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第3章 少し慣れた俺は5歳になった…

憧れの騎士団長

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イグナシオとアルグレッド王子から逃げ…もとい、離れるために応接室近くまで来ていた俺とイグナシオだがどうした物かと悩んでいた。

「何とかここまで走ってきたけど…入学手続きはまだ終わってねぇみたいだし、庭の方はもう行けねぇし……どうすっかなぁ…」

イグナシオが言っていた『そろそろ手続きが終わる時間』は俺が嫌そうにしているのを感じ取って発言してくれた嘘なのだ…そもそも、王子と話している状態で何の連絡も入っていないし、前もって時間を知っていたとしてもイグナシオは時計を見ていない…時間を確認してそう発言した…というのは些か強引だ。

王子にあぁ言った手前、もう遭遇する事は出来ないだろうし…と言うか、遭遇したら厄介だ……

(何処か庭から遠くて、時間を潰せる場所…)

俺が考え込んでいると、イグナシオが少し考えてから口を開いた。

「この学園の訓練場へ行ってみてはいかがですか?」
「訓練場?…あるのか、と言うか勝手に入って良いのか?」
「はい問題ありません、レオンハルト様は仮では御座いますが学園の生徒と登録されているはずですから」

(…訓練場か……今朝は学園に来なきゃならなかったから剣の訓練が出来なかったし…少し運動していくか…)

「よし、そんじゃ訓練場に行くか!」
「はい、それでは魔法訓練場と剣術訓練場のどち「剣術訓練場!」
「はい、畏まりました」
「にこやかに笑うな、お前俺が魔法苦手なの分かってて言ってるだろ!」
「…さて、何のことか私には分かりかねます」

コイツ……目を背けやがった…見てろよ!いつか俺だってバンバン魔法使ってイグナシオを超えてやるんだからな!!

楽しそうに微笑むイグナシオを横目に、俺はもっと魔法にも力を入れようと決意した…





暫く進むと、大きなドーム状の建物が見えてきた…左側にも同じような建物が有るのを見ると、どうやらこの建物が魔法訓練場と剣術訓練場らしい。
…東京ドームっぽい……

ドームのゲートを潜ると中は開けた空間になっていて、2階には観覧席が並んでいる。

「サッカー場みたいな作りだな…」
「?…サッカー??」
「ぁ…いや、気にすんな」

見ると訓練場には何人か同じ制服を着た人達が模擬戦をしていた。

…その中の1人……ひときわ目を引く黒い髪、兄貴気質が一目で見て取れる短髪オールバックに緋色の瞳、顔半分ほどを覆っている火傷跡……

「………ドラグニル・グレイ…騎士団長……マジかよ…本物……?」

あまりのことでまたボソリと口に出てしまう、幸いグレイ騎士団長は訓練に夢中で気づいていないらしく、他の騎士団員と剣を交えている。
ドラグニル・グレイ…とは〈永遠の愛をキスで誓う〉の非攻略キャラクターで俺が1番好きだったキャラクターだ、先程会ったドラグニル・アルグレッドの義理の兄で17歳と言う若さで騎士団長になるという逸材、最年少で騎士団長になった実力は相当な物で間違いなくこの国…いや、この大陸1の騎士だ…

「…なんで、騎士団の人達が居るんだ?」
「それはこの学園の訓練場が王城から1番近場で1番設備の整った施設だからですよ」
「…なるほど……」

乙女ゲームに非攻略キャラクターとして存在しているのに攻略キャラクター達に負けないくらい格好良くて強い!本人や周りは火傷跡が醜いと嫌悪している設定らしいけど…俺は火傷跡も格好良くて憧れる…

「…レオンハルト様?剣術はなさらないので?」
「…!す、する…今しようと思ってたんだよ!」
「それでは、私がお相手致しましょうか…」

そう言ってイグナシオが訓練用の剣を握る。

「魔法じゃ勝てないけど、剣ならお前に負けねぇよ!」

そう言って俺達は、騎士団の邪魔にならないように隅の方で密かに打ち合いを始めた。
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