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Smallest Q.1 王都・ラスティケーキ
008_テンパリクルズ&キャディ乗り
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「順調だな!」
「はあ……君って本当、規格外だね。流石、2年半で高陽までぼっちで上り詰めた冒険者ではある」
「ぼっちって言うなよ! それに魔法使いが敵味方とか地形に構わずバーッて殲滅する奴? あれよりはマシだろ? 仲間に攻撃とかしないし」
「そうかもね。でも1ついい?」
「何だ?」
「君の倒し方も大概、乱暴だから」
最初の分かれ道の偵察の時点で交戦してしまうというトラブルはあったものの、その後は、驚くほど攻略はスムーズに進んでいった。分かれ道が多くとも正確にライズは記録していくため迷いもしない。その腕には、中ボス? 撃破の証としてアレンから押し付けられた腕輪をつけている。
「お、ここ落とし穴の罠あるぞ。解除方法は知らないけど」
「……気づいたのは凄いけど、解除できなくて普段どうしてるわけ?」
「破壊するか罠に掛かるの上等で進むな」
「はい綿飴脳。解除するから退いて」
「いや考えてみろよ。下に潜ってくタイプのダンジョンって多いだろ? 落とし穴ってつまり下に降りれるだろ?」
「……はい解除したから渡って」
「えー、降りないのか?」
「君が今までどんな風にダンジョン壊してきたか考えると、ぞっとするよ」
「あ、待て、そこ……」
「!」
ライズが身を引くと、ついさっき頭があった場所にココアが降ってきた。
「で、お前はそんなに罠に気づかないのに普段どうやって攻略してきたんだよ?」
ちょっとニヤニヤしながらアレンが聞くと、ライズはふいっと首を背けた。
「……罠解除する魔法掛けまくってたけど」
「うっわ、これだから魔法使いは」
「はいはい砂糖脳、分かったから。進むよ」
この場に受付嬢のファニーがいれば、「では二人揃えば無敵ですね!」と言っていただろう。残念な事に、どれだけコンビネーションを発揮していても二人はその事に気付いていなかった。
*
「お……トラップじゃなさそうだけど、なんか湿ってきたな」
次第に、ねっとりした空気がまとわりつくようになってきた。地面も、少しずつ柔らかくなり始める。
「チョコケーキダンジョンのお約束で言えば、ここからチョコの沼地に入るんだろうね。フォンダンショコラ系なんでしょ、多分」
「うえー、あれ嫌いなんだよな。動きが鈍る」
「それは同意」
愚痴を言う間にも、あっという間にぬかるみは深まっていき、次第にチョコレートの沼が前に現れる。
アレンとライズは顔を見合わせて、どちらからともなくキャディスプーンの小舟を取り出した。柄と丸まったつぼの部分の継ぎ目を曲げる事ができる造りで、つぼの部分に乗り、柄に掴まって水面を滑る。冒険者になるには必須の技術だ。
「お前キャディ乗り得意か?」
「……速いと思うよ、相当」
チラリと二人は目を交わす。
「よし、向かいまで勝負だな」
「ルール決めようか。あそこに見える葦っぽい草までね。途中で魔菓子が出た場合は?」
「倒すのが優先、ただしそれで遅れたら自分で取り戻せ」
「OK」
そう、乗れる事は最低条件。スタイリッシュな冒険者になりたければ、速さとテクニックを求めてしまうのは当然というもの。実際、世界中でキャディライド大会が開かれている。クラレット国の大ブルーハゥィ湖も何度か世界大会に使われているのだ。世界基準の公式規則ではキャディスプーンは貝殻型のものと決められており、アレンとライズのものもそれに則っていたりする。
「行くよ。1、2、3、ゴー」
