9 / 197
貿易と海の街シーバ
08 そこは貿易と海の街2
しおりを挟む
フィリス・コールズの中で、自身の父グレアム・コールズは「なにかとやらかすやつ」という認識だった。
突然、前触れもなく店の外装を真っ赤に染めてみせたり、リビングにあった椅子と机を取っ払い、東国風の緑色の敷物と低いテーブルだけに変えてみせたり。
調理器具の棚の中に重くて底の深いオウコウ風の鍋を仕込んだり。
店の入り口の前に二メートル以上あるドでかい熊のぬいぐるみを勝手に配置したり、フィリスの部屋にあるクッションカバーがすべて食虫植物みたいな奇妙な柄に変わっていたり――と、フィリスが今まで生きてきた十七年間、これらの何十倍以上もの「やらかし」があった。
グレアムも四十を過ぎたいい大人だ。それらの奇行に最終的にストップをかけるのが彼の妻、テレーゼの役目である。
そうして叱られ、反省したグレアムは暫く変な行動は起こさない。
ここまではいいのだ。
ここまでは。
一番の問題は、フィリスが忘れた頃にそんな感じが奇行を繰り返されること。
そして今朝、それはまた起こってしまったのだった。
「――なるほど、そういうこと」
「そうそう、そういうこと」
グレアムの連れてきた少女からは、彼女が旅をしていることと、祖母と約束した花を探すためだという目的を聞き出し、グレアムからは二人が出会ったいきさつを一通り問い詰めた。
父の悪びれない様子の語り口を聞きながら、フィリスは盛大にため息をついた後、茶を一気に飲み干した。
グレアムが帰ってきてから三杯目の茶だ。彼女の味蕾は茶に含まれる甘みを完璧に無視し、苦味だけを拾っていた。茶器を乱暴に置きたくなる衝動を抑え、なるべく音を立てないよう気遣ってテーブルに戻す。
ふと顔を上げると、テーブルの向こうの茶が一切減っていない。これは向かいに座る客人に淹れた茶だ。
「もしかして、緑茶は苦手だった? あなた……、えっと」
客人がこぢんまりと椅子に腰掛ける様子は、どこか怯えているような、落ち着かない様子だった。フィリスは苦笑を浮かべて尋ねるが、言葉が途中で詰まってしまう。
フィリスがグレアムの方へ視線を向けると、グレアムは「ああ」と呟く。
「そーいや、お嬢ちゃんの名前聞いてなかったな。オレも名乗ってなかった」
「は?」
グレアムが調子よく笑う前に、ギロリ、と本日一切れ味の強いフィリスの睨みが彼に向く。まるで銃器を突きつけられたかのように、グレアムは顔の前で両手を挙げた。
そんな様子を見て、慌てた彼女は反射的に口を開いた。
「は、はじめまして。メルリア・ベルといいます!」
険悪な空気をどうにかしようと、無意識に大きい声が出た。メルリアはすぐに頭を深々と下げる。
コールズ家にとって、やらかした父を問い詰める空気は日常茶飯事である。しかし事情を知らないメルリアには、大層酷い光景だと感じられた。
「先ほどもお話ししましたが、私から声をかけて手伝わせてもらったので……。むしろ、私の方がご迷惑だったんじゃないかと」
メルリアは周囲の顔色を窺いながら恐る恐る言う。
消え入るようなメルリアの声を最後に、彼女以外の誰もが口を閉ざした……が、しかし、その沈黙は三秒と続かなかった。
「どうしてあなたが謝るの?」
「私のせいで……、かっ、家庭崩壊……、とか」
か細い声で視線を泳がせ呟くメルリア。その言葉に、フィリスが吹き出すように笑った。
「まさか! 被害妄想……じゃない、この場合加害妄想か。どっちにしても考えすぎよ。こんなの、喧嘩のうちにも入らない」
「ごめんなさいね、驚かせてしまった?」
フィリスとテレーゼの明るい顔に、メルリアの肩に無意識に入っていた力がゆっくりと抜けていく。そういうものなのかな、とメルリアが納得しかけた時、彼女の視界の端でうんうんと頷く男がいた。
「ほら見ろ、この子はいい子だろう」
「自分の手柄みたいに言うな」
テーブル脇に置いてあった濃茶色のトレンチを手に取り、フィリスは父親の頭に向けた。
その光景にメルリアの肩に再び力が入り、反射的に目をぎゅっと閉じるが、殴られたような鈍い音はしなかった。それもそのはず、フィリスはグレアムの頭の上にトレンチを乗せただけだったからだ。
メルリアは恐れ気に目を開き、状況を確認してほっと安堵のため息を漏らした。
「……それにしても、あなたには迷惑をかけたわね。シーバにはいつまでいるの?」
「あ、えっと」
事情を説明しようと息を吸ったメルリアだったが、グレアムの笑い声にそれはかき消される。
