上 下
3 / 3

妖怪食覚書き*其の壱

しおりを挟む
「さあてさて、しんぷるが好きなあたしでも料理はするって教えてあげる」

ーーーーーーーーーー



*【一反木綿のさらだ】*
  難易度*い
  貴重度*いろはにほ

「用意するものは白洲と死に掛けびと、そしてもちろん一反木綿!」
「白洲は場所で、用意物ではないだろう?」
「でもとっても大事な構成要素ものよ。あの場所でなくちゃあの味は出せないもの」
「成程。続けてくれ、親愛なるディア・お嬢さんレディ
「人の生気を吸って生きる妖怪に死に掛け人の唾液をあげる。どうなると思う? 生命せいめい死命しめいが混ざり極上の味になるの!」
「それで私は窒息の憂き目を見たわけか」
「でもそんな荒療治さえ無かったら、貴方勝手に死んじゃったでしょ?」
「どういう意味だ?」
「さて、さぁてね? いったいどういう意味でしょう?」
「……君は秘密が好きだな」
「そんなあたしが好きにならない?」
「……さて、ね」
「まあいいわ。後は好きに細かくするの、裂いても切っても千切ってもよし。食べやすくするための処理なんだけど、食感にも関わることだから」
「これにて完成、か――改めて思い返しても、君のしたことを『料理』と定義してよいものか、私には分からないよ」
「えー、どして? 一番おいしい食べ方よ?」
「『ジャック・ザ・リッパー』としてはもう少し丁寧な仕事を願いたいものだね」
「だったらあなたがやってみせてよ?」
「ほう?」



ーーーーーーーーーー



*【海坊主のしお衣活け作り】*
 難易度*いろ
 貴重度*いろ

「衣とは言うけど今度は本当に布々しくはなかったわよね?」
「どちらかと言えば食材の見た目と食感だった」
「そうでしょう、心配せずともそう珍味ばかり食べさすあたしじゃないわ」
「……妖怪食自体が珍味ではないか?」
「しぃぃぃぃーっ。それを言っちゃあお終いよ。だって美味しい珍味じゃないの」
「同意だな。さて、今回は私が『やってみせた』わけだ。口で言うのは簡単だね。刺身の調理法だ。出来うる限り薄く断面を滑らかに仕立てる……失敗していたらと思うとぞっとするね」
「あら? そんな事してくれちゃったら、またあれを呼び寄せて狩りをしてもらうわよ」
「ぞっとしないね」
「でも今回ひとつ良いこと知っちゃった。……妖刀使うと美味しくなる!」
「これからも調理器具にされてしまうようだな、お前」

[メスはカタカタと鞘の中で揺れ動いている]
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

矢庭竜
2023.01.04 矢庭竜

二人のやり取りがかわいいお話!それに、差し挟まれる三十一字がどれもセンス良くて凄いです。

解除
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

運命の人

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:47

オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番

BL / 連載中 24h.ポイント:4,568pt お気に入り:513

極道恋事情

BL / 連載中 24h.ポイント:1,108pt お気に入り:791

BLすけべ短編まとめ

BL / 完結 24h.ポイント:724pt お気に入り:83

muro - 使われたい男、使う男 -

BL / 連載中 24h.ポイント:1,384pt お気に入り:234

[R18] 輪姦されメス落ちする男子高校生

BL / 連載中 24h.ポイント:390pt お気に入り:292

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。