二杯のキャディスプーンが勢いよく沼面を滑り出した。スタートダッシュはどちらも同時、やや大胆に時折跳ねながら力強く進むアレンに対し、ライズはスピードアップこそしないが、抵抗を無くすように滑らかに進む。
「へっ、パワーのないっ、滑りだなっ、ライズっ」
「ポッピングキャンディみたいに無様に動く人に言われても煽られないね」
跳ねる時にはアレンが前に出るが、すぐに着地後の遅さで安定した動きのライズに抜かされる。勝負はどっちつかずのまま、ゴールまで近づいてきた。
「負けねぇ!」
「しつこいなっ」
ゴールはほぼ同時だった。わずかにライズのキャディが先に沼から伸び出た植物の茎に触れた、かのようにも見えたが……。
その「茎」が、大きく震えて波を起こしたため、結果ははっきりとは分からなかった。
「おわっ」
「っ?!」
大きく波立った水面はキャディスプーンを揺さぶる。咄嗟に波に乗って転覆を防いだ二人は、大きく波打つ沼から端へとキャディを走らせた。
「何だよあれ?!」
「多分、ただの沼地の草だと思ってたのが、触覚とか触手とかだったんでしょ」
「うぇっ?! まさか、この辺りの沼から出てる草全部か?!」
沼地に生えていた草……に見えていたものが、波を受けて次々とうねるように動き始めた。その数は十や二十ではすまない。ズルズルと伸び出てくると、波を起こしながらあちこちへと餌を求めるように腕を伸ばす。先端は草の茎ほどの細さでも、その下に隠れていた触手の本体は太く、沼をかき混ぜる力も強い。それに合わせて、波の動きも不規則に、小刻みになっていく。
「うぇ、気持ち悪ぃ……」
「酔った?」
「いや、光景がキモい……」
「違いないね。ん、多分テンパリクルズか……噂には聞いてたけどここまでとはね」
「どんな噂だ?」
「キモいって噂」
「ああ……」
アレンは目を細めて、触手の間をすり抜けるように滑った。一見通れなさそうな所でも、屈み、あるいはキャディごとポッピングして上を飛び越したり、通りながらフルーツナイフで切り裂いたり。切られた触手はしばらく激しく動くが、次第に沼にブクブクと泡を残しながら沈んでいった。
ライズはといえば、アレンほど通れる隙間は多くないものの、今のところ何とか触手を躱せているようだ。そして、
「火神よ!」
短い詠唱を飛ばしては、触手同士が絡まりあったポイントに炎を放っていく。焦げた触手同士はくっつき合ってしまい、先端の動きを大きく止めることはできるが、根元が激しくグニャグニャと動いて波を起こされるのは止められない。
「うっ、あまり切ると波がヤバくなるな」
「焦がすのも控えるべきかな、二ヶ所で倒すと尚更酷い」
「じゃあどうする?」
「無魔法使いならどうするわけ?」
「そうだな、これだけの量倒すのもだるいし、多分沼から出ても来ないだろ。沼から抜け出すのを優先して障害物レースとかどうだ?」
「……僕の案よりはそっちかな」
「おい魔法使い、どんなヤバい案考えたんだよ」
「……」
「おい」
聞こえないふりをして、ライズは荷物の中からナプキンを取り出した。
「ん? それ何に使うんだ?」
「気球だけど? 水面より空中を滑る方が楽そうだからね」
「と……飛ぶのか?!」
「うわ」
いつの間にかキャディをすぐ近くに寄せて、アレンは興奮気味にライズに迫った。大きな青目が、普段よりも潤んでキラキラと光っている。
「それ、俺も乗せてくれよ!」
「え、君そんなグイグイ来る……?」
「なあいいだろ!」
「ええ……いや別に、出来ないことはないけど」
「決まりだな、よし!」
「ガキじゃないんだから……」
キャディスプーンを柄でさくらんぼのように結びつけて、あちこちに綱を括りつけ、上に大きくナプキンを広げる。
「火神よ加護を」
ライズが唱えると、炎が空中に灯り、ナプキンの下で熱による上昇気流を作り出す。ナプキンがぷっくりと膨らんで、キャディエアバルーンはふわふわと動き出した。
「すげー! 浮いてる!」
