自由に、そして幸せに。

あめ

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お互い改めて絆を深めるため強くハグをし、僕は癒されて幸せいっぱいだった。
しかし、鉄臭い。2人とも血だらけだし、すぐ近くにはたくさんの………あ、やば、ちょっと気分悪くなってきた…。

て言うかさ、僕って精神耐性レベルMAXだよね?なんで以前と変わらず精神的に弱いんだろう……
もしかしてMAXでこれってこと?だとしたら僕元々メンタル強かったってこと?
………まぁ昔同じ場所にいた人とかはすぐに気が狂っておかしくなったり、人形みたいに何も反応しなくなったりしてたしね…それに比べて僕は丈夫だったから手加減されなかったっけ……お医者さんにも“まさか社会復帰出来るとは思わなかった”って言われちゃったしね……
じゃあ、僕はとても丈夫だったのか…メンタルが。だからこの程度ですんでる。スキルがMAXでも影響は出るけどそれはもう仕方ないってことか……。
やめよ……終わったこと…もう昔のこと。それに、もはやこの人生には何も関係の無いこと。

それより!完全に脱線してるけどみんなを安らかに眠らせるために穴を掘るところで、道具がなくて素手でやるか~って話してたはず…….

まって。《創造》のスキルでシャベルって作れないかな?そうだよ!その手があるじゃん!
ちょっと残念だけどこんなことしてる場合じゃない!早くしないと!

「ねぇユウ!今のこの幸せタイムも大事だけど、こんなことしてる場合じゃないよ!早くみんなを何とかしないと!いつまでもこのままは可哀想だし、精神衛生上宜しくない!」
「!!あぁ、そうだったな!掘ろうとしてた所だったな…でもどうする?手がボロボロになる」
「うん、それでね!僕思ったんだけど《創造》のスキルでシャベル作ればいいんじゃないかなって!多分使い方あってるはずなんだよね…」
「あーそっか!そうだな!掘り始める前に気がついてよかった……」
「うん!じゃちょっと待ってね!僕ちょっと作ってみるから!」
「あぁ、頼むよ」
「ん」

シャベルを思い浮かべればいいんだよね…きっとあってるはず。
「・・・・・・・・・あ!出来たよ!ジャーン!シャベル~~♪」
「まじか…そんな感じなんだな…てか、はしゃいでて可愛い…((ボソッ))

お疲れ!じゃ俺も自分の分作ってみるよ」
「え、あ、そう?まぁ自分でも作ってみたいよね!OK!頑張れ!」
「・・・・・・・・・できた。」
「やったね!おめでと~~!僕と同じ見た目だ!お揃いだね!ふふっ、じゃ早速これ使ってほっていこっか!」
「おう!」


僕達は作ったシャベルを使って一生懸命穴を掘った。
しかし硬い土を掘るにはいくら道具を使っていても、子供の身体では筋力がないため骨が折れる。随分ほった気分になるが正直まだ全然ダメだ。小さな子供の僕が体育座りをする時ちょうどすっぽり入るという感じだ。これじゃ埋められない。

「はぁ…はぁ…ねね、ユウちゃん…きついからちょっと休憩、しませんか?正直もうしんどい…腕もげるぅ……」
ちょっと休みたい。そう思って話しながらシャベルを地面に突き刺し、持ち手に手を置きユウの方を向き頬をのせ、聞いた。

「そうか?なら少し休んでていいよ?さっき吐いたりして体力使ってたしな…俺はまだ平気だしやってるよ」
「え~ユウは平気なの?((むーっ))……僕が起きるまで散々泣いて体力使いまくってたくせに!」
「はっ?!っバカ!忘れろよ!まだ覚えてたのかよ!!バカ!」

