自由に、そして幸せに。

あめ

文字の大きさ
上 下
24 / 44

23

しおりを挟む
「……スゥ……スゥ……スゥ……」

ミカの規則正しい寝息が聞こえ、ちゃんと眠ったのだと安心する。

新しい環境で不安になりベッドで寝られないんじゃないかと心配していたが、大丈夫そうだ。

昔はベッドで寝れなかった。無理にベッドに乗せると怖がって怯えていたっけ。今はもうそんなことは極々稀にあるくらいで殆どはベッドで眠っている。

今回は慣れない環境だからベッドじゃ無理だと思い、今までベッドで眠れない時に使っていたふわふわしたものたちを再現して用意しておいたんだが不要だったようだ。
まぁベッドで眠った方が疲れが取れるので、使わないに越したことはない。しかし、用意しておくに越したこともないのだ。

俺は隣でスウスウと可愛い寝息を立てて可愛い寝顔のミカのおでこの髪を優しく撫でるように払った。

俺も寝ようと思ったが、さすがにお腹がすいている。このままだとお腹の音がなり、ミカを起こしてしまいかねない。
それはダメだと思い、少しだけミカから距離を取り、無限収納インベントリからパンを1つ出した。

「……んんっ……」

やばい…俺が離れたからミカがちょっと起きそうになった。しかしここでくっつきなおしてもそれはそれでパンは食べにくいし、また動くから起こしかねない……困った。

とりあえずお腹がならないように急いでこのパンを食べてしまおう。
そう思い俺は、少し硬いパンにかぶりついた。

あぁ~これはミカは苦手だろうな……きっと1口食べるのにものすごく時間がかかりそうだ。

内側も外側も硬く、味はまぁ…フランスパンに何処と無くだが似ている…きがする。硬さもまぁ…フランスパンと同じぐらい…か?最近食べていなかったから断言は出来ないが。

手のひらサイズの少し硬い丸いパン。

フランスパンが急に食べたくなった。
だがミカはどちらも苦手だろうな……
そもそもミカは固形物が苦手だからな……



……………………パンの数が多く余っていたのも……そういうことか……?…………いや、違うか…考えすぎだよな………



いろいろと思考をめぐらせながら俺はパンをひとつ食べ終えた。

歯磨きとか無いし、作っても水がないからすすげないし、そもそもこの状態で歯磨きなんてできないし。
その為、《ウォッシュ》と心の中で口元をイメージしながら唱えると、口内がスッキリした。
《クリーン》よりも磨いた感のありそうな響だ。

おそらく魔法だが、魔法なのかスキルなのかはよく分からない。
確かに便利だ。どっちか分からなくても考えるだけで使えるというのは。

口内もスッキリしたし、俺はミカの側へ戻りひっついた。
しかしミカは、別に起きる様子もなくホッとする。

俺も寝よう。腹も…まぁ満たされてはいないが、なにか入れのでお腹がすきすぎて辛いという状況にはならなそうだし。

そうして俺はうとうとし始めた。
このまま何も無く2日目を迎えられることを願いながら。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生先がハードモードで笑ってます。

夏里黒絵
BL
周りに劣等感を抱く春乃は事故に会いテンプレな転生を果たす。 目を開けると転生と言えばいかにも!な、剣と魔法の世界に飛ばされていた。とりあえず容姿を確認しようと鏡を見て絶句、丸々と肉ずいたその幼体。白豚と言われても否定できないほど醜い姿だった。それに横腹を始めとした全身が痛い、痣だらけなのだ。その痣を見て幼体の7年間の記憶が蘇ってきた。どうやら公爵家の横暴訳アリ白豚令息に転生したようだ。 人間として底辺なリンシャに強い精神的ショックを受け、春乃改めリンシャ アルマディカは引きこもりになってしまう。 しかしとあるきっかけで前世の思い出せていなかった記憶を思い出し、ここはBLゲームの世界で自分は主人公を虐める言わば悪役令息だと思い出し、ストーリーを終わらせれば望み薄だが元の世界に戻れる可能性を感じ動き出す。しかし動くのが遅かったようで… 色々と無自覚な主人公が、最悪な悪役令息として(いるつもりで)ストーリーのエンディングを目指すも、気づくのが遅く、手遅れだったので思うようにストーリーが進まないお話。 R15は保険です。不定期更新。小説なんて書くの初めてな作者の行き当たりばったりなご都合主義ストーリーになりそうです。

賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。

かるぼん
BL
******************** ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。 監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。 もう一度、やり直せたなら… そう思いながら遠のく意識に身をゆだね…… 気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。 逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。 自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。 孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。 しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ 「君は稀代のたらしだね。」 ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー! よろしくお願い致します!! ********************

転生令息の、のんびりまったりな日々

かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。 ※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。 痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。 ※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

悪役令嬢に転生したが弟が可愛すぎた!

ルカ
BL
悪役令嬢に転生したが男だった! ヒロインそっちのけで物語が進みゲームにはいなかった弟まで登場(弟は可愛い) 僕はいったいどうなるのー!

処理中です...