「……暴れて落ちないようにね」
「楽しいな! これ!」
「……別に」
楽しそうにあちこち見回すアレンを見て、ライズは肩をすくめて、少し、クスリと笑った。嫌味な笑いではなく、素直に、笑った。
「君が新人に慕われる理由、分かった気がするよ」
「ん? なんか言ったか? それより俺も見張ってるけど、触手ちゃんと避けろよ!」
「はいはい」
ライズが炎の勢いや向きを変え、触手を避ければ、アレンは興奮しながらも襲ってくる触手を投げナイフなどで捌いていく。やがてバルーンは触手が届かない高さにまで昇った。
「ふー、一安心だな」
「そうだね。でも、もしかすると」
「ん?」
「テンタクル系って、触手だけが攻撃手段じゃないパターンもあるんだよね」
「何だよ?」
「スミ」
「スミ?」
その時、沼の表面からホースのようなものが突き出て、真っ黒いダークチョコミントソースを吹き上げた。ライズはバルーンを大きく動かして避けるが、わずかに飛沫がアレンとライズの頭に掛かる。
「……」
「……」
互いの顔にタラタラと垂れるチョコミントを見て、二人はしばし沈黙した。
*****
魔菓子レポート
No.011 テンパリクルズ(Tempericles)
軟体系・チョコ系・チョコ系湖沼海に分布
Lv350 Cal:5000 Bx:100
タコを逆さにしたような巨体をココア池などの底に沈め、腕(触手)だけを伸ばして水上に浮かべている魔菓子。一個体の触手数は500程。触手の先はだいたい水生植物や樹に似た形をしている。触手が振動を感じると動き、獲物を捕まえて体についている口まで運び捕食する。触手の動きは意外と単調なので水上ならばまだ避けやすい。が、水中にいる本体の討伐は困難。
名前の由来は「とろけたり固まったりする触手」だがそのような生態はない。チョコ池が固まって触手に化けたようにも見えるからだろうか。ちなみに、勝手にクルクルになる髪型を「テンパ」と呼ぶのはテンパリクルズの触手の乱れ方が髪型に似ていたからだという説がある。
Drop:墨、爪、吸盤
「はあ……君って本当、規格外だね。流石、2年半で高陽までぼっちで上り詰めた冒険者ではある」
「ぼっちって言うなよ! それに魔法使いが敵味方とか地形に構わずバーッて殲滅する奴? あれよりはマシだろ? 仲間に攻撃とかしないし」
「そうかもね。でも1ついい?」
「何だ?」
「君の倒し方も大概、乱暴だから」
最初の分かれ道の偵察の時点で交戦してしまうというトラブルはあったものの、その後は、驚くほど攻略はスムーズに進んでいった。分かれ道が多くとも正確にライズは記録していくため迷いもしない。その腕には、中ボス? 撃破の証としてアレンから押し付けられた腕輪をつけている。
「お、ここ落とし穴の罠あるぞ。解除方法は知らないけど」
「……気づいたのは凄いけど、解除できなくて普段どうしてるわけ?」
「破壊するか罠に掛かるの上等で進むな」
「はい綿飴脳。解除するから退いて」
「いや考えてみろよ。下に潜ってくタイプのダンジョンって多いだろ? 落とし穴ってつまり下に降りれるだろ?」
「……はい解除したから渡って」
「えー、降りないのか?」
「君が今までどんな風にダンジョン壊してきたか考えると、ぞっとするよ」
「あ、待て、そこ……」
「!」
ライズが身を引くと、ついさっき頭があった場所にココアが降ってきた。
「で、お前はそんなに罠に気づかないのに普段どうやって攻略してきたんだよ?」
ちょっとニヤニヤしながらアレンが聞くと、ライズはふいっと首を背けた。
「……罠解除する魔法掛けまくってたけど」
「うっわ、これだから魔法使いは」
「はいはい砂糖脳、分かったから。進むよ」
この場に受付嬢のファニーがいれば、「では二人揃えば無敵ですね!」と言っていただろう。残念な事に、どれだけコンビネーションを発揮していても二人はその事に気付いていなかった。
