4 / 6
散歩をするには危険です~エルside~
しおりを挟むエルは困惑していた。
そこは行けども行けども森だった。
神であるエルも地上に降りれば力は半減する。
それでも通常に比べれば神と言われるレベルではあるので支障はない。
何故エルが森を歩いているのかと言えば、チハルの為でありハルの為だ。
ただ問題は、先程から襲い掛かってくる生物が多い事だ。
どうやらこの森はレベルの高い生物の巣窟のようだった。
「ハルのご家族はそくこんな環境下で生活しようとしましたね。何が事情があったんしょうか?」
独り言をいいながら進んでいくが、村すら見えてこない。
そろそろチハルが起きだす頃でもある為引き返すことにした。
「おや、こんな所に......こんにちは」
『......っ! 神様?!』
木と同化してまどろんでいたドライアドがエルの問いかけに驚くと周辺の木々が騒めいた。
「居眠りの所悪いね。ちょっと聞きたいんだけどいいかい?」
『はい、どうされましたか?』
「この周辺に村か、人が居るところってあるのかい?」
『んー、先月までは小さい小屋で人間が暮らしてましたけど数日前に生きてる感じはなくなりました。人が減った?でも、今は小さい反応はありますねぇ』
(成程、それは多分ハルの家族をさし、今はチハルの事をいっているのだろう)
『私が言うのもなんですが、この森は上級生物の住処ですので、ほとんど人はいないですねぇ』
「そうかありがとう。そうだご近所ってことでご挨拶しておくよ」
『へ? 神様がご近所さん?』
「その、小さな小屋に子供と住まわせてもらっているんだ」
『え、ええええぇぇ?!(これは、仲間に伝令しておかなければ!) 』
「じゃぁ、そういうことでまた顔を見せく、「おまちください......」
がっしりとエルの腕に枝が絡みつきドライアドは頭を下げる。
『神様、改めましてこの森の管理をしておりますモドゥと申します。事情があって人の子と暮らすのは分かりましたが今から面会してもよろしいですか?』
「おや?構わないよ。少し、食べ物を分けてくれるとありがたい」
『畏まりました』
森の中でドライアドと遭遇するのも珍しいが、エルは極稀にこうして地上を散歩する変わり者の為素人の知り合いがいる。
エルの中ではドライアドの区別はつかないので固有名を聞いたところで判断はむずかしいだろう。
先に小屋へ戻ると気配がする。
「チハルただいま」
「......っ! エル!」
余程心細かったのか直ぐにエルに飛び込んできた。
「エル、あのね、ハルに会ったよ」
「え? ハルに?」
「夢にね出てきて、ハルと約束してさよならしたの」
チハルを抱きかかえて椅子に座らせコップに水を出すとこくこくと飲む。
細い手足に細い指。ぼさぼさになった髪。
体力がつくにはもう少しかかりそうだ。
本来ならすぐにでもみけ太を探しに行きたいだろうに自分の体の状態が分かっている聡い子だ。
切ない気持ちになりながらチハルの話を聞いていると扉が遠慮がちにノックされる。
ドライアドが訪ねてきたようだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる