6 / 22
おまけ01*角と占術とメイドと執事①
しおりを挟む
「皆様ご機嫌いかがでしょうか、ウィザヴォード伯爵家メイド長のラディア=リディリズと申します。お気軽にラディとお呼びくださいませ」
「そして私がローデン=ロプスィヤ、筆頭執事でございます。我々は代々ウィザヴォード家にお仕えしている二家で、不肖ながら私の娘も当屋敷に」
「最近だと玄関番とか見回りとかしてるメイドのリース、じゃない、リスロットちゃんですよね!」
「ええ、クリサンセム様を玄関でお待たせしたり失礼を何度も致したあのメイドです……」
「『何やつなるか! 泥棒怪盗お断りです!』でしたっけ」
「ええ……」
「でもクリス様気にしてないみたいでしたよ。傷の手当ては完璧でしたし、リースちゃん可愛いですし大丈夫ですよ」
「貴女は油断するとすぐ言葉遣いが砕ける癖をどうにかしなさい」
「まあ、些細なことは置いておくとして、今日はちょっと角についてお話しましょう!」
「些細な?」
*角の大陸*
「そもそもこの[角]っていうのは[ホーンスプラウト]……角の大陸って呼ばれる大陸の人々にだけ広く見られる身体的特徴なんですよー。引っ越したら別ですけど、他の大陸や島国にはほとんど角持ちはいません」
「例えば、角の大陸から大洋を隔てた海上には、小さな島国が連なる[響玉諸島]というエリアがありますが……うっ、響玉……カメリアお嬢様のお可哀想な病の原因……許すまじ……」
「わー見せられない顔になりかけてます! ローデンさんアウトアウト! とりあえず、響玉諸島とかには角持ちの人はほとんどいません!」
「……そうですね、私どもこそ落ち着かねばなりません」
「と、とにかく、話を戻しますね。角を持つ人々は[占術]というタイプの魔術を使えるんです!」
「逆に、角を持たない人々には、いくら魔力があろうと決して占術を扱えないという点は重要です。ですから響玉諸島には占術の代わりに[呪術]という魔術があるわけですな。……ああ、人は皆[魔力]というものを持ち、それを常に無意識に使っている、という説明がまだでした」
「あっそうでしたね!」
*魔力 / 魔術*
「えーと、[魔力]って体に自然と蓄えられているエネルギーなんですね。体に溜め込んだ筋肉とか脂肪みたいな感じで」
「我々は、魔力を使う行為を全て引っくるめて[魔術]と表現します。魔術は大きく分けて二種類あります。一つ目が、魔力を純粋に力に上乗せして出す方法」
「これは誰でも無意識に自然にやっていることなんですよー。例えば走るときって、脚の筋肉の運動にプラスして脚から出る魔力も使って脚を動かしてるわけです。基本、何をするときにも基礎体力にプラスされる力なのでー、自然に魔力をたくさん放出できる人、イコール、肉体的に強い人です! 体を鍛えている人はもちろん強いんですけど、角持ちはだいたい魔力の保有量も出力も高いので、基礎体力よりも魔力鍛えた方がたくさんパワーアップしますね」
「そして二つ目が、魔力を意識して操り、技巧的に使う方法です」
「テクニカルといっても色んなのがありますけど、その一つが[占術]なのです!」
*占術*
「[占術]は、色々なものを見えるようにして借りる術ってイメージです。隠れたものを見透したりとか、見えない力を借りてきて使っちゃったりとか」
「高度な占術は[神占術]と呼ぶことがありますね。さて、その神占術の中で、最も高度な術は何か、お分かりですね?」
「はーい! もちろん[神託]……御三家の方々のみができる、鏡越しに神のお姿を現していただき、交信する術ですねー」
「神託を行えるのは御三家の角を持つ方々のみ。その理由は、各々の持つ角の性質によって、扱える占術が決まるためです」
「尖ってるとか丸まってるとか、太いとか細いとか、透明度とかそういうので変わるんですよー」
「さて、その詳細についてですが、まず御三家の……ん?」
「ラディさーん! お嬢様のお部屋からまた苦しそうなお声がー!」
「……ローデンさん締めお願いします。それでは!」
「ラディア! それにリスロット! 貴女方は全く……ゴホン。それでは皆様、本日はここまでとさせていただきます。次回があれば、角の性質と占術の関係についてお話し致しましょう」
