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第三部 第一章 暴露
【番外:ちょっとティータイム】聖ヴァレンタインズ・ディの思い出など
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初出はヴァレンタインデーにアップしたものです。
★由利子さんの場合★
何故か、そういうことに冷めていて、自分からは決してバレンタインデーにチョコを送ることなどなかった由利子さんだが、何故か、中学でも高校でも、大学はちょいと飛ばして職場でも、一番沢山チョコレートをもらうのだった(大学でもらわなかったのは、面倒くさいのでその日は休んでいた)。
それで、決してバレンタインデーにチョコを買うことのない由利子さんだが、3月14日のホワイトデーには、何故か律儀にも御礼のクッキーを買ってしまうのであった。
★ギルフォード教授の場合★
未だ若い頃。大好きなミュージシャンが日本の風習と言っていたのを思い出して、アレックス君は新一君にチョコレートをあげた。ちょっと奮発してお高い有名ショコラシエのチョコレートだ。
ドキドキしながら勇気を出してチョコレートを差し出すアレックス君。新一君は、にっこり笑って受け取った。
「君も食べなさい。高かったんだろう?」
二人は仲良くチョコレートを食べたが、何故か新一君は涙目だった。
「後で知ったんですが、シンイチは甘いものが苦手だったんです」
「好きな人の好みくらい知ってなさいよ~、もう馬鹿やね」
由利子は容赦なく言ったが、その後声のトーンを変えて訊いた。
「で、ひょっとして、それが告白だったの?」
すると、ギルフォードは少し頬を赤らめて答えた。
「まあ、そんなもんです。意味をわかっているのか、と訊かれたので、『ハイ』って日本語で答えマシタ」
「そ、良かったねえ。で、お返しはあったの?」
「はい、3月14日に。そんな風習があるなんて知らなかったので、驚きました。もらったらお返しをするという、日本らしい風習ですねえ」
ギルフォードは違う方向で感心していた。
「で、何をもらったの?」
「ええ、何故かふわふわな大きいマシュマロが二つ。しっかりと袋に入ってマシタ」
「いい話だったのに、結局下ネタかよ!」
★葛西君の場合★
幼稚園の時、バレンタインデーに因んでおやつがチョコレートだった。隣の女の子が自分の分をくれた。当時は何のことやらわからずにポカンとしていたら、周囲の女の子が次々と自分のチョコを葛西君にあげようとして、大騒ぎになり、とうとう先生が出てくるまでになった。葛西君は最後まで意味がわからずにポカンとしていて、先生にあきれられた。
「昼行灯のくせにもてるんだから。仕方ないわねえ、純平くんは」
小学校の頃は、それなりにもらった。流石に意味はわかっていたので悪い気はしなかったが、帰ったら太るからと言って、姉にみんな没収された。
中学高校と、けっこうもらう量が増えた。周囲は羨ましそうにしていたが、葛西君にはどうでも良かった。彼は、ずっと隣の家の優しいお姉さんにあこがれていたからだ。帰ったら、にきびになるからと言って毎回姉に全部没収された。彼女は手作りらしきものは全部排除した挙句、浄化だと言って火をかけて燃やしてしまう。それでも、毎回1個だけ返してくれた。けっこう有名チョコレートショップのものだった。
最近は、姪っ子から毎回手作りらしきチョコレートをもらう程度になった。自分は全部捨てていたくせに、娘はいいのかよ、とハートよりクローバーに近い形のチョコを見て思う葛西君であった。
(由利ちゃんはくれるかなあ。手作り大歓迎なのだけど)
多分、教授からはもらえる。
★ジュリー君の場合★
子供の頃、祖母を頼って日本に来た時、ちょうどバレンタインデー商戦の真っ只中だった。まだ日本語のわからなかったジュリー君には、英語の「St.Valentine's Day」しか読めなかったが、聖人ヴァレンタインとその大量チョコの意味が繋がらずに悩んだ。売り場の前でずっと首をかしげていたら、女子高生たちが寄ってきた。
「きゃー、かわいい!」
「子供の頃のマイケルみたい」
「うっそ~、マイケルよりキレイだよ、この子」
「日本語わかる~?」
ますますきょとんとするジュリー君に、女子高生達はまたかわいいとヒートアップした。
「可愛いから可愛いのあげる~」
中の一人がジュリー君の手に、買ったチョコから一番可愛いのを選んで乗せた。
「ア……アリガト」
ジュリー君はたどたどしい日本語ながら、にっこりと笑って言った
「いや~ん、かわいい~ん」
彼女等は次々とジュリーの手にチョコを乗せてありがとうと言わせ、きゃあきゃあ言いながら去って行った。
”ジュリアス! ああ、こんなところにいた。ウロウロしないで。トイレにもゆっくり行けないじゃない”
祖母がそういいながら足早にやってきたが、ジュリアスの抱えた大量チョコを見て「あれまあ~」と驚いた。
