お前らの相手は俺じゃない!

くろさき

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第10章 永遠の愛をキスで誓う

湯煙襲われ事件2

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「っん……グレ…イ…!」
「…暴れるな、怪我するぞ」
「ひっ…やめ…!」

急に雰囲気の変わったグレイに戸惑いながらも、必死に相手を押し返そうと抵抗する。
しかしグレイが退く素振りも無ければ推されてよろける様子も無く、ビクともしない…

「…ん……」
「…っ…ぁ……」

首筋の印をなぞられながら、耳元で聞こえるグレイの呼吸や水音を意識してしまう…

「グレイ…っ……」
「…レオ……俺が居る…今までだって側に居た…何で俺達は蚊帳の外で何も話さない…?クエミリア王女が羨ましくないと言えば嘘になる……でもな、俺はお前に信用されていなかったことが1番嫌なんだ…」

首筋から口を離したグレイは、少し寂しそうな顔をしてそう言うと…強く俺を抱き締めた

「…そんな風に思ってたのか………悪い…」
「……お前が話したくないのならそれでも良いと…始めはそう思った……でもな、やっぱ…寂しいもんは寂しいんだよ………」

普段の大人びた顔からは想像できないほどに弱気で辛そうなグレイは…見ているだけで心が締め付けられるような気分になる…

「……ごめんな、グレイ」

少し緩んだグレイの腕をそっとほどくと、顔へと手を伸ばす……

「…グロいか……?」
「いや…格好いいよ」
「…んな事言うのは、多分お前ぐらい…だろうな」
「そうか??」

グレイの顔は、全体の半分を火傷跡に覆われている…まぁ…ゲームとしての設定では本人や周りも嫌悪しているらしいが……火傷跡も格好いいのがグレイの良いところだ、ゲームの頃も…随分と憧れてたっけな…

「…レオ……ちゃんと、後で説明してくれるんだよな…?」
「…分かってる、後でちゃんと………?」

………後で?…今じゃ無くてか???…

「なら良し!」

そう言って微笑むと、グレイは俺の片脚を持ち上げて身体を開いた

「えっ!?…ちょっ!」

思わず赤面し、脚を閉じようとするも閉じさせて貰えない……

「優しくしてやるから暴れんなよ?ナカが傷付くぞ」
「なっ…何で今の流れで再開する事になってんだ!!?」
「何でって……据え膳食わぬは男の恥ってな、ここで辞めるなんて勿体ねぇ事しねぇよ」
「なに言って……っん!!」

文句を言おうとした途端、口を塞がれてしまう……
口内へ侵入してきた舌が、まるで味わうかのようにゆっくりと動くと…甘い痺れのような感覚が身体に広がり、不思議と力が抜けてしまう…

「っ…は………」
「っは…良い子だな、気持ち良かったか?」

銀の糸を引きながら口が離されると、まるで甘やかすような声色で、グレイが問いかけてきた…

「…~っ………」

返事をするでも無く、何かを言うでも無く…目が合った瞬間に顔を赤面させて目をそらす……反応に満足したらしいグレイは、再び口を重ねて味わうかのようなキスをする。

「…っん…!…ぅ」
「……ん………」

強張る俺の頭を、まるで落ち着かせるかのように撫でながらキスを深くしていく…

「ん……っんん!!」

身体の力が抜け、甘い痺れが全身に回った頃…自分の下腹部へ腕が回される。

「…っは………そんな過敏に反応しなくったって、急に挿れたりしねぇよ…」
「っ…な心配…してねぇよ!!」
「ふぅん…なら、普通より感度が良いのかもな」
「か、感度良いとか言うな!バカ!!」

前世でも転生した今でも、この手のことに耐性が無い俺にとってはグレイに言われること全てに反応して顔が熱くなってくる…
ぜってぇ面白がってるし…!グレイのバカ!

「ほら…観念して、脚開け…」
「…っ……うぅ…」

観念しろと言われても…そもそもグレイは攻略対象じゃないのに、こんな事が起こるのはおかしくないか!?…

「ほら、痛くしねぇから」
「っ子供扱いやめろ!」
「……大人扱いして欲しいのか?」
「俺は立派な大人だ!この国では17は成人だろ!」
「……じゃあ、多少無茶でも大丈夫だよな?」

……え…

「…無茶…??……だ、大丈夫だよなって…いったい何のこと言って…」
「ん??大人なんだろ??」




俺はこの時…ニコニコと微笑むグレイの笑顔を…初めて怖いと感じた……

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