お前らの相手は俺じゃない！

プロローグ

大学からの帰り道、俺は妹から嫌々引き受けたおつかいのため、アニ○イトに来ていた。

（…ぉ、これだな……）

明らかに女性が多いブースにたどり着くと、周りの視線を感じながらも妹に頼まれたおつかいの品であるゲームを手に取った。
妹が最近やたらとプレイしている恋愛シミュレーションゲーム〈永遠の愛をキスで誓う〉…だ、何でも…最近人気のゲームで妹が言うには、男性声優陣が豪華でグラフィックが美しくて…尊い……らしい……。

（…そう言えば…アイツの部屋…またコスプレ衣装増えてたな………またオヤジに怒られなきゃ良いけど……）

軽くため息をついた後、辺りを見てハッとする…。

（……しまった…）

気が付くと、周りの女性らが俺に視線を集めていた。
そりゃそうだ…男が女性向けブースに居るだけで浮くのに、長い時間乙女ゲームを見つめた挙げ句ため息をついていたんだから……そりゃあもう、浮きまくりだ………。
背中に突き刺さる視線を感じつつレジへ向かうと手早く会計を済ませて俺はアニ○イトを後にした。






暫く歩くと見慣れた大通りに出る。本来ならば大学から真っ直ぐ大通りに沿って帰宅するのだが、今日は妹のおつかいが有ったからそうはいかない…路地に入るため何時もより随分と遠回りだ……。
日も傾き、歩道の白いタイルが夕日でオレンジ色に染まっていく…早く帰らなければ、妹にさぞ怒鳴られることだろう……。

（怒るくらいなら、いい加減自分で買いに行けってんだよな……）

心の中で愚痴りながらも先程より歩くペースを速めて家路を急ぐ。小走りで横断歩道近くにさしかかると、俺の前を小さな影が小走りで横切った。

（子供？ったく、走って信号渡ったら危ねぇだろ……）

そう思いながら前を向くが、ふと気が付き俺も横断歩道へ走り出す。


（ちょっと待て……今信号はっ…………）
















　　――――――― 赤だ ―――――――










その直後に、車のクラクションが鳴った気がした………