それらが買ったものであることは、売り場の人が証明してくれたので、せっかくだからいただいて帰ることにした。そこの売り場の人がペーパーバッグをくれたので、お礼に1個買って帰った。
”久々に、おじいちゃんにあげる事にするわ。かわいい孫も来て、ステキなバレンタインデーになるわね”
祖母が嬉しそうに言った。
「だもんで、ヴァレンタイン・ディはおれにとってはラッキーディなんだわー」
ジュリー君はちょっとだけ得意げに言った。教授がその横から不機嫌そうに言った。
「僕だって最近は女子大生からスゴク沢山の……」
「はいはい」
由利子さんと紗弥さんがほぼ同時に言った。
★紗弥さんの場合★
意外にも、日本のバレンタインデーを楽しみにしているらしい。色々なチョコレートを見ることが出来るのが楽しいし、気に入ったのは自分に買って帰るらしい。いわゆる自分チョコですね。
T神のどこかのバレンタインデー特設コーナーで、教授と一緒に紗弥さんの姿も見ることが出来るかもしれない。
★美葉さんの場合★
義理にも本命にも、美葉さんはデパートで有名ブランドのチョコレートを買うことにしている。手作りは気持ち悪いといって食べずに捨てる人がいると聞いたからだ。
しかし、一番大事な人のぶんだけは、いつも本格的に手作りをしているのだが、その人が毎年沢山もらうので、結局いつも渡せずに自分で食べる美葉さんなのでした。
★多美山さんの場合★
「今年も女性職員達からこれをもろうたけん」
多美山は仏壇の中の妻と娘の写真の前に、もらったチョコレートを置いた。
「先におまえたちが食べんね。……そういえば、眞沙子、おれに一度だけチョコレートをくれたことがあるなあ。なんでかおまえと大喧嘩をして……。原因はなんやったかなあ」
多美山は少し考えると、笑って言った。
「もう忘れてしもうたなあ。とにかく、それがばれんたいんでーの前日やったことは覚えとお。で、おまえは翌日無言でおれに弁当を渡したやろ。おれはそれを開けるとが怖かったばってん、意を決して開けてみたったい。そうしたら……」
多美山はふっと笑って言った。
「梅干の代わりにチョコボールが乗っとった。おれはなんとも言えん気持ちになったったい」
多美山はその後ため息をついた。
「やっぱ、ひとりは寂しかもんやねえ」
その時、玄関の呼び鈴を押す音がした。急いで出ると宅配便だった。東京の息子からだ。開けると中から、孫の桜子からの手紙と共に、自分で包装したらしいチョコレートが出てきた。
『おじいちゃん、げんきですか。チヨコレートの手づくりはパパとママがはんたいしたから、ラッピングだけさくらの手づくりです。さくらはおじいちゃんがいつも大すきです』
多美山は孫の手紙を手にしたまま、しばらくじっと座っていた。
(第3部 第1章 暴露 終わり)
★由利子さんの場合★
何故か、そういうことに冷めていて、自分からは決してバレンタインデーにチョコを送ることなどなかった由利子さんだが、何故か、中学でも高校でも、大学はちょいと飛ばして職場でも、一番沢山チョコレートをもらうのだった(大学でもらわなかったのは、面倒くさいのでその日は休んでいた)。
それで、決してバレンタインデーにチョコを買うことのない由利子さんだが、3月14日のホワイトデーには、何故か律儀にも御礼のクッキーを買ってしまうのであった。
★ギルフォード教授の場合★
未だ若い頃。大好きなミュージシャンが日本の風習と言っていたのを思い出して、アレックス君は新一君にチョコレートをあげた。ちょっと奮発してお高い有名ショコラシエのチョコレートだ。
ドキドキしながら勇気を出してチョコレートを差し出すアレックス君。新一君は、にっこり笑って受け取った。
「君も食べなさい。高かったんだろう?」
二人は仲良くチョコレートを食べたが、何故か新一君は涙目だった。
「後で知ったんですが、シンイチは甘いものが苦手だったんです」
「好きな人の好みくらい知ってなさいよ~、もう馬鹿やね」
由利子は容赦なく言ったが、その後声のトーンを変えて訊いた。
「で、ひょっとして、それが告白だったの?」
すると、ギルフォードは少し頬を赤らめて答えた。
「まあ、そんなもんです。意味をわかっているのか、と訊かれたので、『ハイ』って日本語で答えマシタ」
「そ、良かったねえ。で、お返しはあったの?」
「はい、3月14日に。そんな風習があるなんて知らなかったので、驚きました。もらったらお返しをするという、日本らしい風習ですねえ」
ギルフォードは違う方向で感心していた。
「で、何をもらったの?」
「ええ、何故かふわふわな大きいマシュマロが二つ。しっかりと袋に入ってマシタ」
「いい話だったのに、結局下ネタかよ!」
★葛西君の場合★
幼稚園の時、バレンタインデーに因んでおやつがチョコレートだった。隣の女の子が自分の分をくれた。当時は何のことやらわからずにポカンとしていたら、周囲の女の子が次々と自分のチョコを葛西君にあげようとして、大騒ぎになり、とうとう先生が出てくるまでになった。葛西君は最後まで意味がわからずにポカンとしていて、先生にあきれられた。