グレアムはおもむろに立ち上がると、メルリアの隣に立つと、彼女の左肩に豪快に手を置いた。あまりの力にメルリアの体が不安定に揺れる。
「フィー、よく聞け」
物々しく気取った様子でグレアムは口を開く。
「この子がセイアッド灯台祭の救世主だ」
「どういうこと?」
もしかしてという思考を浮かべつつ、そしてどこか嫌な予感を覚えつつ、フィリスは慎重に尋ねる。
「仮にも父ちゃんはみさき家の店主なので! 探してきました! バイトの子! シーバに来る間約束取り付けといた!」
本日フィリスが嫌になるほど見た暑苦しいくらいの笑い声に加えて、してやったりといった風の笑顔を向けられる。咄嗟にフィリスはトレンチを手に取った。
「そういうことは早く言え!」
今度こそ手加減の出来ない一発が、グレアムの背中に突撃した。
ゴツッ、という鈍い音が響いた。
突然、前触れもなく店の外装を真っ赤に染めてみせたり、リビングにあった椅子と机を取っ払い、東国風の緑色の敷物と低いテーブルだけに変えてみせたり。
調理器具の棚の中に重くて底の深いオウコウ風の鍋を仕込んだり。
店の入り口の前に二メートル以上あるドでかい熊のぬいぐるみを勝手に配置したり、フィリスの部屋にあるクッションカバーがすべて食虫植物みたいな奇妙な柄に変わっていたり――と、フィリスが今まで生きてきた十七年間、これらの何十倍以上もの「やらかし」があった。
グレアムも四十を過ぎたいい大人だ。それらの奇行に最終的にストップをかけるのが彼の妻、テレーゼの役目である。
そうして叱られ、反省したグレアムは暫く変な行動は起こさない。
ここまではいいのだ。
ここまでは。
一番の問題は、フィリスが忘れた頃にそんな感じが奇行を繰り返されること。
そして今朝、それはまた起こってしまったのだった。
「――なるほど、そういうこと」
「そうそう、そういうこと」
グレアムの連れてきた少女からは、彼女が旅をしていることと、祖母と約束した花を探すためだという目的を聞き出し、グレアムからは二人が出会ったいきさつを一通り問い詰めた。
父の悪びれない様子の語り口を聞きながら、フィリスは盛大にため息をついた後、茶を一気に飲み干した。
グレアムが帰ってきてから三杯目の茶だ。彼女の味蕾は茶に含まれる甘みを完璧に無視し、苦味だけを拾っていた。茶器を乱暴に置きたくなる衝動を抑え、なるべく音を立てないよう気遣ってテーブルに戻す。
ふと顔を上げると、テーブルの向こうの茶が一切減っていない。これは向かいに座る客人に淹れた茶だ。
「もしかして、緑茶は苦手だった? あなた……、えっと」
客人がこぢんまりと椅子に腰掛ける様子は、どこか怯えているような、落ち着かない様子だった。フィリスは苦笑を浮かべて尋ねるが、言葉が途中で詰まってしまう。
フィリスがグレアムの方へ視線を向けると、グレアムは「ああ」と呟く。
「そーいや、お嬢ちゃんの名前聞いてなかったな。オレも名乗ってなかった」
「は?」
グレアムが調子よく笑う前に、ギロリ、と本日一切れ味の強いフィリスの睨みが彼に向く。まるで銃器を突きつけられたかのように、グレアムは顔の前で両手を挙げた。
そんな様子を見て、慌てた彼女は反射的に口を開いた。
「は、はじめまして。メルリア・ベルといいます!」
険悪な空気をどうにかしようと、無意識に大きい声が出た。メルリアはすぐに頭を深々と下げる。
コールズ家にとって、やらかした父を問い詰める空気は日常茶飯事である。しかし事情を知らないメルリアには、大層酷い光景だと感じられた。
「先ほどもお話ししましたが、私から声をかけて手伝わせてもらったので……。むしろ、私の方がご迷惑だったんじゃないかと」
メルリアは周囲の顔色を窺いながら恐る恐る言う。
消え入るようなメルリアの声を最後に、彼女以外の誰もが口を閉ざした……が、しかし、その沈黙は三秒と続かなかった。
「どうしてあなたが謝るの?」
「私のせいで……、かっ、家庭崩壊……、とか」
か細い声で視線を泳がせ呟くメルリア。その言葉に、フィリスが吹き出すように笑った。
「まさか! 被害妄想……じゃない、この場合加害妄想か。どっちにしても考えすぎよ。こんなの、喧嘩のうちにも入らない」
「ごめんなさいね、驚かせてしまった?」
フィリスとテレーゼの明るい顔に、メルリアの肩に無意識に入っていた力がゆっくりと抜けていく。そういうものなのかな、とメルリアが納得しかけた時、彼女の視界の端でうんうんと頷く男がいた。
