自由に、そして幸せに。

あめ

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休憩をとる事にしたのはいいが、あの簡素すぎる小屋をまた使うか?
いや、改良しよう。さすがに休憩するのにベッドしかないのは問題だよね……。
よし、とりあえずでまた簡素なの作ろう。
机と椅子があればいいかな…?
「ミカ。」
「……」
「ミカ」

小屋をどうするか考えていると、ユウちゃんに方をポンポンとされ、呼ばれていることに気が付く。
「え…あ、ごめん。なに?小屋どうするか考えてて…」
「小屋じゃなくて、結界だけ張れば良くないか?いちいち大掛かりだろ?」
「あー確かに…簡素な小屋を何個も作るより、ちゃんとした家を作りたいしね……。
結界だけなら解除すれば済むし、楽だよね。」
「あぁ。ミカが結界を張ってる間に、俺が休憩の準備をしてるよ」
「ありがと。でも、そんな時間かかんないよ?…ほら!できた~!」
「…はやいな」
「まぁ滅茶苦茶楽だからね。これ」
「そうか。じゃあ、ちょっと待て。」

僕が素早く結界を張ると、ユウちゃんはいそいそと無限収納インベントリからチェック柄のシートを出して敷き、座椅子2つとクッション1つを取り出し、そして小さな机を作り出した。

「よし、準備できたぞ。休憩しよう。」
「…これ片付け大変じゃない?この前みたいに突然敵に遭遇したらどうするの?」
「そのための結界だろ?結界があるからゆっくり片付けが出来る。安心してくつろげる。」
「…なるほどね。
じゃあ、認識阻害の効果も付けとく?」
「あぁ、頼めるか?この前のは見つかったらOUT感あったからな……」
「りょーかい!」

僕はさっき張った結界に認識阻害の効果もつけた。
今この結界には、侵入不可と認識阻害のふたつの効果が付与されている。
まぁ必要ならその場に応じて、付与していけばいいよね。今回は今のところこのふたつでいいだろう。

「できたよ!さ、やすも~!」
「おう。はい、クッション。」
「ありがと~」
やっぱりさっき出した1つのクッションは僕用だったみたいだ。
僕達はそれぞれ無限収納インベントリから必要なものを出す。飲み物や食べ物を。
僕は飲み物と、食べかけのパン1つ。
ユウは飲み物とパン1つ。さすがにお腹空くもんね。……でも、ユウは1つで足りるのかな?

「ユウちゃん。それひとつで足りるの?確か2つ残ってたよね?」
「あぁ、それは昨日の夜食べた。」
「え?!いつの間に……」
「ミカが寝てる時。お腹鳴って起こしたくなかったから、こっそり食べたんだ」
「なるほどね…それで、足りるの?」
「……足りない…けど仕方ないだろ。ないんだから」
「僕のあげるよ。いっぱい余ってるし、食べないし。」

僕は食べるのは好きじゃないし、そんなに食べれない。だから、この食べかけのパンも少しだけちぎって食べる予定だったのだ。
僕は、食べかけのパンのかけている方を3~4口分程の大きさにちぎり、残りをユウヘあげた。
さすがに、かぶりついたような断面ではないからちぎってたんだろうけど、食べかけの方をユウにあげる訳には行かない。

「はい、どうぞ!」
「……ありがと。でもお前もう少し食えよ。嫌なのは分かるが、沢山歩くんだ。あとこれくらいは頑張って食え。」

ユウは僕の渡したパンの欠けていない方を2口分程ちぎり渡してきた。
「うぅ~いいよ…そんなに要らない。」
「いいから、俺の水少しやるから頑張れ。」
「……いい。頑張って食べます……」
「いいこ((ナデナデ))」

そう言ってユウは僕の頭をなでなでしてくれた。
そんなことされたら食べるしかないじゃん…。
そして僕は、ちまちまとユウから手渡された2口サイズのパンを食べ始めた。

「…なにこれ。硬っ!ちぎる時も思ったけど硬すぎない?!」
「あははっ!確かにな…昨日俺も食ってて思ったよ。ミカには辛いだろうなって。だから、最悪それだけでいいよ。食べるの。さっきの自分でちぎってたのはとりあえずしまっておけ」
「……あーそゆことね」
「そゆこと」

ユウは僕のために食べられるサイズに切って渡してくれたのだ。
僕が自分でちぎったのはきっと食べきれないから。
これだけ硬いと、お腹も膨れるよね。咀嚼しまくるし。



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