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第8章 蛇の毒牙…
幻誘の館…
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「おいイグナシオ!少し待てって!!」
イグナシオの後を追いかけて階段を上がりきると先程よりもこじんまりとした部屋へ出た……いや、部屋というよりは少し広めの屋根裏部屋と言うべきだろうか……随分と暗く異質な物を感じる…
「…お、おい…イグナシオ??…どこだ??……」
何故だか途端に心寂しくなってくる……それは恐らく…この部屋が今までの部屋よりおかしい………いや、生活感の有る綺麗な廃墟の方が異質だった…此方が本来の内装と言うべきか……
シャンデリアは落下し砕け…窓ガラスは全て割れて居る……床には枯れ葉やゴミが散乱し、ランプは壊れ…カーペットはボロボロに引き裂かれていた。
「おい…イグナシオってば??…」
今すぐにでも合流したいと思いながら、部屋を歩き回っていると…ボロボロの内装に似つかわしくない小綺麗なドアを見つける……とても白く繊細な細工が施されたそのドアは、傷も無くホコリもかかっていない…
ーーーカタン…ッーーー
「!…イグナシオ??」
ドアの向こうから物音が聞こえ、イグナシオの名前を呼びながら白いドアの部屋へと入る…
「………」
「!…良かった…ここに居たのか」
中へと入ると…外の部屋とはうって変わって、また綺麗な内装が目に入る、部屋は誰かの寝室だったらしく…大きなベッドに奥には小窓と、オシャレな雰囲気の部屋だ…
…その部屋の真ん中にイグナシオが立っていて、俺はその姿を見て酷く安心する。
俺は『少しおかしいから1度外に出るぞ』とイグナシオの手を取るが…イグナシオは1歩も動こうとせず…ゆっくり口を開いた……
「…雨が降ってきましたね…」
「……え?雨??晴れてるけど」
そう言いつつ、俺が窓の外を見ると…先程まで晴天だった天気は何時の間にか豪雨へと変わっていた。
「!雨??なんで…さっきまで……」
ーーーバタンッ!ーーー
部屋の奥の窓へ1歩近付いた途端、俺が入ってきたドアが勢い良く閉まった。
「!?」
慌てて振り返るが、誰も居ない…イグナシオは相変わらず立ったまま動く気配は無い……
「…いったい誰が……」
再び窓の外の雨へ向き直ると…何が起きているのかを整理するため口元に手を当てて考え込む。
「………レオンハルト様…」
「あぁ、悪いイグナシオ…後にしてくれるか?今状況を整理してる所なんだ…」
イグナシオへそう答えた瞬間、自分の背中へ衝撃を感じる。
「っ…!」
ドサリとイグナシオに押されて倒された俺は、目の前にあるベッドに抑えつけられる形でイグナシオの下敷きにされていた…
「なっ…!?…イグナシオ!?」
驚き動揺する俺に構わず、イグナシオは制服を脱がしにかかっていた。
「イグナシオ…!何して……っ!?」
無理に向かい合わせになり、初めてイグナシオの表情をまじまじと見ることになった俺はそこでイグナシオの様子が異様なことに気が付いた……瞳に何時もの覇気が無い…光が宿っているように見えず、生きている人間の目だと頭が認識しないほど虚ろな瞳をしていた…
「…イグ…ナシオ……?…」
呼ぶ声も聞こえていないらしく、全く反応を示さない……押さえ付けられている腕は、めいっぱいの力で押さえられていてとても痛い………
(…いったい…どうしたんだよ、イグナシオ……!…?)
イグナシオの後を追いかけて階段を上がりきると先程よりもこじんまりとした部屋へ出た……いや、部屋というよりは少し広めの屋根裏部屋と言うべきだろうか……随分と暗く異質な物を感じる…
「…お、おい…イグナシオ??…どこだ??……」
何故だか途端に心寂しくなってくる……それは恐らく…この部屋が今までの部屋よりおかしい………いや、生活感の有る綺麗な廃墟の方が異質だった…此方が本来の内装と言うべきか……
シャンデリアは落下し砕け…窓ガラスは全て割れて居る……床には枯れ葉やゴミが散乱し、ランプは壊れ…カーペットはボロボロに引き裂かれていた。
「おい…イグナシオってば??…」
今すぐにでも合流したいと思いながら、部屋を歩き回っていると…ボロボロの内装に似つかわしくない小綺麗なドアを見つける……とても白く繊細な細工が施されたそのドアは、傷も無くホコリもかかっていない…
ーーーカタン…ッーーー
「!…イグナシオ??」
ドアの向こうから物音が聞こえ、イグナシオの名前を呼びながら白いドアの部屋へと入る…
「………」
「!…良かった…ここに居たのか」
中へと入ると…外の部屋とはうって変わって、また綺麗な内装が目に入る、部屋は誰かの寝室だったらしく…大きなベッドに奥には小窓と、オシャレな雰囲気の部屋だ…
…その部屋の真ん中にイグナシオが立っていて、俺はその姿を見て酷く安心する。
俺は『少しおかしいから1度外に出るぞ』とイグナシオの手を取るが…イグナシオは1歩も動こうとせず…ゆっくり口を開いた……
「…雨が降ってきましたね…」
「……え?雨??晴れてるけど」
そう言いつつ、俺が窓の外を見ると…先程まで晴天だった天気は何時の間にか豪雨へと変わっていた。
「!雨??なんで…さっきまで……」
ーーーバタンッ!ーーー
部屋の奥の窓へ1歩近付いた途端、俺が入ってきたドアが勢い良く閉まった。
「!?」
慌てて振り返るが、誰も居ない…イグナシオは相変わらず立ったまま動く気配は無い……
「…いったい誰が……」
再び窓の外の雨へ向き直ると…何が起きているのかを整理するため口元に手を当てて考え込む。
「………レオンハルト様…」
「あぁ、悪いイグナシオ…後にしてくれるか?今状況を整理してる所なんだ…」
イグナシオへそう答えた瞬間、自分の背中へ衝撃を感じる。
「っ…!」
ドサリとイグナシオに押されて倒された俺は、目の前にあるベッドに抑えつけられる形でイグナシオの下敷きにされていた…
「なっ…!?…イグナシオ!?」
驚き動揺する俺に構わず、イグナシオは制服を脱がしにかかっていた。
「イグナシオ…!何して……っ!?」
無理に向かい合わせになり、初めてイグナシオの表情をまじまじと見ることになった俺はそこでイグナシオの様子が異様なことに気が付いた……瞳に何時もの覇気が無い…光が宿っているように見えず、生きている人間の目だと頭が認識しないほど虚ろな瞳をしていた…
「…イグ…ナシオ……?…」
呼ぶ声も聞こえていないらしく、全く反応を示さない……押さえ付けられている腕は、めいっぱいの力で押さえられていてとても痛い………
(…いったい…どうしたんだよ、イグナシオ……!…?)
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