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~Event story~
バレンタインは大騒動④(エヴァンデール)
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ーーー特別室ーーー
…ガチャッ……
「お邪魔します」
「……これはこれは…この部屋に来客とは珍しいですね…それも、そのお客人がレオンハルト君とは…」
「…思ったより元気そうだな先生、安心した」
「……相変わらずのお人好しですね…怨まれているかと思ったのですが……」
「怨まねぇよ、周りの奴らが優秀なお陰でこの通り俺自身無傷だしな」
「…呪いをかけられて攫われて組み敷かれるまでされたのに、随分と心が広いんだね…」
「呪いは結局…捕まったアンタに解呪して貰えたし、攫われて組み敷かれたけど、事が起こる前にクエミリア王女達が助けに来たからな」
以前よりほんの少し痩せた先生は、随分と儚げで…瞳からは悲しげな色ばかりが伝わって来る…
「…先生は復讐とか向いてねぇんだよ、身体の傷が癒えたらどっかの国に行って…また教師でもやりゃ良いんだよ」
「…こんな私が先生ですか……」
「…っだー!もう!暗いんだよ!!終わっちまったもんは仕方ねぇだろ!いい加減シャキッとしやがれ!」
思わず大きな声で言ってしまい、言い過ぎたかとも思うが…ただ笑うだけで何時までも悲しげなエヴァンデールを見て、俺は部屋のソファーへ腰掛けた。
「先生、出迎えも良いけど…もう座れよ」
そう言ってポンポンと自分の横を叩く
「……君は…本当に大きくなったんだね…攫ったときも思ったけれど…」
話ながら俺の横へゆっくりと座ると、俺の様子をうかがいながら話し始める。
「当たり前だ…なんなら、精神年齢は先生よりあると思うぜ?」
「……成る程…確かにそうかも知れません…君は始めて会ったときから……何処か落ち着いた子でしたから」
そりゃまぁ……ダテに人生2回送ってるわけじゃ無いからな…
「…そうだ、今日は先生にチョコを渡しに来たんだよ」
「……チョコレートですか?…」
「おう、今日はバレンタインだからな」
ポケットから綺麗に包装したチョコレートを取り出して差し出す。
「………」
「…受け取らないのか?…言っとくけど、毒なんか入ってねぇからな?」
「…いえ、頂きます……それに…君からのチョコレートに毒が入っていたとしても、私は喜んで食べますよ」
「…いや、食ったら駄目だろ……」
チョコを受け取り、ほんの少し元気を取り戻したように見えたエヴァンデールを見て安心する…
「…先生……例え追放されても…少しで良いから連絡くらい寄越せよ?………このまま二度と会えません…なんて、別れとしちゃ最悪過ぎる」
「……普通は、早く忘れる方が正しいと思いますが…君は変わり者ですね」
「先生に言われたかねぇな、それに…何が正しいとか正しくないとか、そんなもんソイツしだいだろ?」
「…それもそうですね」
俺の言葉に納得した素振りを見せながら微笑むエヴァンデールは、未だ完全に立ち直ったわけでは無さそうだが……それでも少し…先程よりも暖かさを感じる…
「…先生がやったことが正しいかどうか、俺には分かんねぇけどさ……少なくとも…それを経て、先生が得られるもんは有ったんじゃねぇかな……」
「……君…本当に16ですか……?」
「ん?そうだな~……今は17になったから…+21で……38歳かな?」
「……全くもって…読めない子ですね…」
「美点だろ?」
その後数十分話し込んでしまった俺は、もうすぐ7時(グレイの終業時刻)になると気が付いて、エヴァンデールの話を切り上げることにした。
「じゃあまた会いに来られたら来る、元気でな?先生」
「えぇ、レオンハルト君もお元気で」
「…先生、あんまり思い詰めすぎるなよ?」
俺はそう言ってエヴァンデールの頭を撫でた。
「!………」
「じゃあな」
エヴァンデールから手を離して笑い、じゃあなと声をかけると、俺は急ぎ足で騎士団本部へと向かった。
