お前らの相手は俺じゃない!

くろさき

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第6章 魔道実技試験

ワイバーンのタマゴ??

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出来るだけ早く出発したいとお願いしたら、グレイ騎士団長はその日の夜に仕度をし終えて屋敷を訪れてくれた。俺の世話をしてくれているマリア達もテキパキと仕度を調えてくれて、そのお陰で俺は随分と早く目的地を目指せる。
ど○でもドア……もとい、ゲートを潜る直前にグレイ騎士団長が危ないかも知れないからと手を差し出してきてくれた。
……確かに、憧れの騎士団長との手つなぎは嬉しい…が………今の俺じゃ面倒見の良い兄と幼い弟に見えてしまうと思うと、何だか恥ずかしい。

「グ…グレイ騎士団長…手を繋がなくても1人で歩けます」
「駄目だ、今から行く場所は魔物のレア度も高いし…何か有ったら直ぐに対処できるようにしておく必要があるんだよ」
「………はい…」
「ん、良い子だ…」

あぁ…そんな甘ったるい声で良い子とか言わないで……ぁ、そんな…穏やかに微笑んでくるとか止めてくれ…!

俺が声と表情に悩殺されそうになっていた頃、何時の間にか別れの挨拶は済んだようで…
俺が再び冷静になる頃にはゲートを潜り終え、ジャングルの様な場所へ転移した後だった…。

「おぉ……こりゃ凄いな、一気に近い場所へ転送された…」
「…恐竜とか、居そうだな」

この光景に音楽を合わせるとしたら、ジュラ○ックパークのメロディがベストだろう…

「火山地帯に行くにはそこに通じてる洞窟から入っていかなきゃならないから、入り口を探すぞ」
「はい!」
「……これから一ヶ月一緒に居るんだぞ?敬語はいい加減取ったらどうだ?」
「…しかし」
「良いから取れ、ほら行くぞ付いてこい」

ぶっきらぼうにそう言うと、グレイ騎士団長……いや、グレイは先へ進んでいく。

「…あ!待ってくださ……」
「早く来い」
「…っ…待てよ!!」

慌ててグレイに走って追い付くと、グレイは満足そうに俺を見て頭をワシャワシャ撫でて来た。
……照れる…

「この先に動物や魔物達のオアシスがあったはずだ、今日はそこで休んでから明日入り口に向かうぞ」
「おうっ!」
「……はぁ…」

俺が元気よく返事するとグレイはため息を付いて俺を抱き上げてきた。

「ぅ…え!ちょっ…!?」

ギュゥと抱き締められて大事そうに頭を撫でられた……

……まだあんま歩いてねぇけど…もう疲れたのかな…?

「…よし、元気出た……今ならドラゴンだろうが魔王だろうが倒せそうな気がする…」
「それはまたの機会に取っとけよ…それより早く進……ん?」

グレイに抱っこされて視野が広くなったからか、少し遠くに胡散臭そうな男達が歩いているのが見えた……

「…グレイ、あそこ……何だ?アレ」
「ん?どれだ…?」

俺がその男達を指差すと、グレイは表情を変えて俺を降ろし、素早くその男達を取っ捕まえた。

「いや~…見つけられて良かったな」
「その人達誰なんだ?」
「コイツらは密猟者だ、稀少なモンスターやこの国独自のモンスターを違法に捕まえて売りさばく気だったんだろ、案の定…ワイバーンのタマゴを持ってた」

そう言うと大切そうにタマゴを俺に持たせてくれた……6歳の俺には少し大きく感じる……大きさはランドセルほどでとても温かい…

「ぅわぁ…すげぇ……タマゴだ…!」

俺はこの世界に転生してから初めて触れた生き物の命に…とても感動してしまった…。
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