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愛情
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業務は無事にひと段落し、今日の分を無事に終えてはぁと腕を上げ伸びをする。
途中からは仕事に集中出来る様に配慮してくれたのか、健斗はオフィスの彼方此方をこっそり見て回っていたのだ。それでも暇になれば椅子の背凭れにくっ付いて「邪魔はしないから」と宣言した上で大して面白くも無いだろうに作業の様子を真剣に見ていた。
「帰んぞ」
「多分問題なく出来ると思うから今日はハンバーグ作るよ、包好きでしょ?」
「んじゃ買い物してかねぇとな……東堂、先上がるわ。お疲れ。酒に溺れてないでちゃんと彼氏と話せよー」
「はいはいそうしますー!七森お疲れー」
マウスでカチカチと慣れた操作でパソコンをシャットダウンし、恐らくはもう少しで終わるだろう隣の東堂に声を掛けて鞄を手にすると中の眼鏡ケースを出しブルーライトカットの眼鏡を外してそれに入れ、鞄に戻して椅子から立ち上がる。
オフィスの出入口にそのまま向かって歩き始めると健斗がそれに付いて来た。
「包の仕事ってこんな風にしてたんだね、職場見学楽しかった。お疲れ様」
「おう。でも次からは出禁な」
「ええ!?何で?俺途中から大人しかったよ?」
「殆どくっ付いてたじゃねぇか」
すぐ横の健斗に聞こえれば良い程度の小声で喋りながらオフィスを出てエレベーターの前まで進むと下降のボタンを押して暫く待つ。不服そうな健斗を横目に、到着し扉が開いたエレベーターに二人で乗り込んで一階と閉のボタンを押せばガコンと扉が閉まりエレベーターはまた動き出す。
健斗の姿はこのエレベーターの監視カメラにも映ってはいないのだろう。居る事を教えてしまった東堂は例外として、案の定出勤から退勤する最後の最後まで誰一人として健斗が居る事に気付く奴は居なかった。
そりゃ当然か、と思いつつも何処か寂しいと感じてしまう。健斗は此処に居るのに、やっぱりもう死んでいるのだと現実突き付けられる様で良い気はしない。こいつが死んだという事実をまだ認め切れていないのだ。
そんな事を考えている内に一階に到着し扉が開く。出る前に一度健斗の方を向けばこいつも此方を見ていて視線が合った。
「誰にも見えてないなら、手を繋いでもバレないよね」
「馬鹿かお前」
口ではそんな事を言いつつも健斗の手が俺の手に触れると思わず握ってしまう。相変わらず温度が無い。冷たく感じる程だ。
「包はほんと素直じゃないね~」
「良いから行くぞ」
あくまでも自然を装って、エレベーターから降りてビルの正面玄関に向かって歩き出す。手を繋いだ至近距離の健斗は普段より少し嬉しそうだった。
帰り道にあるスーパーマーケットは生鮮食品を扱うだけあって涼しい。自動ドアを潜り抜けると心地良い温度が出迎えてくれて外の茹だる様な暑さから僅かな時間とは言え解放された気分になる。一度繋いでいた手を離し、入口のすぐ横にある買い物籠をひとつ手に取り健斗と青果コーナーを進んでいく。
「包、この玉ねぎ籠に入れて」
「これでいいのか」
「そう、丸くて皮がツヤツヤの方が美味しいんだよ」
「へぇ……」
玉ねぎの選び方なんてものはさっぱり分からないが健斗が言うのならそうなんだろう。次は挽肉か、と鮮魚コーナーを通り過ぎようとした所で健斗にTシャツの裾をほんの少し引かれる。
「ん?ハンバーグに魚いらねぇだろ」
「でも見て、このアジ。鮮度良さそうだから刺身かたたきで食べたら美味しそうじゃない?」
「アジ……」
「今日食べる気分じゃなかったら、明日南蛮漬けか塩焼きにでもしようか」
