お前らの相手は俺じゃない!

くろさき

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第9章 腐っても妹

再会と再開…

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「……それで?…何で俺は呼ばれたんですか??」

校舎裏に呼び出されるなんて初めてだな…まぁ、正しくは裏に有る庭園だけど…

「呼び出した理由は、レオンハルト様が私と同じ転生者だからですわ!」

…ここは…シラを切るか……
学園の校舎の壁に寄りかかりながら、落ち着くようにため息をつく…

「…はぁ……俺にはクエミリア王女のおっしゃっている意味が分かりませ…ーー」

ーーーバァンッ!!ーーー

「…シラを切っても無駄です、貴方は転生者よ」
「…っ……」

びっ……くりしたぁ~…女子からの壁ドンなのに嬉しくない…むしろ怖い……

「正直に白状した方が身のためですよ?ホイミとコミケに反応してましたよね?」
「………はぁ…」

仕方ない、ここは観念して白状するか……

「…確かに俺は転生者だ…」
「!!やっぱり!」
「それで?…俺が転生者なら何ですか?…俺はあんまり言いふらしたくないんですが…」
「名前!」
「…はい??」
「名前!教えて!!前世の!」

……なんか怪しいな…でも、ここで渋ったらまた面倒な事になりそうだし…

「…おおとりだ……おおとり京谷きょうや……」
「京谷お兄ちゃん!!!」

ため息交じりに前世の名前を言った俺は、言い終わった途端にクエミリア王女に抱き着かれた

「えっちょ!?…お兄ちゃん!??」

訳が分からず動揺する俺とは裏腹に、クエミリア王女は涙目だ……

「まさか…転生先でお兄ちゃんにまた会えると思わなかったよ…!!」
「…さっきからお兄ちゃん、お兄ちゃんって…そう言うお前は誰なんだ??…」

涙目の王女を引き剥がすことも出来ず、事情を少しでも知りたい俺は、王女を落ち着かせるように出来るだけ優しげな声で聞き返す…

「…私はかおる鳳薫おおとりかおるよ…貴方の前世での妹!」
「………嫌な予感はコレだったか…」
「ちょっと!!妹に再び会えたのにその反応は酷いんじゃない!?」
「だってなぁ…明らかに腐女子だったし……カオルって名乗ったし…妙に洞察力有るところとかもう…なぁ…」
「ふっふっふ~…名探偵コ◯ンを毎週欠かさず見ていた私には他愛も無い推理なのですよ!」
「……!と言うか!お前がここに転生してるって事はお前も死んだのか!?」
「…実はね……お兄ちゃんが死んだのと私が死んだ時間違うんだよね~…私は、60歳で病死してから転生させて貰ったの!多分本当に一緒にこの世界に居るのは偶然??で…私はちゃんと死んだから大丈夫!!」

…死ぬにちゃんとも何も無いと思うけどな……

「…ん~…色々解らないところは有るけど、そこはアレだ…神様てきなアレがきっとどうにかこうにかしてるんだろ…きっと深く考えても無駄だ」
「相変わらず潔いというか……まぁいいや」
「…さて、ここから本題に入るぞ」
「??本題???」
「当たり前だ、俺よりお前の方がこの世界に詳しいだろ??色々教えてくれ」
「!あぁ成る程!良いよ!!私が存分に語っ……ゴホン…教えてアゲル!」

……今語るって言ったか…
まぁ、何はともあれ…妹とまた出会えたのは嬉しいな。
情報も増えるし、無用な危険は避けられるだろ…それに……エヴァンデールに付けられた変な印も…消す方法を探さなきゃならないしな………





   ーーーその頃ーーー

「……そうですか…あの子とレオンハルト君が…もう下がって良いですよ」

フイッと手を軽く振ると、彼の報告をしていた密偵は煙のように消え失せる…
暗く広い屋敷の中を照らすのは数本のろうそくのみで、その屋敷の主である男は玉座を思わせるような装飾がされた黒い椅子へ腰掛けている。

「……そろそろ…彼を迎えに行きましょうか…余り待たせるのは…良くないでしょうからね……」

椅子からゆっくりと立ち上がると、薄暗い部屋の中で軽く手を上げ合図する…すると何処からと無くフードを被った男が1人…また1人と前へ出る。

「…クロトワ……彼を迎えに行って下さい、お仲間はお好きなだけどうぞ」

ほんのりと口元を楽しそうにほころばせながら、男はフードを被った男(クロトワ)に言い放つ…

「…はっ………」










『シルフィア・エヴァンデール様の仰せの通りに…』



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