現れた。
「「かわいい…」」
よく似合わないと言われるが俺たちは、小動物が好きなのだ。
「またデレてる…ほら、早く行くよ!」
俺たちふたりがデレていると、もう1人のパーティメンバーのライが、俺達の腕を引っ張った。
「「わかった、行くから引っ張るなよ!」」
俺とガイはライに催促され、歩き出す。
しかし、先程のうさぎとリスがついてくる。
「え…なんでついてくるんだ?滅茶苦茶かわいいな」
すると、また増えた。
「もう1匹うさぎが来たぞ?それに今度は鳥もいる!」
普段こんなに寄ってこないため、ガイがとても驚き、興奮気味に報告してくる。
そんなの見ればわかる!わざわざ言わなくていい!
「なに?この子達。なんか様子がおかしくない?」
ライにそう言われハッとする。
様子がおかしい、確かにそうだ。何かを必死に訴えているような……。
「「何かあるのか?」」
さっきからガイとのシンクロ率が高いのが気になるが、それよりも動物たちの様子の方が気になる。
すると、今度は狐がやってきて、俺たちを見て、先へ進み、また振り返った。
「「「……なんか、ついてこい的な?」」」
あーとうとうライともシンクロしてしまった…まぁいいか。
というか、着いてこいの仕草可愛いッ!!
「とりあえず、ついて行くか…」
「お…おう!」
「そうね」
ガイが可愛さに気を取られ、返事に少し詰まってしまっているのが少し可笑しい。しかし、気持ちは大いにわかる。
狐やリス、うさぎに鳥がみな同じ道を進む。
俺たちが着いてきているのを確認すると、少しずつペースを上げてくる。早く向かいたいのだろう。
そうしてついて行くと開けた場所に出た。
そこは一筋の陽の光が入り、とても神秘的な印象を受ける。
しかしそんな場所に居たのは、大きな狼の傍に横たわる血まみれの子供。その周りには心配そうに集まる動物達。
森の動物たちが、子供を囲んで守るようにしているのその光景は、異様だが一瞬見とれてしまった。
「おい、この光景はなんだ?なぜ狼が血まみれの子どものそばにいる?その横に立ってる熊はなんだ?意味わかんねぇぞ……」
「なに?この状況…あの中の動物が襲って血まみれ ってわけじゃないんだよね?だったら守らないもんね?……あの子…生きてるの?近づいても平気かな…?」
「俺に聞くな…俺もわかんねぇんだから!」
ガイとライが混乱気味に聞いてきたが、俺も状況が呑み込めないで混乱しているんだ。聞くな!
そう思っていると、足をてしてしと叩かれ足元に目をやる。
すると、かわいいリスが必死にてしてしと叩いてから、あの子供の方へ行き、また俺の足元へ戻ってきた。……か、かわいい!
…が、恐らく“助けろ”ということなのだろう…
「とりあえずあの子供の元へ行こう。あれだけ出血してるんだ、きっと生きていても瀕死だろう。ライ!ヒールをかける準備をしておけ!」
「うん!」
俺たちが側へよると、周りにいた動物たちがサッっと離れた。1番そばにいる狼以外は。
俺たちは恐る恐る子供へ近づき、確認する。
そして驚愕した。
「お、おい!このガキ酷い怪我だぞ…思ったより出血してる……頭も…か?やばいな…髪の毛が血で染ってやがる……腹も……これ生きてるのか?」
「あ…微かに、息してる……すごく弱いが、必死に息してるぞ!ライ!早くヒールを!」
「うん!でもちょっとやばそうだし、ハイヒールを使うわね!魔力切れたらよろしく!」
「「まかせろ!」」
弱々しく息をしている血まみれの、動物たちが心配する小さな子ども。
この子には、一体何があったんだろうか……
ライがハイヒールをかける。ハイヒールは魔力を多く消費する為、魔力切れすると気絶するのだ。しかし、魔力はまだ微かに残っているのか、ライは気絶しなかった。
「で、できたよ。傷跡、残るかもだけど治った…はずよ。つかれた……ちょい休憩…」
やっぱりヘロヘロみたいだ。
僅かに魔力が残っているため、気絶するほどではないが、しんどいのはしんどいみたいで、横になる。
そこへ、うさぎがやってきてライの顔を舐める。
くっ…ずるい!しかし、許す!今回だけだそ!
