69 / 105
-69℃ 明からしめる声
しおりを挟む
『俺、俺、いろんな人巻き込んじゃった……』
分かっていたよ。
『あの人の彼氏知ってる子たまたま見つけて、思い出して、もしかして俺、自分の手を汚さないで罪滅ぼしとか、できちゃうんじゃって思って……気づいたら、あの子もその友達も、いっぱい巻き込んで、一気に連絡取れなくなって』
ああ、そうだろう。
『でも本当は、スターラーさんを恨んでるんじゃなくて、今電話に出てくれて、生きてて良かったって思ってて……俺、なんでこんな事したのか、今でも分かんねえ……』
それも君の本心だ。
『彼氏……殺したんっすか?』
「ああ」
『そっ……すよ、ね。その、他の子ってそっちに』
「いない」
『でもSOSが来てて……じゃあ誰に……』
「知りたいか?」
『分かるんっすか?!』
「ああ」
好きなだけ私の知っている君の本心を吐くと良い。
『俺……すんません、都合良いこと言ってんのは分かってます。でも……僕、は、後でどうなっても構いません。でも、あの子たちを、助けてください! お願いします!』
ああ、沸き立つように今は熱い。
やはり、どうにかする時がきた。
「明日の朝、死の覚悟が整ったら来るといい」
『! すぐに』
「まずは寝ることだ。明日までは生かされている」
『……信じます』
さあ、スターラーの名で声明を出そう。凍える街と燃える炎に向けて。今でなければ意味がない。
響くさ。そして絶対に食いついてくる。
〈足の骨は美しい〉
「なぜ車で移動中の『スターラー』がわざわざ今ネットでこんな文章を出す?」
少年は困惑の声を落とした。
「僕らの追跡を察したとしてこの文面は不自然だ。先ほど死神が見つけた現場の情報の中に遺体から足の骨が欠けていたとあったが警察宛のメッセージか?」
『ワタクシ一つ思うのですが、普通の方は運転中にスマホもパソコンも操作しません』
「しかし現に――」
『この声明、本当に「妹」さんが出したんですか?』
「協力者か? しかし」
『あまり直感に頼ろうとしない貴方の代わりに言いますよ。「探偵さん」=スターラーだなんて、ワタクシどうしても思えないんです。ですから、本人に確認してみては?』
「本人に?」
『声明を出したスターラー本人になんとか連絡しろって言ってるんですよ、プレコシティ。もし別人なら「妹」の先手を取れるかも。普通の方は運転中にネットを見ない。なら彼女、声明の存在をまだ知らないかもしれないんですから』
情報屋は電話口で笑みを浮かべた。
分かっていたよ。
『あの人の彼氏知ってる子たまたま見つけて、思い出して、もしかして俺、自分の手を汚さないで罪滅ぼしとか、できちゃうんじゃって思って……気づいたら、あの子もその友達も、いっぱい巻き込んで、一気に連絡取れなくなって』
ああ、そうだろう。
『でも本当は、スターラーさんを恨んでるんじゃなくて、今電話に出てくれて、生きてて良かったって思ってて……俺、なんでこんな事したのか、今でも分かんねえ……』
それも君の本心だ。
『彼氏……殺したんっすか?』
「ああ」
『そっ……すよ、ね。その、他の子ってそっちに』
「いない」
『でもSOSが来てて……じゃあ誰に……』
「知りたいか?」
『分かるんっすか?!』
「ああ」
好きなだけ私の知っている君の本心を吐くと良い。
『俺……すんません、都合良いこと言ってんのは分かってます。でも……僕、は、後でどうなっても構いません。でも、あの子たちを、助けてください! お願いします!』
ああ、沸き立つように今は熱い。
やはり、どうにかする時がきた。
「明日の朝、死の覚悟が整ったら来るといい」
『! すぐに』
「まずは寝ることだ。明日までは生かされている」
『……信じます』
さあ、スターラーの名で声明を出そう。凍える街と燃える炎に向けて。今でなければ意味がない。
響くさ。そして絶対に食いついてくる。
〈足の骨は美しい〉
「なぜ車で移動中の『スターラー』がわざわざ今ネットでこんな文章を出す?」
少年は困惑の声を落とした。
「僕らの追跡を察したとしてこの文面は不自然だ。先ほど死神が見つけた現場の情報の中に遺体から足の骨が欠けていたとあったが警察宛のメッセージか?」
『ワタクシ一つ思うのですが、普通の方は運転中にスマホもパソコンも操作しません』
「しかし現に――」
『この声明、本当に「妹」さんが出したんですか?』
「協力者か? しかし」
『あまり直感に頼ろうとしない貴方の代わりに言いますよ。「探偵さん」=スターラーだなんて、ワタクシどうしても思えないんです。ですから、本人に確認してみては?』
「本人に?」
『声明を出したスターラー本人になんとか連絡しろって言ってるんですよ、プレコシティ。もし別人なら「妹」の先手を取れるかも。普通の方は運転中にネットを見ない。なら彼女、声明の存在をまだ知らないかもしれないんですから』
情報屋は電話口で笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
旧校舎のシミ
宮田 歩
ホラー
中学校の旧校舎の2階と3階の間にある踊り場には、不気味な人の顔をした様なシミが浮き出ていた。それは昔いじめを苦に亡くなった生徒の怨念が浮き出たものだとされていた。いじめられている生徒がそのシミに祈りを捧げると——。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ゴーストバスター幽野怜
蜂峰 文助
ホラー
ゴーストバスターとは、霊を倒す者達を指す言葉である。
山奥の廃校舎に住む、おかしな男子高校生――幽野怜はゴーストバスターだった。
そんな彼の元に今日も依頼が舞い込む。
肝試しにて悪霊に取り憑かれた女性――
悲しい呪いをかけられている同級生――
一県全体を恐怖に陥れる、最凶の悪霊――
そして、その先に待ち受けているのは、十体の霊王!
ゴーストバスターVS悪霊達
笑いあり、涙あり、怒りありの、壮絶な戦いが幕を開ける!
現代ホラーバトル、いざ開幕!!
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる