自由に、そして幸せに。

あめ

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そうして2人で消火作業を進め、ようやく鎮火した。
比較的ましな家から消して行ったので、全員の家が使い物にならない、という事は無さそうだ。
完全に黒焦げになって崩れてしまっている家や、表面が焦げて真っ黒にはなってるけど中は無事という家もあった。しかしほとんどの家は数日眠ることは可能だが、そのまま暮らすのは無理だった。
とりあえず今日眠ることの出来ない家の者は、比較的ましな家に泊まって寝るみたいだ。
僕達も泊めてほしい。そのために頑張って鎮火したと言っても過言ではない。

「あの、誰か俺達を泊めてくれませんか?」
ユウちゃんさすが!
ここで泊めて貰えなかったらまた別の村探さなきゃ行けなくなる。でももうヘトヘトで移動できないから、野宿しなきゃいけなくなる。小屋は出せなさそうだし。

「何言ってるの?!当たり前じゃない!あなた達が消してくれたお陰で今こうしてられるんだから!心配しないで!私のうちに泊まって行きな!」
女性の1人が僕たちの肩をバシバシと叩きながら、泊めてくれると言ってくれた。
ありがたいけど、痛い。

「あ、ありがとうございます…あの、ちょ、ちょっと痛いです…」
「っ…」
「あ、あら、ごめんなさいね、私ってばちょっと力が強くって!あはははは!」

ちょっと?まぁ…ちょっとってことにしとこう…

「じゃあ自己紹介でもする?
私の名前はヘレン。旦那とふたりで住んでて、旦那は今家の中片付けにいってていないから、後でまた紹介するわね。それで?2人は?」
「あ、俺はユウです。……こっちはミカ」
「((ペコッ))」
ちゃんと自分で自己紹介したかったけど、心臓バクバクで声が出なくて代わりに軽くお辞儀をした。

「あら?2人は記憶喪失だったのよね?名前は覚えていたの?」
「えっと、お互いがお互いの名前をつけました。本当の名前は分かりません。」
「なるほどね…2人はどこにいたの?」
「…あっちの森の中で目が覚めました。」
「……あの森?」
「はい。あの森です」

僕たちの居た森の方を見つめヘレンさんは固まってしまった。

「あの、どうかしましたか?」
「え?あ、いや、あなた達の居た森ってあれよね?あの、暗い森よね?」
「はい、そうですけど……?」
「……よく無事だったわね((ボソッ))」
「え?」
「あ、いや、あのね?あの森って『玉取りの森』って呼ばれているの。」
「玉取りの森…ですか?」
「そう。
夜になると人の魂を奪う『ミリパ』っていうモンスターが出るのよ。
夜になる前に出られればいいんだけど、あの森は暗くて時間感覚が狂ってしまって時間がわからなくなるのよ。」
「……あ、あの!それって、モヤモヤしてるやつですか?」
「?!会ったの?!」
「あ、いや、見かけて…やばいと思って逃げたんです」
「……よく無事だったわね。ミリパに気付かれるとすぐに魂が奪われて即死なの。だからほんとに見た者はいないのよ。
見つかる前に、命からがら逃げてきた何人かの証言で存在が明らかになったのよ」
「……」

そんなにやばいのがいる森で僕達は一日を過したのか……ほんとチートオブチートの《創造》スキルに感謝だ。それからユウちゃんの本能にも。
出来ることならもう二度とあの森には入りたくない…

「本当に良かったわ。あなた達が無事で!
じゃあ、とりあえずお互いの自己紹介も軽く終わったし、私の家に向かいましょうか!旦那も紹介するわ!後でまた2人の事詳しく聞かせて頂戴ね!」
「…はい。お世話になります…((ペコッ))」
「((ペコッ))」
「……ほんとにいい子ね!((感動))」




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