ガイも同じ考えなのか複雑な顔をしてライを見つめている。………いや、うさぎを見つめていた。
「あ?別に?敵か?」
「いや、そんな感じじゃなかった……」
「ん?なら気の所為じゃねぇか?」
「…かもな」
俺たちは今、森の調査依頼を受けて森の中に居る。
もう依頼を終え帰る途中だ。
帰るために森の中を歩いていると、一瞬なんとも言えない変な感じがして、隣にいるガイに尋ねた。しかし答えは“しらない”やはり気のせいだったのだろうか……
しばらく歩いていると、突然目の前にうさぎとリスが現れた。
「「かわいい…」」
よく似合わないと言われるが俺たちは、小動物が好きなのだ。
「またデレてる…ほら、早く行くよ!」
俺たちふたりがデレていると、もう1人のパーティメンバーのライが、俺達の腕を引っ張った。
「「わかった、行くから引っ張るなよ!」」
俺とガイはライに催促され、歩き出す。
しかし、先程のうさぎとリスがついてくる。
「え…なんでついてくるんだ?滅茶苦茶かわいいな」
すると、また増えた。
「もう1匹うさぎが来たぞ?それに今度は鳥もいる!」
普段こんなに寄ってこないため、ガイがとても驚き、興奮気味に報告してくる。
そんなの見ればわかる!わざわざ言わなくていい!
「なに?この子達。なんか様子がおかしくない?」
ライにそう言われハッとする。
様子がおかしい、確かにそうだ。何かを必死に訴えているような……。
「「何かあるのか?」」
さっきからガイとのシンクロ率が高いのが気になるが、それよりも動物たちの様子の方が気になる。
すると、今度は狐がやってきて、俺たちを見て、先へ進み、また振り返った。
「「「……なんか、ついてこい的な?」」」
あーとうとうライともシンクロしてしまった…まぁいいか。
というか、着いてこいの仕草可愛いッ!!
「とりあえず、ついて行くか…」
「お…おう!」
「そうね」
ガイが可愛さに気を取られ、返事に少し詰まってしまっているのが少し可笑しい。しかし、気持ちは大いにわかる。
狐やリス、うさぎに鳥がみな同じ道を進む。
俺たちが着いてきているのを確認すると、少しずつペースを上げてくる。早く向かいたいのだろう。
そうしてついて行くと開けた場所に出た。
そこは一筋の陽の光が入り、とても神秘的な印象を受ける。
しかしそんな場所に居たのは、大きな狼の傍に横たわる血まみれの子供。その周りには心配そうに集まる動物達。
森の動物たちが、子供を囲んで守るようにしているのその光景は、異様だが一瞬見とれてしまった。
「おい、この光景はなんだ?なぜ狼が血まみれの子どものそばにいる?その横に立ってる熊はなんだ?意味わかんねぇぞ……」
「なに?この状況…あの中の動物が襲って血まみれ ってわけじゃないんだよね?だったら守らないもんね?……あの子…生きてるの?近づいても平気かな…?」
「俺に聞くな…俺もわかんねぇんだから!」
ガイとライが混乱気味に聞いてきたが、俺も状況が呑み込めないで混乱しているんだ。聞くな!
そう思っていると、足をてしてしと叩かれ足元に目をやる。
すると、かわいいリスが必死にてしてしと叩いてから、あの子供の方へ行き、また俺の足元へ戻ってきた。……か、かわいい!
…が、恐らく“助けろ”ということなのだろう…
「とりあえずあの子供の元へ行こう。あれだけ出血してるんだ、きっと生きていても瀕死だろう。ライ!ヒールをかける準備をしておけ!」
「うん!」
俺たちが側へよると、周りにいた動物たちがサッっと離れた。1番そばにいる狼以外は。
俺たちは恐る恐る子供へ近づき、確認する。
そして驚愕した。
「お、おい!このガキ酷い怪我だぞ…思ったより出血してる……頭も…か?やばいな…髪の毛が血で染ってやがる……腹も……これ生きてるのか?」
「あ…微かに、息してる……すごく弱いが、必死に息してるぞ!ライ!早くヒールを!」
「うん!でもちょっとやばそうだし、ハイヒールを使うわね!魔力切れたらよろしく!」
「「まかせろ!」」
弱々しく息をしている血まみれの、動物たちが心配する小さな子ども。
この子には、一体何があったんだろうか……
ライがハイヒールをかける。ハイヒールは魔力を多く消費する為、魔力切れすると気絶するのだ。しかし、魔力はまだ微かに残っているのか、ライは気絶しなかった。
「で、できたよ。傷跡、残るかもだけど治った…はずよ。つかれた……ちょい休憩…」
やっぱりヘロヘロみたいだ。
僅かに魔力が残っているため、気絶するほどではないが、しんどいのはしんどいみたいで、横になる。
そこへ、うさぎがやってきてライの顔を舐める。
くっ…ずるい!しかし、許す!今回だけだそ!
ガイも同じ考えなのか複雑な顔をしてライを見つめている。………いや、うさぎを見つめていた。
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