「……最後に不意打ちとは…やはり君は侮れませんね…」
…ガチャッ……
「お邪魔します」
「……これはこれは…この部屋に来客とは珍しいですね…それも、そのお客人がレオンハルト君とは…」
「…思ったより元気そうだな先生、安心した」
「……相変わらずのお人好しですね…怨まれているかと思ったのですが……」
「怨まねぇよ、周りの奴らが優秀なお陰でこの通り俺自身無傷だしな」
「…呪いをかけられて攫われて組み敷かれるまでされたのに、随分と心が広いんだね…」
「呪いは結局…捕まったアンタに解呪して貰えたし、攫われて組み敷かれたけど、事が起こる前にクエミリア王女達が助けに来たからな」
以前よりほんの少し痩せた先生は、随分と儚げで…瞳からは悲しげな色ばかりが伝わって来る…
「…先生は復讐とか向いてねぇんだよ、身体の傷が癒えたらどっかの国に行って…また教師でもやりゃ良いんだよ」
「…こんな私が先生ですか……」
「…っだー!もう!暗いんだよ!!終わっちまったもんは仕方ねぇだろ!いい加減シャキッとしやがれ!」
思わず大きな声で言ってしまい、言い過ぎたかとも思うが…ただ笑うだけで何時までも悲しげなエヴァンデールを見て、俺は部屋のソファーへ腰掛けた。
「先生、出迎えも良いけど…もう座れよ」
そう言ってポンポンと自分の横を叩く
「……君は…本当に大きくなったんだね…攫ったときも思ったけれど…」
話ながら俺の横へゆっくりと座ると、俺の様子をうかがいながら話し始める。
「当たり前だ…なんなら、精神年齢は先生よりあると思うぜ?」
「……成る程…確かにそうかも知れません…君は始めて会ったときから……何処か落ち着いた子でしたから」
そりゃまぁ……ダテに人生2回送ってるわけじゃ無いからな…
「…そうだ、今日は先生にチョコを渡しに来たんだよ」
「……チョコレートですか?…」
「おう、今日はバレンタインだからな」
ポケットから綺麗に包装したチョコレートを取り出して差し出す。
「………」
「…受け取らないのか?…言っとくけど、毒なんか入ってねぇからな?」
「…いえ、頂きます……それに…君からのチョコレートに毒が入っていたとしても、私は喜んで食べますよ」
「…いや、食ったら駄目だろ……」
チョコを受け取り、ほんの少し元気を取り戻したように見えたエヴァンデールを見て安心する…
「…先生……例え追放されても…少しで良いから連絡くらい寄越せよ?………このまま二度と会えません…なんて、別れとしちゃ最悪過ぎる」
「……普通は、早く忘れる方が正しいと思いますが…君は変わり者ですね」
「先生に言われたかねぇな、それに…何が正しいとか正しくないとか、そんなもんソイツしだいだろ?」
「…それもそうですね」
俺の言葉に納得した素振りを見せながら微笑むエヴァンデールは、未だ完全に立ち直ったわけでは無さそうだが……それでも少し…先程よりも暖かさを感じる…
「…先生がやったことが正しいかどうか、俺には分かんねぇけどさ……少なくとも…それを経て、先生が得られるもんは有ったんじゃねぇかな……」
「……君…本当に16ですか……?」
「ん?そうだな~……今は17になったから…+21で……38歳かな?」
「……全くもって…読めない子ですね…」
「美点だろ?」
その後数十分話し込んでしまった俺は、もうすぐ7時(グレイの終業時刻)になると気が付いて、エヴァンデールの話を切り上げることにした。
「じゃあまた会いに来られたら来る、元気でな?先生」
「えぇ、レオンハルト君もお元気で」
「…先生、あんまり思い詰めすぎるなよ?」
俺はそう言ってエヴァンデールの頭を撫でた。
「!………」
「じゃあな」
エヴァンデールから手を離して笑い、じゃあなと声をかけると、俺は急ぎ足で騎士団本部へと向かった。
「……最後に不意打ちとは…やはり君は侮れませんね…」
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