「そして私がローデン=ロプスィヤ、筆頭執事でございます。我々は代々ウィザヴォード家にお仕えしている二家で、不肖ながら私の娘も当屋敷に」
「最近だと玄関番とか見回りとかしてるメイドのリース、じゃない、リスロットちゃんですよね!」
「ええ、クリサンセム様を玄関でお待たせしたり失礼を何度も致したあのメイドです……」
「『何やつなるか! 泥棒怪盗お断りです!』でしたっけ」
「ええ……」
「でもクリス様気にしてないみたいでしたよ。傷の手当ては完璧でしたし、リースちゃん可愛いですし大丈夫ですよ」
「貴女は油断するとすぐ言葉遣いが砕ける癖をどうにかしなさい」
「まあ、些細なことは置いておくとして、今日はちょっと角についてお話しましょう!」
「些細な?」
*角の大陸*
「そもそもこの[角]っていうのは[ホーンスプラウト]……角の大陸って呼ばれる大陸の人々にだけ広く見られる身体的特徴なんですよー。引っ越したら別ですけど、他の大陸や島国にはほとんど角持ちはいません」
「例えば、角の大陸から大洋を隔てた海上には、小さな島国が連なる[響玉諸島]というエリアがありますが……うっ、響玉……カメリアお嬢様のお可哀想な病の原因……許すまじ……」
「わー見せられない顔になりかけてます! ローデンさんアウトアウト! とりあえず、響玉諸島とかには角持ちの人はほとんどいません!」
「……そうですね、私どもこそ落ち着かねばなりません」
「と、とにかく、話を戻しますね。角を持つ人々は[占術]というタイプの魔術を使えるんです!」
「逆に、角を持たない人々には、いくら魔力があろうと決して占術を扱えないという点は重要です。ですから響玉諸島には占術の代わりに[呪術]という魔術があるわけですな。……ああ、人は皆[魔力]というものを持ち、それを常に無意識に使っている、という説明がまだでした」
「あっそうでしたね!」
*魔力 / 魔術*
「えーと、[魔力]って体に自然と蓄えられているエネルギーなんですね。体に溜め込んだ筋肉とか脂肪みたいな感じで」
「我々は、魔力を使う行為を全て引っくるめて[魔術]と表現します。魔術は大きく分けて二種類あります。一つ目が、魔力を純粋に力に上乗せして出す方法」
「これは誰でも無意識に自然にやっていることなんですよー。例えば走るときって、脚の筋肉の運動にプラスして脚から出る魔力も使って脚を動かしてるわけです。基本、何をするときにも基礎体力にプラスされる力なのでー、自然に魔力をたくさん放出できる人、イコール、肉体的に強い人です! 体を鍛えている人はもちろん強いんですけど、角持ちはだいたい魔力の保有量も出力も高いので、基礎体力よりも魔力鍛えた方がたくさんパワーアップしますね」
「そして二つ目が、魔力を意識して操り、技巧的に使う方法です」
「テクニカルといっても色んなのがありますけど、その一つが[占術]なのです!」
*占術*
「[占術]は、色々なものを見えるようにして借りる術ってイメージです。隠れたものを見透したりとか、見えない力を借りてきて使っちゃったりとか」
「高度な占術は[神占術]と呼ぶことがありますね。さて、その神占術の中で、最も高度な術は何か、お分かりですね?」
「はーい! もちろん[神託]……御三家の方々のみができる、鏡越しに神のお姿を現していただき、交信する術ですねー」
「神託を行えるのは御三家の角を持つ方々のみ。その理由は、各々の持つ角の性質によって、扱える占術が決まるためです」
「尖ってるとか丸まってるとか、太いとか細いとか、透明度とかそういうので変わるんですよー」
「さて、その詳細についてですが、まず御三家の……ん?」
「ラディさーん! お嬢様のお部屋からまた苦しそうなお声がー!」
「……ローデンさん締めお願いします。それでは!」
「ラディア! それにリスロット! 貴女方は全く……ゴホン。それでは皆様、本日はここまでとさせていただきます。次回があれば、角の性質と占術の関係についてお話し致しましょう」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる