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-74℃ 兄妹
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「あーっ???」
ちょっと頭痛抑えようと思って、ついでに携帯つながるうちにちょっとSNS見てただけなんだよ? で、なんなのこれ―?
足の骨。
あしのほね?
それって。
「あたしのなんだけどーっ?!」
えーっやだやだ誰こいつ! 待って何よ美しいって? ちょーっとー! だめー!
「あーでも、あれかー、失敗作だし、ほとんどぜーんぶアイツらに持ってかれちゃったよなぁー。骨は綺麗にできたけど、完成品じゃないし……」
あーあ。いい家だったんだけどなー。誰がバラしたんだろー、ムカつくー! ねー!
そうだったそうだったー。ムカつくから取り返そう。痛ーい目に遭わせちゃおう。
でもどーしょ、お兄ちゃんから『お前はネットに触るな。すぐ特定されるから』って言われてるしなー。
んー、あー、そうだ!
「……おいおい……マジかよ……」
言っておくがな、俺は元刑事だったってだけのただの探偵なんだ。多少の便利屋はさせられてきたがそこまで手先が器用ってわけでもない。危険な仕事だってそんなに潜り抜けてきたわけじゃない。仕事相応の危険ばっかりだ。
ああ、でも、あの少年……って言うとガキ扱いするなって嫌われちまうか。あいつに雇われてからは多少仕事不相応寄りな事もしてきたかもな……まあ良いか。どっちにしろ今は愚痴ってる場合じゃない。
この「時限爆弾」をどうすればいい?
目の前にはボロい洋館の一室と、縛られて吊るされた二人のお嬢ちゃん。の真下には上向きに固定された大ぶりな刃物。助けに行こうにも俺の体は建物の柱にガッチリ鎖で巻き付けられて、数字錠で閉じられてる。近くにはタイマーの掛かったパソコンと、グルグル渦巻き文字の目立つメモ。
『お兄ちゃん、どうせ怒るんだからこのくらいいーよね?』
指示は二つ。パソコン上のメッセージの発信者へアクセスを繋ぐこと、終わったら俺の真上にある……ああ、その金槌か。この仕掛けを作動させて、俺と妹が入れ替わるトリガーになるショックを頭に与えること。
なるほど、この微かなギチギチって音は縄が少しずつ切れていく音か。俺がグズグズしてると縄が切れて嬢ちゃんたちが刃物の上に落ちると。
やりやがった。いつからこんな事してた?
……今手元にある物をどう使っても嬢ちゃんたちは助けられないか。気絶してるから対話もできない。
頭痛え。
「はぁ……とんでもねえ『妹』抱えちまったもんだ」
嫌いとは言わねえよ。妹も俺の一部に変わりはねえからな。
ちょっと頭痛抑えようと思って、ついでに携帯つながるうちにちょっとSNS見てただけなんだよ? で、なんなのこれ―?
足の骨。
あしのほね?
それって。
「あたしのなんだけどーっ?!」
えーっやだやだ誰こいつ! 待って何よ美しいって? ちょーっとー! だめー!
「あーでも、あれかー、失敗作だし、ほとんどぜーんぶアイツらに持ってかれちゃったよなぁー。骨は綺麗にできたけど、完成品じゃないし……」
あーあ。いい家だったんだけどなー。誰がバラしたんだろー、ムカつくー! ねー!
そうだったそうだったー。ムカつくから取り返そう。痛ーい目に遭わせちゃおう。
でもどーしょ、お兄ちゃんから『お前はネットに触るな。すぐ特定されるから』って言われてるしなー。
んー、あー、そうだ!
「……おいおい……マジかよ……」
言っておくがな、俺は元刑事だったってだけのただの探偵なんだ。多少の便利屋はさせられてきたがそこまで手先が器用ってわけでもない。危険な仕事だってそんなに潜り抜けてきたわけじゃない。仕事相応の危険ばっかりだ。
ああ、でも、あの少年……って言うとガキ扱いするなって嫌われちまうか。あいつに雇われてからは多少仕事不相応寄りな事もしてきたかもな……まあ良いか。どっちにしろ今は愚痴ってる場合じゃない。
この「時限爆弾」をどうすればいい?
目の前にはボロい洋館の一室と、縛られて吊るされた二人のお嬢ちゃん。の真下には上向きに固定された大ぶりな刃物。助けに行こうにも俺の体は建物の柱にガッチリ鎖で巻き付けられて、数字錠で閉じられてる。近くにはタイマーの掛かったパソコンと、グルグル渦巻き文字の目立つメモ。
『お兄ちゃん、どうせ怒るんだからこのくらいいーよね?』
指示は二つ。パソコン上のメッセージの発信者へアクセスを繋ぐこと、終わったら俺の真上にある……ああ、その金槌か。この仕掛けを作動させて、俺と妹が入れ替わるトリガーになるショックを頭に与えること。
なるほど、この微かなギチギチって音は縄が少しずつ切れていく音か。俺がグズグズしてると縄が切れて嬢ちゃんたちが刃物の上に落ちると。
やりやがった。いつからこんな事してた?
……今手元にある物をどう使っても嬢ちゃんたちは助けられないか。気絶してるから対話もできない。
頭痛え。
「はぁ……とんでもねえ『妹』抱えちまったもんだ」
嫌いとは言わねえよ。妹も俺の一部に変わりはねえからな。
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