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第21話 ヴルカン公爵本邸(2)
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人に会わない様に祈りながら、なんとか用意された部屋にたどり着いた。扉を開け、入った先には、泣いているメイリーンがいた。
「小兄様⁉︎泣いてるの?」
「メイリーンもなんで泣いてるの?もしかして、ヴルカン公爵の子息達に何かされたの?」
「彼らは何もしてないわ。あ、あの、求婚されたけど、それで泣いてたんじゃないの。私より小兄様はどうしたの?シェリル様に何かされたの?」
「そうだけど、でも」
以前、メイリーンに恋愛相談をした事を思い出す。そのせいで、メイリーンは怖い思いをした。
「言って小兄様!前と同じにならない様に私、頑張るわ」
「メイリーンの涙の理由も話してくれる?」
メイリーンは頷き、自身が寝ていたベッドを叩く。アーマンディはその横に座り、お互いの事を話し始めた。
◇◇◇
「お互いヴルカン公爵の『一目惚れ』で悩んでいるのね」
「メイリーンは、ルーベンスの事が好きだったんだ。僕、気付かなかったよ。兄失格だね」
「そんな事ないわ!私だってさっき気付いたの」
メイリーンは悲しみを噛み殺した様に笑う。
「ルーベンス様にとって、優秀な子供を残せる相手じゃないって事に傷つく私と、選ばれたけど、それで傷つく小兄様。そう思うとどっちが良いか分からないのね。ヴルカン公爵家の『一目惚れ』って罪ね」
「メイリーンは嫌じゃないの?だって、それで選ばれるって、子供を作る道具みたいじゃない」
「小兄様、結婚するってそう言う事じゃないかな?」
メイリーンの真剣な眼差しに、アーマンディは黙り込む。
「もちろん、全ての夫婦がそうとは思わないけど、少なくとも私はそう思ってる。小兄様は違うの?」
「思ってるけど、でも」
「小兄様はもっとゆっくり育んで行きたかったのね?」
年下なのに大人の様に笑うメイリーンを見て、アーマンディも微笑む。
「うん。ちゃんと両親に挨拶して、婚約して、結婚式してって言う手順を踏みたい。僕は結婚なんてできないと思ってたから、できると思ったら欲が出てきたみたい」
「じゃあ、それをシェリル様とちゃんと話さないと!あ、でもすぐ襲おうとするシェリル様は大問題よ!そこはちゃんと注意して!」
「分かった。メイリーンは?僕はルーベンスはメイリーンの事が好きだと思うよ?」
「そう思ったときもあったけど、今は分かんないわ。でもそうね!小兄様、私当たって砕けて見せるわ!ダメだったら慰めてくれる?」
「もちろん!もう嫌だって言うくらいに甘やかしちゃうよ」
2人で抱きしめあい、激励を送る。時間を置けば動けなくなるからと、2人で同時に部屋を出た。
◇◇◇◇◇◇
「シェリル姉、どうしたんだよ」
ルーベンスはシェリルの部屋にいた。3人の兄達と戦っていた所、突如として現れたシェリルにつまみ上げられ、部屋に閉じ込められた。いつも突拍子もない姉の行動に、慣れてるとは言え今回は異常だと気付く。
「ルーベンス、答えてくれ!」
ルーベンスの両肩をがっしり掴むシェリルを見て、自分が逃れられない事に気付き、とりあえず頷く事にした。嫌な予感しかしない。
「好きな相手が目の前にいたら、常に触りたいと思うし、全てを自分の物にしたいと思うだろう?」
やっぱりアーマンディとの事かと、ルーベンスは納得する。この姉に人の心の機微を教える時がきたか・・・と。
「思うけど、相手の立場とか、心とかは配慮するよ。だって俺達は獣じゃない。人だから」
「私は、それが、配慮が足りないのか?」
「アーマンディ様はなんて言ってんの?」
「結婚するまで清い関係でいたい・・と」
ルーベンスは、あからさまにガッカリするシェリルの腕を軽く2回叩く。
「謝るなら早い方が良いぜ?」
「でも、触れたくて触れたくて仕方ない時はどうすれば良いんだ?」
「我慢・・は?」
「無理だ!」
食い気味に言い切るシェリルに半眼しながらルーベンスは悩む。どうすれば良いのか。解決案ってあるのか?これ。
「我慢するご褒美だと思ってとっておけば?結婚するまでの。結婚したら一晩中でも丸一日中でもやれば良いじゃん」
半ばやけくそで提案したら、満面の笑みで返された。良く分からないけど、納得してくれた様だ。俺は更に続ける。正直もうつきあいたくない。
「それまではどこまでOKか、アーマンディ様と取り決めしておけば?口へのキスはOKかとか?どこまでなら触ってOKか?とか」
「所有印つけたい」
「・・・じゃあ肩甲骨の上を自由にして良いかって聞けば?」
「分かった」
頷くシェリルを見ながら段々イラだつ自分を抑えてる。親も兄弟もおれに頼りすぎじゃないだろうか。俺だって、自分の恋をしたいのに。
扉がノックされ、誰の気配か察知し笑顔になる姉を制しルーベンスは扉を開ける。思ったより早く立ち直ってくれたアーマンディ様には感謝しかない。
