お前らの相手は俺じゃない!

くろさき

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第2章 3歳になった俺は…

イグナシオと友情を深めたい

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イグナシオが来てから数週間、家での事は随分と慣れたようで今では俺よりもこの屋敷に詳しい。しかし…どことなく貴族と侍従と言う距離感を感じる……元日本人の俺としては少し寂しいだからこそ!俺はある案を思いついた。

「…なぁ、イグナシオ?」
「はい、なんで御座いましょうか?」

俺が話しかけると爽やかな笑みを浮かべながら返事をしてくれる。…爽やかイケメン………

「…今日は街に行かないか?」
「畏まりました、旦那様にご報告をしてみますね」
「いや、そんな必要ないから仕度しろ」
「ですが…旦那様にご報告しなければ……」
「はーやーく」
「………はい、畏まりました…」

渋るイグナシオを力押しで頷かせると、俺も出かける準備をし始める。





街へ着く頃にはイグナシオもすっかり諦めた様子で、俺はと言うとこの世界に来て始めての賑わいに心が躍っている。

「なぁイグナシオ!市場に行ってみようぜ!」
「レオンハルト様…旦那様に怒られてしまいますよ?……」

そう言ってイグナシオは少し困った顔をする、確かにそれは不安だけど、今はそれより市場だ!

「……駄目か………?…」

今俺は3歳児…もうすぐ4歳だがイグナシオは7歳……この年齢差ならまだ我が儘を聞いて貰える……多分!

「……レオンハルト様…」

まるで、聞き分けて下さい…と言っているかのように名前を呼ばれる。

「…イグナシオ……お願いだから…」

もう一押しと感じた俺は、ギュッとイグナシオの服の裾を掴み上目遣いで"お願い"してみる。
自分で言うのも何だが、俺だってそれなりにいい顔をしていると思う…親父はイケメンだしお袋も美人、俺も親父の銀髪とお袋の黄金色の瞳を受け継いでいる。そんな子供が"お願い"をしているのだ、このくらいの我が儘聞いてくれ…!

「…………仕方有りませんね…少しだけですよ?…」

予想通り、イグナシオは折れてくれた。
やったー!俺の勝ちだ!!男の子と言えど子供は子供、可愛いは正義なのだ!例え異世界であろうと!!








その後、市場から帰ってきた俺とイグナシオを待っていたのは親父の怒濤のお説教だった…

……巻き込んでごめん…イグナシオ……



親父のお説教が終わる頃には、すっかり日も落ちていてご飯を食べ損ねた俺とイグナシオは、マリアがコッソリと持ってきてくれたサンドイッチを2人で食べた。
親父に怒られたのは怖かったけど、イグナシオと少し近づけた気がするし2人で食事が出来て嬉しい1日だったな…。
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