確かに目も綺麗で腹もふっくらしていてきらきらとした魚――これがアジ?という事は今聞いたので分かる。アジの開きとか朝飯で食べた事はあるしアジフライだって何度も夕飯に出て来た。目利きに自信のあるらしい健斗が言うならそれなりに上物なのだろう。一応買っておくか、と健斗が興味を示した一尾入りのアジのパックをひとつ籠に入れる。
「てか捌けんの?お前」
「簡単な魚ならね。魚用の包丁もあるし。ただ余りにも大きいのとか小さすぎるのは流石に、だけど」
「ほーん。じゃ刺身。飯の後の酒のつまみにする」
「任せて。包の大好きなスナック菓子より最高のつまみにしてあげるから」
やたら自信満々な健斗にふっと小さく笑む。夕飯の後は一息吐いてから二人で晩酌するのがルーティンだった。テレビのバラエティ番組やサブスクの映画を見ながらつまみはその時次第でスナック菓子だったり健斗が何か作ったりと様々で、一緒に飲む安いウィスキーのハイボールは特別なものだ。
酒好きの俺は二十歳を過ぎた頃から良く飲み会に行っていたのもあり、そんな俺に対して一緒に過ごす時間を少しでも長く大切にしたいという健斗の提案から二人だけの晩酌会が始まったのを覚えている。それ以降は最低限だけで殆ど飲み会には行っていない。
「次、挽肉だろ?」
「そう、鶏の挽肉とか豚の挽肉とか合挽とか色々あるけど惑わされずに牛の挽肉。合挽とかも使った事あるけど、包は牛挽肉だけのハンバーグが好きだから」
「子どもの頃からの仲良しで、付き合ってからだって七年近くも一緒に居ると好みも完全に把握されてるわなそりゃ」
「うん、包の胃袋は完全掌握してるしずっと一緒だからね。包が最初で最後の恋人だよ」
「本当の意味で最後になっちまったけどな」
感傷に浸りそうになるがすぐにそれを飲み込んで精肉コーナーへと足を向け歩き始める。健斗の指示通りに牛挽肉のパックを厳選してその中からひとつを買い物籠に入れた。
「あとは何が要るんだ?」
「パン粉も卵もあるし、スパイスとハーブもまだ残ってたから大丈夫。必要なのは牛乳とハイボールに使う炭酸水位かな?」
「ん、分かった」
まずは牛乳を探して乳製品コーナーへと行き、健斗が指差した低脂肪乳の紙パックをひとつ手に取り籠に入れる。その後は酒類コーナーへと先導する健斗に付いて行き、積まれた段ボールの上から炭酸水のペットボトルを二つ掴んでまた籠に入れた。なんやかんやで重みが増した買い物籠を確りと掴み無駄な買い物はせずにレジへと向かう。
「セルフレジ使える?包」
「馬鹿にすんな。この位今時誰でも出来んだろ」
比較的空いているセルフレジのレーンに並ぶと程無くして自分の順番がくる。セルフレジの籠置き場に買い物籠を置いてから横にある大き目の袋を一枚取ってバーコードをスキャンし、読み込み済みの物を乗せる台にセットした。後はひとつずつバーコードを読み込んで袋に詰め込んで行くだけなので簡単だ。
詰め込む作業に少々難航したが食べるのは自分なので余り気にしない事にして、飲み物から先に次々適当に放り込んだ。鞄から去年の誕生日に貰った健斗とお揃いのブランドの財布を出し現金払いのボタンを押して機械に札と小銭をそれぞれ入れる。会計が済むと釣銭を忘れずに取り財布に戻してそれをまた鞄に入れ、レシートを捨てて買い物籠を所定の場所に置いてから袋を手に持ち健斗と共にスーパーを後にした。
外は案の定そう簡単に涼しくなる訳も無く相変わらず蒸し暑い。はぁと溜息を零して帰路を辿る。八月に入ったばかりの空はまだ明るく、西日が眩しかった。足元にある影は一人分。横に健斗が居るのに陽に照らされ伸びる影は俺のものだけ。
