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花束アフェクション
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夜桜が、はらりと顔に落ちてきた。
「っ」
賢木 響は、顔をしかめて花びらを払う。
その手首を、強い力で誰かが掴んだ。
「響くん、何度言ったら分かるんですか。手で払っては駄目です」
黒く染められた爪が、手首の内側をひっかく。
「……影」
「虫、みたいに。何かがついていたら、入り込まれていたかもしれませんよ?」
「あんたがそれ言うのか?」
響は腕を振り下ろす勢いで、黒爪の手首を握り返すと手を引く。
「虫みたいに憑いてる、あんたが」
その手首の先には胴体がない。ただ、響の抱える百合の花束の中から、腕だけがずるり、と這い出した。
「っ」
賢木 響は、顔をしかめて花びらを払う。
その手首を、強い力で誰かが掴んだ。
「響くん、何度言ったら分かるんですか。手で払っては駄目です」
黒く染められた爪が、手首の内側をひっかく。
「……影」
「虫、みたいに。何かがついていたら、入り込まれていたかもしれませんよ?」
「あんたがそれ言うのか?」
響は腕を振り下ろす勢いで、黒爪の手首を握り返すと手を引く。
「虫みたいに憑いてる、あんたが」
その手首の先には胴体がない。ただ、響の抱える百合の花束の中から、腕だけがずるり、と這い出した。
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