「昼行灯のくせにもてるんだから。仕方ないわねえ、純平くんは」
小学校の頃は、それなりにもらった。流石に意味はわかっていたので悪い気はしなかったが、帰ったら太るからと言って、姉にみんな没収された。
中学高校と、けっこうもらう量が増えた。周囲は羨ましそうにしていたが、葛西君にはどうでも良かった。彼は、ずっと隣の家の優しいお姉さんにあこがれていたからだ。帰ったら、にきびになるからと言って毎回姉に全部没収された。彼女は手作りらしきものは全部排除した挙句、浄化だと言って火をかけて燃やしてしまう。それでも、毎回1個だけ返してくれた。けっこう有名チョコレートショップのものだった。
最近は、姪っ子から毎回手作りらしきチョコレートをもらう程度になった。自分は全部捨てていたくせに、娘はいいのかよ、とハートよりクローバーに近い形のチョコを見て思う葛西君であった。
(由利ちゃんはくれるかなあ。手作り大歓迎なのだけど)
多分、教授からはもらえる。
★ジュリー君の場合★
子供の頃、祖母を頼って日本に来た時、ちょうどバレンタインデー商戦の真っ只中だった。まだ日本語のわからなかったジュリー君には、英語の「St.Valentine's Day」しか読めなかったが、聖人ヴァレンタインとその大量チョコの意味が繋がらずに悩んだ。売り場の前でずっと首をかしげていたら、女子高生たちが寄ってきた。
「きゃー、かわいい!」
「子供の頃のマイケルみたい」
「うっそ~、マイケルよりキレイだよ、この子」
「日本語わかる~?」
ますますきょとんとするジュリー君に、女子高生達はまたかわいいとヒートアップした。
「可愛いから可愛いのあげる~」
中の一人がジュリー君の手に、買ったチョコから一番可愛いのを選んで乗せた。
「ア……アリガト」
ジュリー君はたどたどしい日本語ながら、にっこりと笑って言った
「いや~ん、かわいい~ん」
彼女等は次々とジュリーの手にチョコを乗せてありがとうと言わせ、きゃあきゃあ言いながら去って行った。
”ジュリアス! ああ、こんなところにいた。ウロウロしないで。トイレにもゆっくり行けないじゃない”
祖母がそういいながら足早にやってきたが、ジュリアスの抱えた大量チョコを見て「あれまあ~」と驚いた。
それらが買ったものであることは、売り場の人が証明してくれたので、せっかくだからいただいて帰ることにした。そこの売り場の人がペーパーバッグをくれたので、お礼に1個買って帰った。
”久々に、おじいちゃんにあげる事にするわ。かわいい孫も来て、ステキなバレンタインデーになるわね”
祖母が嬉しそうに言った。
「だもんで、ヴァレンタイン・ディはおれにとってはラッキーディなんだわー」
ジュリー君はちょっとだけ得意げに言った。教授がその横から不機嫌そうに言った。
「僕だって最近は女子大生からスゴク沢山の……」
「はいはい」
由利子さんと紗弥さんがほぼ同時に言った。
★紗弥さんの場合★
意外にも、日本のバレンタインデーを楽しみにしているらしい。色々なチョコレートを見ることが出来るのが楽しいし、気に入ったのは自分に買って帰るらしい。いわゆる自分チョコですね。
T神のどこかのバレンタインデー特設コーナーで、教授と一緒に紗弥さんの姿も見ることが出来るかもしれない。
★美葉さんの場合★
義理にも本命にも、美葉さんはデパートで有名ブランドのチョコレートを買うことにしている。手作りは気持ち悪いといって食べずに捨てる人がいると聞いたからだ。
しかし、一番大事な人のぶんだけは、いつも本格的に手作りをしているのだが、その人が毎年沢山もらうので、結局いつも渡せずに自分で食べる美葉さんなのでした。
★多美山さんの場合★
「今年も女性職員達からこれをもろうたけん」
多美山は仏壇の中の妻と娘の写真の前に、もらったチョコレートを置いた。
「先におまえたちが食べんね。……そういえば、眞沙子、おれに一度だけチョコレートをくれたことがあるなあ。なんでかおまえと大喧嘩をして……。原因はなんやったかなあ」
多美山は少し考えると、笑って言った。
「もう忘れてしもうたなあ。とにかく、それがばれんたいんでーの前日やったことは覚えとお。で、おまえは翌日無言でおれに弁当を渡したやろ。おれはそれを開けるとが怖かったばってん、意を決して開けてみたったい。そうしたら……」
多美山はふっと笑って言った。
「梅干の代わりにチョコボールが乗っとった。おれはなんとも言えん気持ちになったったい」
多美山はその後ため息をついた。
「やっぱ、ひとりは寂しかもんやねえ」
その時、玄関の呼び鈴を押す音がした。急いで出ると宅配便だった。東京の息子からだ。開けると中から、孫の桜子からの手紙と共に、自分で包装したらしいチョコレートが出てきた。
『おじいちゃん、げんきですか。チヨコレートの手づくりはパパとママがはんたいしたから、ラッピングだけさくらの手づくりです。さくらはおじいちゃんがいつも大すきです』
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