些細な事でもやはりひとつずつ着実に現実を示されて胸が苦しくなる。見えるだけでなくどんなに触れて話せていても、健斗はもう故人だ。その事実は揺るがない。
何よりこいつはもう幽霊で、本当であれば――自然の摂理に従うなら此処に居てはいけない存在だ。それでもこいつは……健斗は生前と何ら変わりない笑顔で当たり前の様に横に居る。死んでも傍に居続けるとか愛が重いんだよ馬鹿、と罵りたくてもまた涙が込み上げて来そうで言葉にする事は出来なかった。
「包」
「何だよ」
「俺の世界はいつだって包だけなんだよ?包しか欲しくないし俺には包しか見えない。それは死んだって変わらないよ。だからそんな顔しないで」
「お前の愛の重さは良く知ってるよバーカ」
寂しい気持ちがうっかり表情に出ていたのかもしれない。健斗に顔を覗き込まれ、こいつは色々察したのかそう言って微笑み掛けて来る。悔しいけどこいつが好きで好きで堪らないと自覚させられてしまう。
俺だって健斗が最初で最後の恋人だろう。これ以上好きになれる相手なんか出来る筈が無いし、そもそもこの幽霊は俺が死んでも離してくれるとは到底思えない。
次の冬が来れば俺達は付き合って七年になる。子どもの頃を含めたらどんな長い時間を共に過ごしているか分からない。今思えば健斗が告白して来るまで気付かなかっただけで、俺だってずっとこいつが好きだったんだ。
初恋で、初めての恋人で、初めての相手。そして最初で最後の愛だ。幽霊と付き合い続ける事が本当に幸せなのかは分からない。でも、どうしようもなく好きなのだ。例え他人に間違っていると言われてもその気持ちは変わらない。好きという気持ちに嘘は吐けない。
「ねぇ包」
「ん?」
「愛してる」
「……俺も」
帰り道を歩いている最中、少し冷たい温度を感じると共に手に下げた買い物袋の重みが軽くなる気がした。健斗が手を繋ぐ様に、傍から見ても自然に見える形で袋を持ってくれている。こいつのそんな些細な気遣いも大好きで仕方なかった。
途中からは仕事に集中出来る様に配慮してくれたのか、健斗はオフィスの彼方此方をこっそり見て回っていたのだ。それでも暇になれば椅子の背凭れにくっ付いて「邪魔はしないから」と宣言した上で大して面白くも無いだろうに作業の様子を真剣に見ていた。
「帰んぞ」
「多分問題なく出来ると思うから今日はハンバーグ作るよ、包好きでしょ?」
「んじゃ買い物してかねぇとな……東堂、先上がるわ。お疲れ。酒に溺れてないでちゃんと彼氏と話せよー」
「はいはいそうしますー!七森お疲れー」
マウスでカチカチと慣れた操作でパソコンをシャットダウンし、恐らくはもう少しで終わるだろう隣の東堂に声を掛けて鞄を手にすると中の眼鏡ケースを出しブルーライトカットの眼鏡を外してそれに入れ、鞄に戻して椅子から立ち上がる。
オフィスの出入口にそのまま向かって歩き始めると健斗がそれに付いて来た。
「包の仕事ってこんな風にしてたんだね、職場見学楽しかった。お疲れ様」
「おう。でも次からは出禁な」
「ええ!?何で?俺途中から大人しかったよ?」
「殆どくっ付いてたじゃねぇか」
すぐ横の健斗に聞こえれば良い程度の小声で喋りながらオフィスを出てエレベーターの前まで進むと下降のボタンを押して暫く待つ。不服そうな健斗を横目に、到着し扉が開いたエレベーターに二人で乗り込んで一階と閉のボタンを押せばガコンと扉が閉まりエレベーターはまた動き出す。
健斗の姿はこのエレベーターの監視カメラにも映ってはいないのだろう。居る事を教えてしまった東堂は例外として、案の定出勤から退勤する最後の最後まで誰一人として健斗が居る事に気付く奴は居なかった。