*
「お……トラップじゃなさそうだけど、なんか湿ってきたな」
次第に、ねっとりした空気がまとわりつくようになってきた。地面も、少しずつ柔らかくなり始める。
「チョコケーキダンジョンのお約束で言えば、ここからチョコの沼地に入るんだろうね。フォンダンショコラ系なんでしょ、多分」
「うえー、あれ嫌いなんだよな。動きが鈍る」
「それは同意」
愚痴を言う間にも、あっという間にぬかるみは深まっていき、次第にチョコレートの沼が前に現れる。
アレンとライズは顔を見合わせて、どちらからともなくキャディスプーンの小舟を取り出した。柄と丸まったつぼの部分の継ぎ目を曲げる事ができる造りで、つぼの部分に乗り、柄に掴まって水面を滑る。冒険者になるには必須の技術だ。
「お前キャディ乗り得意か?」
「……速いと思うよ、相当」
チラリと二人は目を交わす。
「よし、向かいまで勝負だな」
「ルール決めようか。あそこに見える葦っぽい草までね。途中で魔菓子が出た場合は?」
「倒すのが優先、ただしそれで遅れたら自分で取り戻せ」
「OK」
そう、乗れる事は最低条件。スタイリッシュな冒険者になりたければ、速さとテクニックを求めてしまうのは当然というもの。実際、世界中でキャディライド大会が開かれている。クラレット国の大ブルーハゥィ湖も何度か世界大会に使われているのだ。世界基準の公式規則ではキャディスプーンは貝殻型のものと決められており、アレンとライズのものもそれに則っていたりする。
「行くよ。1、2、3、ゴー」
二杯のキャディスプーンが勢いよく沼面を滑り出した。スタートダッシュはどちらも同時、やや大胆に時折跳ねながら力強く進むアレンに対し、ライズはスピードアップこそしないが、抵抗を無くすように滑らかに進む。
「へっ、パワーのないっ、滑りだなっ、ライズっ」
「ポッピングキャンディみたいに無様に動く人に言われても煽られないね」
跳ねる時にはアレンが前に出るが、すぐに着地後の遅さで安定した動きのライズに抜かされる。勝負はどっちつかずのまま、ゴールまで近づいてきた。
「負けねぇ!」
「しつこいなっ」
ゴールはほぼ同時だった。わずかにライズのキャディが先に沼から伸び出た植物の茎に触れた、かのようにも見えたが……。
その「茎」が、大きく震えて波を起こしたため、結果ははっきりとは分からなかった。
「おわっ」
「っ?!」
大きく波立った水面はキャディスプーンを揺さぶる。咄嗟に波に乗って転覆を防いだ二人は、大きく波打つ沼から端へとキャディを走らせた。
「何だよあれ?!」
「多分、ただの沼地の草だと思ってたのが、触覚とか触手とかだったんでしょ」
「うぇっ?! まさか、この辺りの沼から出てる草全部か?!」
沼地に生えていた草……に見えていたものが、波を受けて次々とうねるように動き始めた。その数は十や二十ではすまない。ズルズルと伸び出てくると、波を起こしながらあちこちへと餌を求めるように腕を伸ばす。先端は草の茎ほどの細さでも、その下に隠れていた触手の本体は太く、沼をかき混ぜる力も強い。それに合わせて、波の動きも不規則に、小刻みになっていく。
「うぇ、気持ち悪ぃ……」
「酔った?」
「いや、光景がキモい……」
「違いないね。ん、多分テンパリクルズか……噂には聞いてたけどここまでとはね」
「どんな噂だ?」
「キモいって噂」
「ああ……」
アレンは目を細めて、触手の間をすり抜けるように滑った。一見通れなさそうな所でも、屈み、あるいはキャディごとポッピングして上を飛び越したり、通りながらフルーツナイフで切り裂いたり。切られた触手はしばらく激しく動くが、次第に沼にブクブクと泡を残しながら沈んでいった。
ライズはといえば、アレンほど通れる隙間は多くないものの、今のところ何とか触手を躱せているようだ。そして、
「火神よ!」
