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第3章 少し慣れた俺は5歳になった…

攻略キャラクターとの初遭遇…

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清々しく通る声、日差しが反射して繊細に流れる金色の髪、琥珀色の瞳……断言しよう、女だったら惚れていた。

「…!アルグレット殿下、このような場所で何を…」

俺が木から飛び降りてきた青年に気を取られていると、イグナシオがハッとした様子で慌てていた…

(殿下……アルグレット………何処かで…)

どことなく聞いたことの有る名前に、首をひねりながら記憶の糸を辿っていく…

「学園の入学手続きに来たのだけれど、少し迷ってね……歩いていたら木の上に猫が居て降りられないようだったから、助けに行っていたんだよ」

そう話すアルグレット殿下の腕の中には、とても小さく可愛らしい真っ白な子猫がうずくまっていた。
それを見て心の中が暖かくなると同時に、俺は自分の中で探していた記憶にたどり着いた……

(アルグレット…〈永遠の愛をキスで誓う〉の攻略キャラクターの名前だ……確か…)

「…ドラグニル・アルグレッド……攻略対象…第1王子……妹の推しじゃねぇか………」

ポツリと思っていたことを口に出してしまう

「…おや、僕は何処かで君に名乗ったかい?」

俺がしまったと思うときには、王子は俺を見て首をかしげているし、俺を撫でていたイグナシオは俺が王子をフルネームで呼び捨てにしたことで固まってしまっていた。
……イグナシオ、銅像みたいだな…

「いえ、俺が殿下にお目にかかるのは初めてです。名前を呼び捨ててしまい大変申し訳有りませんでした…」

俺はなるべく自然に、出来るだけ当たり障り無く王子に謝罪した。

「良いんだ、気にしないでくれ…それより今度は君の名前を教えてくれるかな?」
「…アブソリュート・レオンハルトです、殿下」
「殿下はよしてくれ、それ程年も離れていない…アルグレッドと呼んでくれ」

にっこりとフレンドリーに微笑む殿下はとても柔らかい物腰だと感じさせる。
アルグレッド殿下は確か…ヒロインに何処かで一目惚れするんだったな……俺には関係ないが、気になるのはこの王子のバットエンドだ………

この王子のバットエンドは2つ…1つ目はヒロインが意地悪な令嬢に男子生徒達を仕向けられてそこへ王子が来るパターン…男子生徒達をその場でのして、その後も城の地下牢へ幽閉してヒロインにした仕打ちへの罪を責め続ける……
これは俺が巻き込まれなければ大丈夫なハズだけど…万が一も考えられる……

2つ目は我が妹が大好きなヤンデレ堕ちルートだ…ヒロインが他の男子生徒を好きになって浮気…それを知った王子がヒロインも男子生徒もなぶって犯して報復すると言う最悪ルート……妹よ…お前の趣味はどうなんだ……

このアルグレッド王子のバットエンドルートはどれもこれも恐ろしすぎる……妹が週に何度もアルグレッドルートで攻略をしていたから、後ろからスチルを見る機会が多々あったのだが……
鞭を使うとか、手錠とか…紳士的な表情の裏を開けるととんでもないサイコパスキャラ…

出来れば関わりたくはない……

「いえ、殿下にそのような事…申し訳有りませんがお断りさせて頂きます…」

なるべく他人で…関わったとしても知り合いまでで済むように……俺は丁重に王子の名前呼びを断った。

「しかし…」
「レオンハルト様、そろそろ手続きが終わる時間です、応接室へ戻りましょう!」

アルフレッド王子が続けようとしたとき、イグナシオが話を振ってくれた。
グッジョブだイグナシオ!
俺はイグナシオが投げかけてくれたドンピシャな話題を逃さずたたみかける。

「そうだな…殿下、我々はこれで失礼致します。」
「え?ぁ……うん…?」

何だか間の抜けた返事だが今はどうでも良い!俺はイグナシオの手を引くと王子へ一礼してから小走りで応接室へと向かった。
見事脱出成功だ!有り難うイグナシオ!!
…心の中で叫びながらイグナシオの手を強く握ると、ほんの少し間を置いてイグナシオも握り返してくれた……。

本当に有り難う、イグナシオ
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