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最恐ドラゴンが修行をする時。(3)
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「アストリッド様、俺が修行した所に転移できますか?あそこは清浄な空間なので、呪いを解くには最適です」
アストリッド様は頷き、俺の肩に手を置く。そしてレオン様に手を差し出した。
俺はその手に視線が釘付けになる。だって初めての握手。つまり手を繋ぐ行為。アストリッド様とレオン様の恋がここで発展しちゃうかも知れない。そう思うと凝視するしかない!
真っ赤になって下を向く、誰が見てもレオン様に惚れている事が分かるアストリッド様。
それに気付かず、すみませんと言いながら、そっと手を繋ぐ、鈍感すぎるレオン様。
手と手が触れ合う瞬間にビクってなるアストリッド様。
残念!それだけか‼︎
ああ、恋は発展しなかった。だが、至福です。他の誰でもない俺が昇天しそうなくらい幸せです。呪いもアストリッド様が怖くて萎縮しています。あぁ、生きていて良かった。リアル恋愛、最高です。
アストリッド様のデレと、レオン様の鈍感さ。ジレジレ恋愛。
早くくっつけや!って突っ込みたいもどかしさ。萌え死にできる。ご飯3杯食べれる。
なんて萌えてる間にアストリッド様が転移する。そして修行の場所へと帰ってきた。今の俺は何でも出来る気がする。呪いも怖いけど、怖くない。
レオン様には透き通る池に入ってもらう。水は少し冷たいけど、我慢してもらおう。アストリッド様はハラハラしながら、俺の後ろで見守ってる。水が冷たいだろうとかブツブツ言ってる。俺を容赦なくこの池に落としていたアストリッド様が、随分とレオン様には優しい。
だがこれが恋の魔力かと思うと、我慢できる。
だから俺は岸で手を組み、祈る。
呪いを解くのに必要なのは、神に祈りを捧げ、呪うまでに陥った人間を許す心。許すってなんだろうとか思ってはダメ。
だから俺は広い心をもって接する。つまり悟りの心だ。傍若無人なアストリッド様に比べたら、誰でも許せる気がする。
呪いは奇声を上げ、浄化の力を拒否する様にのたうち回る。その動きで清浄な沼に波紋が生じる。レオン様を中心に沼が黒く染まって行く。
レオン様とアストリッド様はそこでやっと呪い様の存在が見えた様だ。
水面に映る醜悪な存在。黒光りする、うねうねした体と沢山の目と口。
その見た目の醜悪さに恐怖の声を上げ、腰が抜けそうな勢いで震えるレオン様。
最低だな…………と淡々とした感想しか言わないアストリッド様。
あなたは怖いものないんですね。どうも鋼の心臓をお持ちの様ですね。
そんな二人を横目に俺は更に祈りを捧げる。
すると天から池に清らかな光が刺す。全てを許す神の光。その光は暗鬱たる世界に灯る希望の光の様だ。
やった!成功した!浄化の光だ!前と違って感謝の踊りを捧げなくても、願いを聞いてもらえた!
呪いが徐々に光に溶けて行く。光に当たった先から徐々に徐々に消えていき、そして全てが光に溶ける。
最後に残ったのは金の髪をした女性…………。
レオン様がその女性を驚いた顔で見て、声を荒げる。
「お前――っつ‼︎」
「逃げられると思っていたの?甘いわね」
「もう俺を解放しろよ!お前の都合で呼んでおいて――ふざけんなよ!」
おや?随分と雰囲気が違うぞ?礼儀正しい好青年だと思っていたのに、別人みたいだ。
「話しても無駄だ。それは幻影だ」
アストリッド様が一歩前に出る。なんてたくましい姿だ。男前だね!
その言葉を受け、その女性は笑い、そしてゆっくりと…………消えた。
レオン様の表情には、恐怖が見える。ガタガタ震え姿はレストランで働いていた彼とは別人の様だ。
レオン様の瞳が宙を舞い、そしてそのまま倒れ込んだ。俺は慌てて沼に入り助ける。レオン様の顔は真っ青だ。そのまま肩を貸して一緒に歩きながら岸へ向かう。
俺は……色々パニックしてるが口をつぐむ。
今は見なかった様にしよう。
深く考えない様にしよう。
俺はやり遂げた!それで良いにしよう。
でも、そう思えない。どうしよう。
アストリッド様の助けを借りて、レオン様を岸へ上げる。レオン様は震えている。
アストリッド様と目が合う……。
アストリッド様にも俺の気持ちが分かったのだろう。静かな目をしている。
「とりあえず帰ろう」
アストリッド様の言葉に俺は頷いた。
アストリッド様は頷き、俺の肩に手を置く。そしてレオン様に手を差し出した。
俺はその手に視線が釘付けになる。だって初めての握手。つまり手を繋ぐ行為。アストリッド様とレオン様の恋がここで発展しちゃうかも知れない。そう思うと凝視するしかない!
