上 下
24 / 31
第6話:上ノ江結人の気持ち

彼について語ろう

しおりを挟む
   昨日のデートはやけに疲れた私は今日は彼女とデートの日か…と思うのだった。
  
   気怠そうにソファーで寝っ転がり、起き始めの為、ダラダラとしている時に母がそんな私に言った。


  「いつまでもダラダラしてないで、宿題とかやったの?」
  「やった…。」
  「だったら服着替えて朝ごはんさっさと食べなさい!」

    
   母は中尉しながらパートに出かけた。
   スーパーの仕事の為、朝の人が2人も有給休暇で休みで急遽出る事になったのだ。

   私は平和にダラダラとしているのに何故か大人達はせっかちに動く。
    私がまだ子供だからというものであろうか?

    私は朝食を食べ、彼女が待ち合わせしている10時に行きつけの喫茶店で待ち合わせをしていた。


   
   「おはよう!」
   「あらおはよう。
     どうしたの、その服?」
   「結人から服を買って貰ったのほんの少ししかない5千円する服を丁度出して買って貰っちゃったの。」
  「それで彼に礼は?」
  「したよ、ちゃんと。」


   
    イマドキのワンピースの服を買って貰ったが、結構この服が好きで着てしまった。
    ピンクのウェーブかかった感じのふわっとしたスカートだが、鏡を見てしまうと意外と似合っていた。

  そんな自分を受け入れてしまった私はナルシストかもしれないと思い込んでいる。



  「似合っていてとても可愛いわよ。」
  「そうかな?」
 「だってその服貴方着ないんだもの。
   いつもお下がり服を着ているしね。」

  
    “やっぱりアイツも結人と一緒か…”



    そう思ながらなんだか悔しい気持ちでいるが、正直当たっている。
   自分も余りお金を出費したくないが、ケチな私は仕方が無いと思い、それも受け入れるのだった。



  「それで、彼とはどこまで順調に行ってるのかしら?」
  「まあ帰り道デート以外、普通の休みデートもできるようになったよ。」
  「へぇ…貴方って以外と小さい一歩しか歩けないのね。」
  「小さな一歩で悪かったね!」

   
    なんだか失礼だと感じ、お互い刺激し過ぎないように私はは冷静になった。


   
   「彼はどういう人間か聞きたいわ、貴方の事についての事でもあるしね。」
  「そうだね。」
  「まず、彼の性格。」
  「上ノ江君は見た目はチャラ男で本当は誠実でとても人思いの所がいい。」
  
   
    私が言う事にメモをとり始める彼女は至って真剣である。
    そして書き上げた瞬間言った。


   「髪型。」
   「ワックスでたまに立髪を作るためにガチガチでやっててたまに嫌だなって思うけど、このこのヘアスタイルが好きなのかなって伺える。」
  「そして体型!」
  「基本筋肉質の細身な感じかな…。」

    しっかり書き上げる彼女はまるで頭の良い人の書き上げ方にそっくりだった。
   そして私に見せた。


  「大体分かったわ、彼の性格が。」
  「何?」
  「自己中心的野郎よ。」
  

   “それだけえええええ!?”


  私は驚愕し、前とは全然同じ考えじゃないかと感じた。
   彼女の目はやはり彼が自己中心的って感じしか見ていないのだろう。

    私は彼の性格をフォローした。



  「でも上ノ江君は基本は性格がいい子なんだから自己中心的なんじゃ無いと思うんだよね。」
  「なんで分かるのかしら?」
  「それはずっといるからだよ、だって人にはいい所が沢山あるし、それに無いことってないでしょ?」


  
   “めぐるちゃん、悪いけど他人の家の彼氏の悪口だけは言わせないよ!
     いくら貴方でも言っていい事と悪い事があるんだから、受け入れなさい!”


   
      そう願いながら私は彼女にいいアドバイスを送った。

   
  「そうね、それもそうね…。」
  「!!」
  「でも、短所が見えてしまえば人は100パーセントいい所で終わるが、最初の性格が人の方へと行き届いてしまったら印象は台無しへと変わるのよ。
    だから貴方の彼氏は自己中心的、それしか目に入らないわ。」


    やはり駄目だったかと後悔する私。
   人の印象は確かに大事だが、彼女の目と記憶は昨日の事のように壊れて時が止まった時計のように放置されているのは彼女だけである。
   その為、私はもう彼の性格全部を切り出すのを止めようと思った。



   「彼のいい所は人に優しいっていう事は受け入れようと思うわ。」
  「え?」
  「いい性格なんでしょ?」
  「うん。」
  「私にとってはこんなものでしか目には映らないけど、いい所を知っている彼女だからこそ素敵だと思う。」


    彼女は最終的に彼のいい所を受け入れ、これみて彼についての調査は終了した。  




                                                              続
         
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アリシアの恋は終わったのです。

ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。 その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。 そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。 反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。 案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。 ーーーーー 12話で完結します。 よろしくお願いします(´∀`)

ここは私の邸です。そろそろ出て行ってくれます?

藍川みいな
恋愛
「マリッサ、すまないが婚約は破棄させてもらう。俺は、運命の人を見つけたんだ!」 9年間婚約していた、デリオル様に婚約を破棄されました。運命の人とは、私の義妹のロクサーヌのようです。 そもそもデリオル様に好意を持っていないので、婚約破棄はかまいませんが、あなたには莫大な慰謝料を請求させていただきますし、借金の全額返済もしていただきます。それに、あなたが選んだロクサーヌは、令嬢ではありません。 幼い頃に両親を亡くした私は、8歳で侯爵になった。この国では、爵位を継いだ者には18歳まで後見人が必要で、ロクサーヌの父で私の叔父ドナルドが後見人として侯爵代理になった。 叔父は私を冷遇し、自分が侯爵のように振る舞って来ましたが、もうすぐ私は18歳。全てを返していただきます! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。 しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。 それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…  【 ⚠ 】 ・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。 ・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

【本編完結】実の家族よりも、そんなに従姉妹(いとこ)が可愛いですか?

のんのこ
恋愛
侯爵令嬢セイラは、両親を亡くした従姉妹(いとこ)であるミレイユと暮らしている。 両親や兄はミレイユばかりを溺愛し、実の家族であるセイラのことは意にも介さない。 そんなセイラを救ってくれたのは兄の友人でもある公爵令息キースだった… 本垢執筆のためのリハビリ作品です(;;) 本垢では『婚約者が同僚の女騎士に〜』とか、『兄が私を愛していると〜』とか、『最愛の勇者が〜』とか書いてます。 ちょっとタイトル曖昧で間違ってるかも?

処理中です...