「ほら見ろ、この子はいい子だろう」
「自分の手柄みたいに言うな」
テーブル脇に置いてあった濃茶色のトレンチを手に取り、フィリスは父親の頭に向けた。
その光景にメルリアの肩に再び力が入り、反射的に目をぎゅっと閉じるが、殴られたような鈍い音はしなかった。それもそのはず、フィリスはグレアムの頭の上にトレンチを乗せただけだったからだ。
メルリアは恐れ気に目を開き、状況を確認してほっと安堵のため息を漏らした。
「……それにしても、あなたには迷惑をかけたわね。シーバにはいつまでいるの?」
「あ、えっと」
事情を説明しようと息を吸ったメルリアだったが、グレアムの笑い声にそれはかき消される。
グレアムはおもむろに立ち上がると、メルリアの隣に立つと、彼女の左肩に豪快に手を置いた。あまりの力にメルリアの体が不安定に揺れる。
「フィー、よく聞け」
物々しく気取った様子でグレアムは口を開く。
「この子がセイアッド灯台祭の救世主だ」
「どういうこと?」
もしかしてという思考を浮かべつつ、そしてどこか嫌な予感を覚えつつ、フィリスは慎重に尋ねる。
「仮にも父ちゃんはみさき家の店主なので! 探してきました! バイトの子! シーバに来る間約束取り付けといた!」
本日フィリスが嫌になるほど見た暑苦しいくらいの笑い声に加えて、してやったりといった風の笑顔を向けられる。咄嗟にフィリスはトレンチを手に取った。
「そういうことは早く言え!」
今度こそ手加減の出来ない一発が、グレアムの背中に突撃した。
ゴツッ、という鈍い音が響いた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
前世は冷酷皇帝、今世は幼女
まさキチ
ファンタジー
2、3日ごとに更新します!
コミカライズ連載中!
――ひれ伏せ、クズ共よ。
銀髪に青翡翠の瞳、人形のような愛らしい幼女の体で、ユリウス帝は目覚めた。数え切れぬほどの屍を積み上げ、冷酷皇帝として畏れられながら大陸の覇者となったユリウス。だが気が付けば、病弱な貴族令嬢に転生していたのだ。ユーリと名を変え外の世界に飛び出すと、なんとそこは自身が統治していた時代から数百年後の帝国であった。争いのない平和な日常がある一方、貧困や疫病、それらを利用する悪党共は絶えない。「臭いぞ。ゴミの臭いがプンプンする」皇帝の力と威厳をその身に宿す幼女が、帝国を汚す悪を打ち払う――!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

黄金と新星〜一般人系ギルドマスターのなるべく働きたくない日々〜
暮々多小鳥
ファンタジー
《第一章完結》
遺跡を探索し、魔獣を狩り、様々な依頼を引き受けて名声を得る。そんな、若者がこぞって憧れる職業、冒険者。数十年前から起こった冒険者ブームが衰え知らずに続いている現在、わずか数年で有名な冒険者ギルドのギルドマスターとなり冒険者のトップクラスまで上り詰めた冒険者がいた。彼女の名はクリア・マギナ。これは、彼女が華麗に活躍し、数々の事件を解決していく物語である。
‥‥‥とか何とか言われているが、その実状は肩書きだけが勝手に立派になってしまったちょっと人より攫われやすいだけのごく普通の小娘が、個性豊かな冒険者達に振り回されたり振り回したりするドタバタ劇である。果たして何の能力も持たない一般人ギルドマスターのクリアに平穏な日々は訪れるのだろうか。
*基本は主人公の一人称、たまに他の人物視点の三人称になります。
《第一章あらすじ》
今日も今日とて盗賊に攫われている一般人系ギルドマスター、クリア・マギナ。「自分でも討伐できるでしょ」と見当違いな文句を言われつつギルドメンバーに助けてもらったは良いものの、調べると親玉の盗賊団の存在が判明したため討伐作戦を行うことに。自分は行きたくない働きたくないクリアは全てをギルドメンバーや秘書に押し付け高みの見物をしていたが、トラブル続きの討伐作戦は思わぬ方向へ?クリアは安全な場所でのうのうと過ごしていられるのか?
*第二章開始は三月中旬頃を予定しています。
*小説家になろう様でも連載している作品です。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。

王命って何ですか?
まるまる⭐️
恋愛
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる