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第6章 魔道実技試験

第1次試験 合格

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ドラゴンが俺達の前に登場してからの第一声は、とても威圧的なものだったが……何より問題なのは、竜の声と思われし声が頭に直接響いた事だ。

(こ、こいつ…!直接脳内に…!?)

頭の中で生前から言いたかったセリフを呟いてみる。
しかし、お気楽な事を考えているのは俺だけらしく…グレイは隣で臨戦態勢へ入っていた。

「キュィキュィ!」
『……』

大きなドラゴンは、どうやら今は赤ちゃんドラゴンと話しをしているらしく…人間が会話を聞く様に相づちを打っている。

「…レオンハルト…もしあのドラゴンが襲いかかってきたら、俺が足止めする……お前は出口に走れ……」

ドラゴン達の会話を待つ余裕は無いとばかりに、グレイが死亡フラグめいたことを口走る…

「ふざけんな、帰るときは一緒だ…変なこと口走るなよ」
「…レオンハルト……」

グレイが思いとどまった頃にはドラゴン達の話しも終わったらしく、再び俺達の方へと向き直った。

『…我が子から事情は聞いた、そなた達が助けてくれたのだな…感謝する』

先程の威圧は無くなったが、竜の威厳とでも言うのだろうか…どことなく緊張してしまう。

「いや、それより赤ちゃんが戻って良かったな」
『…うむ、それでだな…其方達に何か礼がしたい…何か要望は有るか?』

…!凄く都合が良い!!

「…俺の欲しいものは、1人を除いて誰にも取って来られないからな……特に願いは無い」

グレイがドラゴンに向かいそう答えると少し怪訝な顔をするドラゴンだったが、贈り物を諦めてと言う事にするようだ。
強くて無欲なんて、イケメンにも程があるぞ……

『其方はどうだ?何か欲しいものは無いか??』
「俺は、竜の心って言うのが欲しいんだ…有る?」

……普通は、もっと良いことに使うんだろうけど…今は竜の心が貰えれば充分……と言うか、本当に有るんだろうか……

『……ふむ…竜の心か承知した、それでは其方には礼として……竜の心を贈ろう』

ポウッ…と暖かな光が近付いて来たと思うと、それは赤黒いタマゴの様な形になり、俺はそれを受け取った。
きっととても貴重な物なんだろうな……俺にはアボカドにしか見えないけど………

「アリガトな!これで試験に合格できそうだ」
『……うむ、試験とやらがどれほど大事かは知らぬが…力になれたようで良かった』
「おう!」

さぁ、後はもうお袋のゲートを通って学園へ帰るだけだ!
俺とグレイはドラゴンに別れを告げると、学園への帰路を辿った。





一ヶ月の期限をほんの1週間ほどで帰ることが出来たのは嬉しかった。少し得をした気持ちになりながら学園に到着し、竜の心を試験官に渡す…すると誰しもが度肝を抜かれ玩具の様に固まってしまった……その光景はとても面白かったが、何より俺の度肝を抜いた物は……






屋敷の自室に帰った後……ひょっこりと俺の荷物から顔を出した竜の赤ちゃんだった………

………着いて来ちゃったのか……お前…
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