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そうこうして歩いているとさっき遠くで見た淡い光が村の灯りではないことが分かった。
いや、村の明かりではあるんだけど、照らされてるひかりではなくて…村が燃えているのだ。
「ユ、ユウちゃん…?
これ、火じゃない?火だよね?え?燃えてるの?村?クヌ村?燃えてるの?」
「燃えてるな、クヌ村…
とりあえずミカ、落ち着け。」
「え、え、え、ど、どぅしよう……え、あ、み、水!水だそう!消そう、」
「そうだな。とりあえず走ろう!」
僕達はさっきからずっと走ったり歩いたりしているけれど、子供の足だとなかなか着かない。
もう正直ヘロッヘロだけど、人命に関わるんだ。しんどいとか言ってられない。
{目的地に到着致しました 案内を終了します}
頑張って頑張って2人で走って、村の入口らしきところに着いた時、頭の中でまたあのアナウンスが流れた。
「急ごう!消火だ!」
「うん!」
僕達はまだ水を使ったことは無かったけど、イメージ次第でどうとでもなるチートスキルなどがあるので、最悪魔法じゃなくても水が出るはず!
消防車の大きなホースをイメージして、僕は両手を筒状にしてそこから出るようイメージした。
すると、手の筒の中から、イメージ通りの激しい水が吹き出て、燃えている家に水が掛る。
ユウも同じイメージで水を出し、家々にかけて消火している。
消火しながらだけど、やっと村の中心付近に近づけた。
すると、村の広場だろう中心地からたくさんの人の声が聞こえてきた。
「もっと水を!」
「俺もう魔力ねぇ!ポーションどこだ!」
「もうねぇよ…もうあるのは全部使い物にならねぇ…!」
「他にまだ魔力残ってる人は居ないの?!」
「…私ももう、あと少ししか残ってないわ…」
「……どうすんだよじゃあ!」
「知らねぇよ!!俺に聞くな!」
「そんなの今言い争ってたって仕方ないでしょ?!」
「家から水の魔石持って来られる人はいないの?」
「今燃え盛っててうちは無理よ…」
「うちも…」
「俺ん家も……」
なんかすごい言い争ってたりする声が聞こえる。そりゃ、村が燃える=そこに住む者の家が燃える だもんね…
僕達は鎮火作業をしながら中心へ近づいて進む。
「ミカ、平気か?しんどくない?」
「うん、ローブで口元隠してるし、煙は吸ってないから平気だよ」
「違くて、怒鳴り声。あと、炎。」
「…両方前ほど怖くないかも。精神耐性レベルMAXは伊達じゃないね!」
「…そうか、ならいいんだ」
「うん。早くあの人たちに僕たちが火を消すの手伝うねって伝えないとね!」
「だな」
「おい、なんかあっちの方、火が消えてきてないか?入口側…」
「ほんとだわ。どうしてかしら?」
「…誰か居るぞ!誰だ?!お前らか!火をつけたのは!」
「…違うだろ。だったら火は消えてないはずだ((ボソッ))」
広場が見えてきて、人が集まっているのが見えてきた頃、向こう側にも僕達が見えたらしく放火犯に間違われ怒鳴られる。
僕はさっきまで平気だった怒鳴り声と人が多くいることにビビってしまい、ユウの服にしがみつき、前へ進めなくなってしまった。
「ミカ…大丈夫。俺が話すから」
「…ん」
ユウは僕の掴んでいる手にそっと手を添え、もう片方の手で僕の肩を抱き、さすりながら小声で声をかけてくれた。
僕は今人と話せそうにない。元々人見知りというか、対人恐怖症な所があるから無理かな~とは思ってたけど、仕事してたし、その時は人と話せてたし、平気かなって思ってたんだ。目を見て話せなくても、話すくらいはできるって。
でもいざそうなると、思ってたようには行かないようだ。
怖くて怖くて仕方がない。怒鳴り声も相まってほんとに怖くて、固まるしかできない。
今ここで過呼吸になんてなってしまったら、肺に煙が入って大変なことになるかもしれないし…
まぁ今は呼吸が出来なくなると言うより、緊張と恐怖で吐きそうだけど……
いや、村の明かりではあるんだけど、照らされてるひかりではなくて…村が燃えているのだ。
「ユ、ユウちゃん…?
