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間話 シェリルの剣(5)

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 変にうなされて目が覚める。
 身体もベタつき気持ち悪い。
 時計を見る、朝の10時。
 7時間も寝ていたらしい。

 疲れた身体に鞭を打って起き上がる。
 喉が執拗に乾き、ベッドの横の水差しから、コップに水を入れ、一気に飲み干す。

 頭が重く、身体も重く、目も重い。恐らく疲労だろう。
 戦場で1週間連続で戦っても問題ない私が、こうなるとは。

 アーマンディはいない。
 少し安堵し、ベッドから出て、浴室へ向かう。

 浴槽にお湯を張り、全身を浸す。
 深いため息と共に、身体を見る。
 キスマークはない。予想通りで笑えた。

「恐ろしい。意味が分からない・・・」
 独り言は、浴室に響き、湯気の様に消えた。



 ルーベンスの嫌がらせにより、私は昨晩、アーマンディに触って頂く事になった。正直、ダメだと言い続けた結果、タイミングが掴めなくなっていたから、アリだとも思った。ただ、初めから暴走されても困ると思ったので、生理だと嘘をついた。

 私に色々教えてくれた女達は、どうしたら良いのかは教えてくれたが、自分に起こる感覚や感情は人それぞれ違うからと、教えてくれなかった。
 だが、女達を見ていると大きい喘ぎ声の者もいれば、吐息の様な者いた。私は痛みなどの感覚が鈍いから、おそらく声は出せないだろうと勝手に想像はしていた。
 だから、アーマンディに触られても、ガッカリされるかも知れないと言う恐怖もあった。

 そしてもう一つの逆の恐怖もあった。気持ち良かったら、どうしたら良いのか。
 
 アーマンディを抱く事により、自分の思い通りに喘ぐ彼がかわいくて愛おしくて、それに夢中になり一方的に蹂躙する事に溺れていった。
 だが、逆になったら?プライドの高い私が、アーマンディの様にできるのだろうか。彼を受け入れる事ができるのだろうか。

 偉そうな事を言っても、所詮知識しかない事くらい分かってる。ただ、アーマンディの前で、格好良くありたいと、虚勢を張っているだけだと。

 そして、気付いた。その虚勢のお陰で、アーマンディが私の男歴を疑っている事に。そんな事はないのに。必死に言っても、言葉は届いてない様な気がする。

 だったら身体で試せば良いと、ヤケになっていたら、あり得ない言葉攻めだ!恥ずかしくて聞いてられない!なぜ、飄々とあんな言葉が言えるのか分からない‼︎私だって、初めてなのに‼︎

 だが案外、あの言葉攻めで終われば良かったと今なら思う。
 なぜなら、アーマンディは執拗だった。

 胸を舐め始めて、触られて、初めは良かった。こんなに気持ち良いのかと思った。アーマンディが、なぜあんなに息が切れるのか、喘ぐのか分からなかったが、やられてみると分かった。ただ、やはり自分の矜持が邪魔をして、声を押し殺してしまった。私も恥ずかしかったのだ。そこは許して欲しい。

 だがあんなに長く攻められるとは思わなかった。ゆうに2時間も攻められて、さすがに途中で苦しくなり、止めて欲しいと言ったら、更に攻められた!
意味が分からない‼︎貴方の止めてとは違う!と言おうと思ったが、契約書の事がよぎった。
 
『アーマンディが満足するまで』

 仕方なしに受け入れた。
 
 普通に考えれば、乳首を1時間以上舐められて、痛くならないのは変だと思う。おそらくだが、アーマンディは回復魔法を自然に使っているのだろうと推測する。
 なぜなら、昨晩、さんざん私の身体に吸い付き、噛みつき、痕ができないと嘆いていたから。
 
 しかも媚薬効果も付与しているかも知れない。私は昔から脇腹を触られるのが嫌だった。それはアーマンディからでも変わらず、やはり嫌悪感がした。だが、ダメだ、嫌だと言っても執拗に舐められ触られ続けた結果、最終的には良くなっていた。30分以上舐められたせいかも知れないが。


 さすがにあれだけ攻められると、頭も朦朧とするし、そうなると羞恥心も無くなる。自分の喘ぎ声が大きくなるのも止められないし、意識も飛びそうになる。だが、飛ばない。なんの魔法を使っているのか、検討もつかない。

 もう無理だと散々嘆いたが聞き入れてもらえず、アーマンディが満足したのは、初めてから6時間経ってからだった。

 私は恐ろしい。上半身だけで6時間。これに下半身がついてくると前戯だけで何時間になるのか。しかも最近のアーマンディは私が鍛えた結果、30分は持つ様になった。それも加えると、私は何時間、アーマンディに付き合えば良いのか。

 今ですら生気を吸い取られた様に疲れているのに‼︎

 だが、それでも愛している。アーマンディ以外は考えられない。
 
 だったら自分を鍛えるしかない。

 私は今日は休んで、明日から頑張る事にした。

 もう本当に、本当に今日は無理だ‼︎
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