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妖怪食覚書き*其の壱
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「さあてさて、しんぷるが好きなあたしでも料理はするって教えてあげる」
ーーーーーーーーーー
*【一反木綿の素さらだ】*
難易度*い
貴重度*いろはにほ
「用意するものは白洲と死に掛け人、そしてもちろん一反木綿!」
「白洲は場所で、用意物ではないだろう?」
「でもとっても大事な構成要素よ。あの場所でなくちゃあの味は出せないもの」
「成程。続けてくれ、親愛なるお嬢さん」
「人の生気を吸って生きる妖怪に死に掛け人の唾液をあげる。どうなると思う? 生命と死命が混ざり極上の味になるの!」
「それで私は窒息の憂き目を見たわけか」
「でもそんな荒療治さえ無かったら、貴方勝手に死んじゃったでしょ?」
「どういう意味だ?」
「さて、さぁてね? いったいどういう意味でしょう?」
「……君は秘密が好きだな」
「そんなあたしが好きにならない?」
「……さて、ね」
「まあいいわ。後は好きに細かくするの、裂いても切っても千切ってもよし。食べやすくするための処理なんだけど、食感にも関わることだから」
「これにて完成、か――改めて思い返しても、君のしたことを『料理』と定義してよいものか、私には分からないよ」
「えー、どして? 一番おいしい食べ方よ?」
「『ジャック・ザ・リッパー』としてはもう少し丁寧な仕事を願いたいものだね」
「だったらあなたがやってみせてよ?」
「ほう?」
ーーーーーーーーーー
*【海坊主の汐衣活け作り】*
難易度*いろ
貴重度*いろ
「衣とは言うけど今度は本当に布々しくはなかったわよね?」
「どちらかと言えば食材の見た目と食感だった」
「そうでしょう、心配せずともそう珍味ばかり食べさすあたしじゃないわ」
「……妖怪食自体が珍味ではないか?」
「しぃぃぃぃーっ。それを言っちゃあお終いよ。だって美味しい珍味じゃないの」
「同意だな。さて、今回は私が『やってみせた』わけだ。口で言うのは簡単だね。刺身の調理法だ。出来うる限り薄く断面を滑らかに仕立てる……失敗していたらと思うとぞっとするね」
「あら? そんな事してくれちゃったら、またあれを呼び寄せて狩りをしてもらうわよ」
「ぞっとしないね」
「でも今回ひとつ良いこと知っちゃった。……妖刀使うと美味しくなる!」
「これからも調理器具にされてしまうようだな、お前」
[メスはカタカタと鞘の中で揺れ動いている]
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*【一反木綿の素さらだ】*
難易度*い
貴重度*いろはにほ
「用意するものは白洲と死に掛け人、そしてもちろん一反木綿!」
「白洲は場所で、用意物ではないだろう?」
「でもとっても大事な構成要素よ。あの場所でなくちゃあの味は出せないもの」
「成程。続けてくれ、親愛なるお嬢さん」
「人の生気を吸って生きる妖怪に死に掛け人の唾液をあげる。どうなると思う? 生命と死命が混ざり極上の味になるの!」
「それで私は窒息の憂き目を見たわけか」
「でもそんな荒療治さえ無かったら、貴方勝手に死んじゃったでしょ?」
「どういう意味だ?」
「さて、さぁてね? いったいどういう意味でしょう?」
「……君は秘密が好きだな」
「そんなあたしが好きにならない?」
「……さて、ね」
「まあいいわ。後は好きに細かくするの、裂いても切っても千切ってもよし。食べやすくするための処理なんだけど、食感にも関わることだから」
「これにて完成、か――改めて思い返しても、君のしたことを『料理』と定義してよいものか、私には分からないよ」
「えー、どして? 一番おいしい食べ方よ?」
「『ジャック・ザ・リッパー』としてはもう少し丁寧な仕事を願いたいものだね」
「だったらあなたがやってみせてよ?」
「ほう?」
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*【海坊主の汐衣活け作り】*
難易度*いろ
貴重度*いろ
「衣とは言うけど今度は本当に布々しくはなかったわよね?」
「どちらかと言えば食材の見た目と食感だった」
「そうでしょう、心配せずともそう珍味ばかり食べさすあたしじゃないわ」
「……妖怪食自体が珍味ではないか?」
「しぃぃぃぃーっ。それを言っちゃあお終いよ。だって美味しい珍味じゃないの」
「同意だな。さて、今回は私が『やってみせた』わけだ。口で言うのは簡単だね。刺身の調理法だ。出来うる限り薄く断面を滑らかに仕立てる……失敗していたらと思うとぞっとするね」
「あら? そんな事してくれちゃったら、またあれを呼び寄せて狩りをしてもらうわよ」
「ぞっとしないね」
「でも今回ひとつ良いこと知っちゃった。……妖刀使うと美味しくなる!」
「これからも調理器具にされてしまうようだな、お前」
[メスはカタカタと鞘の中で揺れ動いている]
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