真っ赤になって下を向く、誰が見てもレオン様に惚れている事が分かるアストリッド様。
それに気付かず、すみませんと言いながら、そっと手を繋ぐ、鈍感すぎるレオン様。
手と手が触れ合う瞬間にビクってなるアストリッド様。
残念!それだけか‼︎
ああ、恋は発展しなかった。だが、至福です。他の誰でもない俺が昇天しそうなくらい幸せです。呪いもアストリッド様が怖くて萎縮しています。あぁ、生きていて良かった。リアル恋愛、最高です。
アストリッド様のデレと、レオン様の鈍感さ。ジレジレ恋愛。
早くくっつけや!って突っ込みたいもどかしさ。萌え死にできる。ご飯3杯食べれる。
なんて萌えてる間にアストリッド様が転移する。そして修行の場所へと帰ってきた。今の俺は何でも出来る気がする。呪いも怖いけど、怖くない。
レオン様には透き通る池に入ってもらう。水は少し冷たいけど、我慢してもらおう。アストリッド様はハラハラしながら、俺の後ろで見守ってる。水が冷たいだろうとかブツブツ言ってる。俺を容赦なくこの池に落としていたアストリッド様が、随分とレオン様には優しい。
だがこれが恋の魔力かと思うと、我慢できる。
だから俺は岸で手を組み、祈る。
呪いを解くのに必要なのは、神に祈りを捧げ、呪うまでに陥った人間を許す心。許すってなんだろうとか思ってはダメ。
だから俺は広い心をもって接する。つまり悟りの心だ。傍若無人なアストリッド様に比べたら、誰でも許せる気がする。
呪いは奇声を上げ、浄化の力を拒否する様にのたうち回る。その動きで清浄な沼に波紋が生じる。レオン様を中心に沼が黒く染まって行く。
レオン様とアストリッド様はそこでやっと呪い様の存在が見えた様だ。
水面に映る醜悪な存在。黒光りする、うねうねした体と沢山の目と口。
その見た目の醜悪さに恐怖の声を上げ、腰が抜けそうな勢いで震えるレオン様。
最低だな…………と淡々とした感想しか言わないアストリッド様。
あなたは怖いものないんですね。どうも鋼の心臓をお持ちの様ですね。
そんな二人を横目に俺は更に祈りを捧げる。
すると天から池に清らかな光が刺す。全てを許す神の光。その光は暗鬱たる世界に灯る希望の光の様だ。
やった!成功した!浄化の光だ!前と違って感謝の踊りを捧げなくても、願いを聞いてもらえた!
呪いが徐々に光に溶けて行く。光に当たった先から徐々に徐々に消えていき、そして全てが光に溶ける。
最後に残ったのは金の髪をした女性…………。
レオン様がその女性を驚いた顔で見て、声を荒げる。
「お前――っつ‼︎」
「逃げられると思っていたの?甘いわね」
「もう俺を解放しろよ!お前の都合で呼んでおいて――ふざけんなよ!」
おや?随分と雰囲気が違うぞ?礼儀正しい好青年だと思っていたのに、別人みたいだ。
「話しても無駄だ。それは幻影だ」
アストリッド様が一歩前に出る。なんてたくましい姿だ。男前だね!
その言葉を受け、その女性は笑い、そしてゆっくりと…………消えた。
レオン様の表情には、恐怖が見える。ガタガタ震え姿はレストランで働いていた彼とは別人の様だ。
レオン様の瞳が宙を舞い、そしてそのまま倒れ込んだ。俺は慌てて沼に入り助ける。レオン様の顔は真っ青だ。そのまま肩を貸して一緒に歩きながら岸へ向かう。
俺は……色々パニックしてるが口をつぐむ。
今は見なかった様にしよう。
深く考えない様にしよう。
俺はやり遂げた!それで良いにしよう。
でも、そう思えない。どうしよう。
アストリッド様の助けを借りて、レオン様を岸へ上げる。レオン様は震えている。
アストリッド様と目が合う……。
アストリッド様にも俺の気持ちが分かったのだろう。静かな目をしている。
「とりあえず帰ろう」
アストリッド様の言葉に俺は頷いた。
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