お前らの相手は俺じゃない!

くろさき

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最終章 貴方へ誓う…

黒の屋敷

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「ーーーー……っん…………」

…俺が意識を手放してからどのくらいの時間が経ったのか分からない…
目が覚めた俺は、何時の間にか大きなベッドに寝かされていて…誰のとも分からない薄暗い部屋に繋がれていた。
部屋をうっすらと照らしているのは部屋の隅に有る数本の蝋燭ロウソクのみで、目を凝らさないとほんの少し前でも見え辛い。

「……何処だここ…」

ーー…ジャラ…ッ…ー

「!………うわ…マジかよ…鎖に繋がれて監禁とか…乙女ゲームのクセにえげつねぇ…」

重たく冷ややかな鎖は、手首と足首の両方にそれぞれ付けられていてとても重い…

「…何とかして壊せねぇかな…この鎖……」

色々弄ってみるものの、やはり外れそうに無い…魔法も試そうかと思ったが、威力の高い魔法では腕や脚ごと切れそうだ……

「…ん~……」

どうした物かと悩んでいると、自分が居るベッドから少し離れた闇の奥で、カチリ…と鍵が開くような音がした。

ーーガチャ…ッーー

「…っ!!」
「おや…起きていましたか、レオンハルト君」
「…シルフィア………エヴァンデール……!…」

少し距離が有り顔を一瞬で確認することが出来なかったが…ベッタリと脳裏にまとわりつく声を…間違うはずは無かった…
優しく和やかな声音…しかし…それは何処か狂気的で、俺は初めて出会ったときから冷ややかなを感じ取っていた…

「おや、そんなに身構えずとも宜しいですよ?エヴァンデールとお気軽にお呼び下さい?…君と私の仲ですから…」
「……何で俺をここに連れてきたんだ」
「…何故って……お約束しましたから、お迎えに上がると」

警戒心むき出しな俺を、まるで子猫でもあやすかのように微笑みながら、ゆっくりとベッドに上がって来たエヴァンデールは…ジリジリと俺を追い詰めると、逃げ場の無くなった俺を…ギシリ…と自分の下へ押さえ付けた…

「…っ……退けよ…!」
「逃げてはどうです?…それ程強く押さえていませんが…??」
「…っ……」

確かに…力一杯に押さえ付けられている訳では無い…鎖が有るからと言って、全く動けないというわけでも無い……
しかし……目の前の男からただれて来る威圧感で、身体に力が上手く入らない……

「…何で…俺を……」
「…………」


「…………先生……?…」



威圧を引っ込め、俺の質問に悩むような素振りをするのを見て…思わず『』…と呼んでしまった…

「………チッ…」
「…!!な、何…っ!!?…」

先生と呼んでしまったのがマズかったのかは分からない、突然肌がピリッとする程の怒りを感じ取った瞬間……衣服に手をかけられ、再び恐怖が蘇って来た。

「…っ…何で…!!」
「……黙ってください…」

……考え込んだあの時…確かに以前の面影が戻った気がした…なのに何故……
エヴァンデールが何故こんなことをしているのか………アイツなら…分かるのだろうか……




…ヒロインなら……寄り添ってやれるのだろうか………


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