僕がさっきの事を言うと、途端に顔を真っ赤にして恥ずかしそうに僕に抗議した。
ふふっ、かわいい♡

「あははっ♪ごめんごめん((クスクス))
僕より“体力”多かったし平気かもしれないけど、せっかくだから一緒に休憩しようよ」
「………わかった」

話を戻され、それ以上文句も言えなくなったことが不満なのか少し口をとがらせながら返事をした。
そしてとりあえず僕達はシャベルを置いて体を休めることにした。

「ちょっと創造スキルで飲み物とか作ってみる。できるかな…」
「あぁ。…そう言えば無限収納インベントリには何も入ってないのかな?」
「あ~普通は入ってないんじゃない?…(“無限収納インベントリ”)……水袋が1つとパンが4つで食べかけが1つ入ってる…」
「え、入ってるのか?!(“無限収納インベントリ”)…ほんとだ。……俺のには水袋が1つ。プラス飲みかけが1つ、まだ全然飲んでなくてほとんど残ってるみたいだ。それと、パンが2つだ」
「なんで数が違うんだろうね?……僕のはパンの数は多いけど1つは食べかけで水が少なく1つだけ…」
「反対に俺はパンの数が少なくて、水は約1本多いな…」
「……もしかしたら今までこの身体の子が使ってたんじゃない?その時の残りなのかもしれないよ」
「あ~なるほどな……そうすると元々スキルを持ってたってことだよな?……だったらこのステータスでなぜレベル1なんだ?」
「え?……それは多分レベルが上がりにくいんだよ!もしくはレベルをあげられるような環境じゃなかったか……こどもだし。
それはもう分からないよ、僕達は記憶が無いんだから。とりあえず水飲も!」
「…………そうだな」
ゆうはまだ納得してなくてもやっとするのか、微妙な表情をしていた。だけど考えたって仕方ない。

「まぁ深く考えなくていいと思うよ。僕達には今のところもう関係のないことだし」
「……!そうだな…神様も気にしなくていいって言ってたしな」
「そうだよ」
ゆうも気づいたのか考えるのをやめた。
そう、僕達はこの新しい人生を楽しむのだ。そのための記憶喪失。考えたらダメなのだ。
だからこの話はもうおしまい。

「……ねぇそういえば今思いついたんだけど、穴掘り魔法でどうにかならないかな?」
「・・・・・・・・・・・・」
「あははっ♪まぁそうなるよね~僕もね思ったよ((クスクス))
なんで初めに気が付かなかったんだろうって…
目から鱗すぎ~って感じだよね。
ふふっ、いつまで固まってるの~?

…とりあえずやってみるね」

僕が魔法の可能性に気づき伝えると、ユウはただただ衝撃を受け固まってしまった。
ちょっと面白くて笑ってしまったけど、ずっと固まってるのでほっといてやってみることにした。そんなに固まるほどかな……

取り敢えず試してみようと思ったけど変な呪文とかは恥ずかしいので出来れば言いたくない。
この世界の呪文じゃなかった時とか想像するといたたまれない。

……よく考えてみればステータスを確認する時は唱えるか念じるかの2択だったから、念じるだけでもいけるかもしれない。……肝心の呪文が分からない。考えるのも恥ずかしいんだけど……どうしよう………
あ!そう言えば創造のスキルはイメージするだけでできた!もしかしたら呪文なんていらないのかもしれない!そうだよ、よくある物語でも“イメージ大事!”みたいなこと言ってたはずだし!恥ずかしい思いしなくて済むかもしれない!よし、まずやってみよう!!

あそこに穴を作って…埋める………あそこに穴を作って……埋める……あそこに穴が空いて……人を入れ…埋める……イメージ……イメージ………

「・・・・・・ふぅ~出来た!!」
「…凄いな!お疲れ様!どうやったんだ?」
僕が魔法について考えてる間に復活したのか、ユウは少し興奮気味に僕に質問をし、お水を渡してくれた。

「なんかね、創造スキルを使った時みたいにイメージすればいいかな~って思って穴を作って埋めるようにイメージしたら出来たよ!
まぁみんなを一気に埋めることは出来なかったけどね。範囲的に今埋められたのは3人ぐらいかな…多分それが限界。

でもよかった~変な呪文とか唱えないとできないとかだったら、僕もう魔法は封印してたね…体力作りに専念しなきゃいけなくなるところだったよ」
「((クスクス))よかったな。じゃあ魔法でできることもわかったし、手分けして埋めてくか!
…どうする?先に休憩するか?疲れてたろ?」
「んーいや。パパっとやってのんびりした方が楽だし、先にやっちゃおう。この景色の中で休憩しても気は休まらないしね」
「そうだな。じゃさっさとやってしまおう」
「ん!頑張ろ~う!」


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