そりゃ当然か、と思いつつも何処か寂しいと感じてしまう。健斗は此処に居るのに、やっぱりもう死んでいるのだと現実突き付けられる様で良い気はしない。こいつが死んだという事実をまだ認め切れていないのだ。
そんな事を考えている内に一階に到着し扉が開く。出る前に一度健斗の方を向けばこいつも此方を見ていて視線が合った。
「誰にも見えてないなら、手を繋いでもバレないよね」
「馬鹿かお前」
口ではそんな事を言いつつも健斗の手が俺の手に触れると思わず握ってしまう。相変わらず温度が無い。冷たく感じる程だ。
「包はほんと素直じゃないね~」
「良いから行くぞ」
あくまでも自然を装って、エレベーターから降りてビルの正面玄関に向かって歩き出す。手を繋いだ至近距離の健斗は普段より少し嬉しそうだった。
帰り道にあるスーパーマーケットは生鮮食品を扱うだけあって涼しい。自動ドアを潜り抜けると心地良い温度が出迎えてくれて外の茹だる様な暑さから僅かな時間とは言え解放された気分になる。一度繋いでいた手を離し、入口のすぐ横にある買い物籠をひとつ手に取り健斗と青果コーナーを進んでいく。
「包、この玉ねぎ籠に入れて」
「これでいいのか」
「そう、丸くて皮がツヤツヤの方が美味しいんだよ」
「へぇ……」
玉ねぎの選び方なんてものはさっぱり分からないが健斗が言うのならそうなんだろう。次は挽肉か、と鮮魚コーナーを通り過ぎようとした所で健斗にTシャツの裾をほんの少し引かれる。
「ん?ハンバーグに魚いらねぇだろ」
「でも見て、このアジ。鮮度良さそうだから刺身かたたきで食べたら美味しそうじゃない?」
「アジ……」
「今日食べる気分じゃなかったら、明日南蛮漬けか塩焼きにでもしようか」
確かに目も綺麗で腹もふっくらしていてきらきらとした魚――これがアジ?という事は今聞いたので分かる。アジの開きとか朝飯で食べた事はあるしアジフライだって何度も夕飯に出て来た。目利きに自信のあるらしい健斗が言うならそれなりに上物なのだろう。一応買っておくか、と健斗が興味を示した一尾入りのアジのパックをひとつ籠に入れる。
「てか捌けんの?お前」
「簡単な魚ならね。魚用の包丁もあるし。ただ余りにも大きいのとか小さすぎるのは流石に、だけど」
「ほーん。じゃ刺身。飯の後の酒のつまみにする」
「任せて。包の大好きなスナック菓子より最高のつまみにしてあげるから」
やたら自信満々な健斗にふっと小さく笑む。夕飯の後は一息吐いてから二人で晩酌するのがルーティンだった。テレビのバラエティ番組やサブスクの映画を見ながらつまみはその時次第でスナック菓子だったり健斗が何か作ったりと様々で、一緒に飲む安いウィスキーのハイボールは特別なものだ。
酒好きの俺は二十歳を過ぎた頃から良く飲み会に行っていたのもあり、そんな俺に対して一緒に過ごす時間を少しでも長く大切にしたいという健斗の提案から二人だけの晩酌会が始まったのを覚えている。それ以降は最低限だけで殆ど飲み会には行っていない。
「次、挽肉だろ?」
「そう、鶏の挽肉とか豚の挽肉とか合挽とか色々あるけど惑わされずに牛の挽肉。合挽とかも使った事あるけど、包は牛挽肉だけのハンバーグが好きだから」
「子どもの頃からの仲良しで、付き合ってからだって七年近くも一緒に居ると好みも完全に把握されてるわなそりゃ」
「うん、包の胃袋は完全掌握してるしずっと一緒だからね。包が最初で最後の恋人だよ」
「本当の意味で最後になっちまったけどな」
感傷に浸りそうになるがすぐにそれを飲み込んで精肉コーナーへと足を向け歩き始める。健斗の指示通りに牛挽肉のパックを厳選してその中からひとつを買い物籠に入れた。
「あとは何が要るんだ?」
「パン粉も卵もあるし、スパイスとハーブもまだ残ってたから大丈夫。必要なのは牛乳とハイボールに使う炭酸水位かな?」