短い詠唱を飛ばしては、触手同士が絡まりあったポイントに炎を放っていく。焦げた触手同士はくっつき合ってしまい、先端の動きを大きく止めることはできるが、根元が激しくグニャグニャと動いて波を起こされるのは止められない。
「うっ、あまり切ると波がヤバくなるな」
「焦がすのも控えるべきかな、二ヶ所で倒すと尚更酷い」
「じゃあどうする?」
「無魔法使いならどうするわけ?」
「そうだな、これだけの量倒すのもだるいし、多分沼から出ても来ないだろ。沼から抜け出すのを優先して障害物レースとかどうだ?」
「……僕の案よりはそっちかな」
「おい魔法使い、どんなヤバい案考えたんだよ」
「……」
「おい」
聞こえないふりをして、ライズは荷物の中からナプキンを取り出した。
「ん? それ何に使うんだ?」
「気球だけど? 水面より空中を滑る方が楽そうだからね」
「と……飛ぶのか?!」
「うわ」
いつの間にかキャディをすぐ近くに寄せて、アレンは興奮気味にライズに迫った。大きな青目が、普段よりも潤んでキラキラと光っている。
「それ、俺も乗せてくれよ!」
「え、君そんなグイグイ来る……?」
「なあいいだろ!」
「ええ……いや別に、出来ないことはないけど」
「決まりだな、よし!」
「ガキじゃないんだから……」
キャディスプーンを柄でさくらんぼのように結びつけて、あちこちに綱を括りつけ、上に大きくナプキンを広げる。
「火神よ加護を」
ライズが唱えると、炎が空中に灯り、ナプキンの下で熱による上昇気流を作り出す。ナプキンがぷっくりと膨らんで、キャディエアバルーンはふわふわと動き出した。
「すげー! 浮いてる!」
「……暴れて落ちないようにね」
「楽しいな! これ!」
「……別に」
楽しそうにあちこち見回すアレンを見て、ライズは肩をすくめて、少し、クスリと笑った。嫌味な笑いではなく、素直に、笑った。
「君が新人に慕われる理由、分かった気がするよ」
「ん? なんか言ったか? それより俺も見張ってるけど、触手ちゃんと避けろよ!」
「はいはい」
ライズが炎の勢いや向きを変え、触手を避ければ、アレンは興奮しながらも襲ってくる触手を投げナイフなどで捌いていく。やがてバルーンは触手が届かない高さにまで昇った。
「ふー、一安心だな」
「そうだね。でも、もしかすると」
「ん?」
「テンタクル系って、触手だけが攻撃手段じゃないパターンもあるんだよね」
「何だよ?」
「スミ」
「スミ?」
その時、沼の表面からホースのようなものが突き出て、真っ黒いダークチョコミントソースを吹き上げた。ライズはバルーンを大きく動かして避けるが、わずかに飛沫がアレンとライズの頭に掛かる。
「……」
「……」
互いの顔にタラタラと垂れるチョコミントを見て、二人はしばし沈黙した。
*****
魔菓子レポート
No.011 テンパリクルズ(Tempericles)
軟体系・チョコ系・チョコ系湖沼海に分布
Lv350 Cal:5000 Bx:100
タコを逆さにしたような巨体をココア池などの底に沈め、腕(触手)だけを伸ばして水上に浮かべている魔菓子。一個体の触手数は500程。触手の先はだいたい水生植物や樹に似た形をしている。触手が振動を感じると動き、獲物を捕まえて体についている口まで運び捕食する。触手の動きは意外と単調なので水上ならばまだ避けやすい。が、水中にいる本体の討伐は困難。
名前の由来は「とろけたり固まったりする触手」だがそのような生態はない。チョコ池が固まって触手に化けたようにも見えるからだろうか。ちなみに、勝手にクルクルになる髪型を「テンパ」と呼ぶのはテンパリクルズの触手の乱れ方が髪型に似ていたからだという説がある。
Drop:墨、爪、吸盤
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