自由に、そして幸せに。

あめ

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そうして僕達は小屋から出て、また森の中を歩き始めた。
もちろん小屋は無限収納インベントリの中に入れてある。

「ねぇ今更だけどさ、この森って変だよね。空を覆い隠す木や葉で頭上から光は入ってこないから、真っ暗なはずなのに真っ暗じゃない。確かに暗いけど、ちゃんとお互いは見えるし、道に落ちてる石でさえハッキリ見える。
変すぎじゃない?」

本来光の届かないこんな森では懐中電灯やらなんやらで明かりを灯して歩く必要がある。
なのに全然その必要が無い。
僕は暗いのがダメだ。なのに、案外平気。
暗いという認識はしてるのに、視界は別に暗くない。変なのだ。なぜ昨日は気にならなかったのか……不思議だ。

「なんなんだろうな……俺も気にはなっていた。
でも、ミカは怖がってないようだし、いいかなと思って別に深く考えていなかった。あかりの用意も要らないしな。」
「……まぁ確かにそうだね。両手空くもんね。………親切な森だと、思えばいい、よね…………。」
「ああ。…なんか歯切れ悪いが大丈夫か?」
「うん。もういっか!考えるの面倒だしね!怖くないしいいよね!」
「?あぁ。」

なんかユウって考えが雑だよね…まぁ僕も大概雑だと思うけど…あはは…はぁ~
まぁでも確かに怖くはない。暗いはずなのに視界はクリアなため全然平気だ。そして何より両手があくため安全だし、ユウちゃんとも手を繋げる!手を繋げる!ふふんっ!

「ユウちゃん!手!つなご」
「ん」

僕が手を繋ごうと言うと、普通に手を差し出してくれ、繋いでくれた。

「やっぱ怖い?」

あーなんか変な勘違いしてる…多分僕が“気にしない!”って宣言したのも、その話を振ったのも、多分本当は怖かったからだとでも思っているんだろう。
手を繋ごうと言ったのも、不安だからだと。
この会話の流れだとそう勘違いしてもおかしくない。

「ちがうちがう!ただ、両手あくし、片手繋いでも問題ないかなって思っただけだよ!」
「そうか。ならいい。」
「うん!」

そうして僕達は手を繋ぎ、昨日よりは比較的なだらかな道をルンルン気分ですすんで行った。

「~~~♪」
「~~♪」
「「~~~~♪」」

初めは僕が何となく始めたそれにユウも続き、2人仲良く鼻歌を口ずさんでいる。

そうして僕達(主に僕)は今にもスキップをしてしまいそうなくらいにルンルンと楽しい気持ちでしばらく歩き続けた。

「~~~♪」
「今日はやたら元気だな~そろそろ休憩しなくて平気か?昨日より大分歩いたぞ?」
「あーんーまだもう少し平気だよ~
~~~♪」
「そうか、ならもう少し歩こう(ちょっとスキップ気味なのかわいい…♪)」
「ユウちゃんはもう歌わないの?」
「…歌う」

「「~~~♪」」

そんなこんなで体感3時間程、休憩をせずに歩き続けた。
ユウちゃんがペース管理をしてくれていたのか、きのうより歩いた時間は長いが歩くスピードは少し遅かった。
その為休憩をとらずにいられたのだろう。
しかし、さすがに疲れてきたので休憩をとることにした。


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