「ん、分かった」
まずは牛乳を探して乳製品コーナーへと行き、健斗が指差した低脂肪乳の紙パックをひとつ手に取り籠に入れる。その後は酒類コーナーへと先導する健斗に付いて行き、積まれた段ボールの上から炭酸水のペットボトルを二つ掴んでまた籠に入れた。なんやかんやで重みが増した買い物籠を確りと掴み無駄な買い物はせずにレジへと向かう。
「セルフレジ使える?包」
「馬鹿にすんな。この位今時誰でも出来んだろ」
比較的空いているセルフレジのレーンに並ぶと程無くして自分の順番がくる。セルフレジの籠置き場に買い物籠を置いてから横にある大き目の袋を一枚取ってバーコードをスキャンし、読み込み済みの物を乗せる台にセットした。後はひとつずつバーコードを読み込んで袋に詰め込んで行くだけなので簡単だ。
詰め込む作業に少々難航したが食べるのは自分なので余り気にしない事にして、飲み物から先に次々適当に放り込んだ。鞄から去年の誕生日に貰った健斗とお揃いのブランドの財布を出し現金払いのボタンを押して機械に札と小銭をそれぞれ入れる。会計が済むと釣銭を忘れずに取り財布に戻してそれをまた鞄に入れ、レシートを捨てて買い物籠を所定の場所に置いてから袋を手に持ち健斗と共にスーパーを後にした。
外は案の定そう簡単に涼しくなる訳も無く相変わらず蒸し暑い。はぁと溜息を零して帰路を辿る。八月に入ったばかりの空はまだ明るく、西日が眩しかった。足元にある影は一人分。横に健斗が居るのに陽に照らされ伸びる影は俺のものだけ。
些細な事でもやはりひとつずつ着実に現実を示されて胸が苦しくなる。見えるだけでなくどんなに触れて話せていても、健斗はもう故人だ。その事実は揺るがない。
何よりこいつはもう幽霊で、本当であれば――自然の摂理に従うなら此処に居てはいけない存在だ。それでもこいつは……健斗は生前と何ら変わりない笑顔で当たり前の様に横に居る。死んでも傍に居続けるとか愛が重いんだよ馬鹿、と罵りたくてもまた涙が込み上げて来そうで言葉にする事は出来なかった。
「包」
「何だよ」
「俺の世界はいつだって包だけなんだよ?包しか欲しくないし俺には包しか見えない。それは死んだって変わらないよ。だからそんな顔しないで」
「お前の愛の重さは良く知ってるよバーカ」
寂しい気持ちがうっかり表情に出ていたのかもしれない。健斗に顔を覗き込まれ、こいつは色々察したのかそう言って微笑み掛けて来る。悔しいけどこいつが好きで好きで堪らないと自覚させられてしまう。
俺だって健斗が最初で最後の恋人だろう。これ以上好きになれる相手なんか出来る筈が無いし、そもそもこの幽霊は俺が死んでも離してくれるとは到底思えない。
次の冬が来れば俺達は付き合って七年になる。子どもの頃を含めたらどんな長い時間を共に過ごしているか分からない。今思えば健斗が告白して来るまで気付かなかっただけで、俺だってずっとこいつが好きだったんだ。
初恋で、初めての恋人で、初めての相手。そして最初で最後の愛だ。幽霊と付き合い続ける事が本当に幸せなのかは分からない。でも、どうしようもなく好きなのだ。例え他人に間違っていると言われてもその気持ちは変わらない。好きという気持ちに嘘は吐けない。
「ねぇ包」
「ん?」
「愛してる」
「……俺も」
帰り道を歩いている最中、少し冷たい温度を感じると共に手に下げた買い物袋の重みが軽くなる気がした。健斗が手を繋ぐ様に、傍から見ても自然に見える形で袋を持ってくれている。こいつのそんな些細な気遣いも大好きで仕方なかった。
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