自由に、そして幸せに。

あめ

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ユウちゃんが転んでからもしばらくずっと歩き続け、今はもう日が落ちそうな時間。
どんどん暗くなってきて、僕の気持ちも不安になっていく。

「大丈夫だよ。きっともうすぐつく。」

ユウちゃんに優しく言われほっとする。
ユウちゃんの手を強く握り、引っ張って前に出る。
「ユウちゃん!急ごう!暗くなったら小屋でも休めなくなる!」
「そうだな」

僕達は喋りながらの緩いジョギング程度の速度で走り出した。
すると、村の灯りだろうか?遠くの方でぼんやりとした明かりが見えた。

「ユウちゃん!あれ、村かな?もうすぐ着く?」
「あぁ!ぽいな!地図もすぐそこみたいな距離に書いてある!これの縮尺ってどんなもんなんだろうな……まじ距離感がさっぱり当てにならん。」
「とりあえず急ご!暗いのヤダ!」
「おう!」

僕はユウちゃんの手を引き、駆け出した。
「転ぶぞ!気をつけろよ!」
「誰が言ってんの~((クスクス))
ユウちゃんも気をつけてよ!ほら!早く行こ!」
「~~~~~!わかった!」

走り出して暫くして、僕の体力が無くなりそうになり、ヘロヘロになった頃。
頭の中に控えめなアナウンスが響いた。

{まもなく目的地に到着します。クヌ村まであと200mほど…}

「「…!」」
「ユウちゃん!今の聞こえた?頭に!」
「あぁ。俺の頭にも響いた。あと少しだな!」
「うん!でももう僕ヘロヘロ……疲れた…こんなアナウンス流れるなら、流れてから走ればよかった………」
「……まだギリギリ日は出てるし、ゆっくり行こう。真っ暗なったら、ライトで照らせばいい。魔法かスキルかで出来るだろ。多分魔法で」
「…だね。」

村まであと200mほど。近い。早く村につきたいけど、体力がなくてゆっくりユウちゃんと手を繋ぎ歩き出す。

村、どんな所だろう。人、いっぱい居るかな…。居るよね。………あーっ、なんか怖くなってきたな~……。優しい人がいるのかな。怖い人、居るかな。僕達の髪の色は、大丈夫かな。
……あ!ローブ!作ってないじゃん!危なっっ!

「ユウちゃん!ローブ!ローブ作ってないよ?!」
「あー!危なっ!そうだな!作ろう!ナイスだミカ!」

うっかりローブを作るのを忘れてそのまま村に入るところだった。
まだ離れているから、誰にも見られてないから平気だけどね。でも、このまま入ればまずいかもしれない。よかった。ちゃんと気がついて。
僕達は作ったローブを早速目深に被った。

「ミカ…平気か?」
「え?まぁヘロヘロだけどそれ以外なら平気だよ?なにが?」
「いや、もしかしたら村に入るの怖がるんじゃないかと思って」
「あー……確かにちょっと怖い。どんな人が居るんだろう、怖い人たちだったらどうしよう、歓迎されなかったらどうしよう…とか色々考えちゃって、正直ちょっと怖い。
1人だったらあの暗い不思議な森の中に戻ってずっと暮らしたかもね……
でも、ユウちゃんいるし、きっと平気。手だけ、繋いでて。そしたら平気だから。」
「わかった。無理するなよ。」
「…うん。ありがとう」




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