これ、火じゃない?火だよね?え?燃えてるの?村?クヌ村?燃えてるの?」
「燃えてるな、クヌ村…
とりあえずミカ、落ち着け。」
「え、え、え、ど、どぅしよう……え、あ、み、水!水だそう!消そう、」
「そうだな。とりあえず走ろう!」
僕達はさっきからずっと走ったり歩いたりしているけれど、子供の足だとなかなか着かない。
もう正直ヘロッヘロだけど、人命に関わるんだ。しんどいとか言ってられない。
{目的地に到着致しました 案内を終了します}
頑張って頑張って2人で走って、村の入口らしきところに着いた時、頭の中でまたあのアナウンスが流れた。
「急ごう!消火だ!」
「うん!」
僕達はまだ水を使ったことは無かったけど、イメージ次第でどうとでもなるチートスキルなどがあるので、最悪魔法じゃなくても水が出るはず!
消防車の大きなホースをイメージして、僕は両手を筒状にしてそこから出るようイメージした。
すると、手の筒の中から、イメージ通りの激しい水が吹き出て、燃えている家に水が掛る。
ユウも同じイメージで水を出し、家々にかけて消火している。
消火しながらだけど、やっと村の中心付近に近づけた。
すると、村の広場だろう中心地からたくさんの人の声が聞こえてきた。
「もっと水を!」
「俺もう魔力ねぇ!ポーションどこだ!」
「もうねぇよ…もうあるのは全部使い物にならねぇ…!」
「他にまだ魔力残ってる人は居ないの?!」
「…私ももう、あと少ししか残ってないわ…」
「……どうすんだよじゃあ!」
「知らねぇよ!!俺に聞くな!」
「そんなの今言い争ってたって仕方ないでしょ?!」
「家から水の魔石持って来られる人はいないの?」
「今燃え盛っててうちは無理よ…」
「うちも…」
「俺ん家も……」
なんかすごい言い争ってたりする声が聞こえる。そりゃ、村が燃える=そこに住む者の家が燃える だもんね…
僕達は鎮火作業をしながら中心へ近づいて進む。
「ミカ、平気か?しんどくない?」
「うん、ローブで口元隠してるし、煙は吸ってないから平気だよ」
「違くて、怒鳴り声。あと、炎。」
「…両方前ほど怖くないかも。精神耐性レベルMAXは伊達じゃないね!」
「…そうか、ならいいんだ」
「うん。早くあの人たちに僕たちが火を消すの手伝うねって伝えないとね!」
「だな」
「おい、なんかあっちの方、火が消えてきてないか?入口側…」
「ほんとだわ。どうしてかしら?」
「…誰か居るぞ!誰だ?!お前らか!火をつけたのは!」
「…違うだろ。だったら火は消えてないはずだ((ボソッ))」
広場が見えてきて、人が集まっているのが見えてきた頃、向こう側にも僕達が見えたらしく放火犯に間違われ怒鳴られる。
僕はさっきまで平気だった怒鳴り声と人が多くいることにビビってしまい、ユウの服にしがみつき、前へ進めなくなってしまった。
「ミカ…大丈夫。俺が話すから」
「…ん」
ユウは僕の掴んでいる手にそっと手を添え、もう片方の手で僕の肩を抱き、さすりながら小声で声をかけてくれた。
僕は今人と話せそうにない。元々人見知りというか、対人恐怖症な所があるから無理かな~とは思ってたけど、仕事してたし、その時は人と話せてたし、平気かなって思ってたんだ。目を見て話せなくても、話すくらいはできるって。
でもいざそうなると、思ってたようには行かないようだ。
怖くて怖くて仕方がない。怒鳴り声も相まってほんとに怖くて、固まるしかできない。
今ここで過呼吸になんてなってしまったら、肺に煙が入って大変なことになるかもしれないし…
まぁ今は呼吸が出来なくなると言うより、緊張と恐怖で吐きそうだけど……
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