「ルーベンス?中庭じゃなかったの?」
「え?ああ、シェリル姉に連れて来られました」
一旦扉を閉め、廊下へアーマンディを推し出す。シェリル姉とアーマンディ様を分断する。苦労性な自分に涙が出そうだ。
「シェリル姉は相当落ち込んでます。覚悟を決める必要はありませんが、妥協くらいはしてあげて下さい」
「妥協?」
「譲歩する事は必要でしょう。シェリル姉も悪いですが、そんな露出多めな服を着てるアーマンディ様も悪いです」
「え?」
自覚がないのかとルーベンスはため息をつく。
アーマンディのドレスは聖女の仕様か趣味かは知らないが、いつも体に吸い付く様な薄い白いドレスだ。細い二の腕と肩甲骨も顕にしてる。この洋服が似合うのが『男』だと言うのが恐ろしい。
「そうなんだ。うん、ごめん気付かなくて、でもこれは、聖女の正装みたいなものだから」
「それじゃあ仕方ないですね」
「妥協?そこを頑張ってみる。いつもありがとうね」
「いえ、こちらも姉がすみません」
「あのね、ルーベンス。メイリーンがルーベンスを探しに中庭に行ったの。行ってくれる?」
「嘘でしょ⁉︎兄達にまた絡まれますよ?」
「守ってくれる?メイリーンを好きなら」
アーマンディの言葉に、ルーベンスは頷く事で答え、駆けていく。
それを見送りアーマンディは深呼吸をした。ついさっき拒絶したばかり。でも向き合うなら早い方が良い。別れたいわけじゃない。必要なのは諦めず向かい合う度胸。
アーマンディは扉をもう一度、ノックした。
◇◇◇◇◇◇
廊下を駆け、階段を飛び降りながら意識を外に向けると声が聞こえた。愛おしい人の声。
案の定、一番上の兄に捕まってる。だったらやるべき事は決まってる。二人の間に入って、下から兄貴を睨みつける。
「ルーベンス!今は俺がメイリーン嬢と話してるんだ。邪魔をするな」
「メイリーン嬢、どっちと行きますか?俺も話しがあります」
メイリーンの前に、レオニダスとルーベンスが手を差し出す。
敢えて選んでもらう形を取った。このやり方の方がレオニダスに伝わるはずだ。案の定、メイリーンはルーベンスの手を取る。
「ごめんなさい」と言う一言をレオニダスに残し、メイリーンはルーベンスにエスコートされる。ルーベンスは優越感に浸りながら、行き先を考える。こう言う時は何も考えず、アーマンディを自室に連れ込めるシェリルが羨ましいと思う。
「ルーベンス様、あの、できれば二人で話したいんですが?」
メイリーンの言葉にドキリとする。公爵令嬢の発言とは思えない。言葉足らずだと思い、無難な答えを返す。
「あぁ、じゃあ温室とかどうでしょう?一年中バラが咲いてるんですよ」
「使用人いますよね?それだと恥ずかしいので、う~ん、ルーベンス様のお部屋か、私達が使わせてもらってる客間でどうですか?」
「それだと、二人きりになりますよ?」
「そうしたいんですが、ダメですか?」
首をコトリと傾けるメイリーンに、ルーベンスは動揺を隠せない。
かわいいし、無防備だし、そもそもウンディーネ公爵家の貴族教育はどうなってるんだ⁉︎普通の貴族令嬢なら、男と二人きりになりたいなんて言えないはずだ。
「ルーベンス様?ダメですか?」
気がつくと目の前に、メイリーンの顔があった。赤くなった顔を隠すため、咄嗟に顔を逸らす。
そう言えば、いつも距離感が近い気がする。やっぱりウンディーネ公爵家がおかしいんだ!!
「あ、じゃあ、俺の部屋が近くにあるんですが?」
「分かりました!ルーベンス様のお部屋を見たいです!」
「面白い物は何もないですよ?」
「私が見たいから良いんですよ」
弾む声で着いてくるメイリーンを見て、改めて思う。今度、カイゼル公爵に子供の教育をどうしていたか聞こうと。
「小兄様⁉︎泣いてるの?」
「メイリーンもなんで泣いてるの?もしかして、ヴルカン公爵の子息達に何かされたの?」
「彼らは何もしてないわ。あ、あの、求婚されたけど、それで泣いてたんじゃないの。私より小兄様はどうしたの?シェリル様に何かされたの?」
「そうだけど、でも」
以前、メイリーンに恋愛相談をした事を思い出す。そのせいで、メイリーンは怖い思いをした。
「言って小兄様!前と同じにならない様に私、頑張るわ」
「メイリーンの涙の理由も話してくれる?」
メイリーンは頷き、自身が寝ていたベッドを叩く。アーマンディはその横に座り、お互いの事を話し始めた。
◇◇◇
「お互いヴルカン公爵の『一目惚れ』で悩んでいるのね」
「メイリーンは、ルーベンスの事が好きだったんだ。僕、気付かなかったよ。兄失格だね」
「そんな事ないわ!私だってさっき気付いたの」
メイリーンは悲しみを噛み殺した様に笑う。
「ルーベンス様にとって、優秀な子供を残せる相手じゃないって事に傷つく私と、選ばれたけど、それで傷つく小兄様。そう思うとどっちが良いか分からないのね。ヴルカン公爵家の『一目惚れ』って罪ね」
「メイリーンは嫌じゃないの?だって、それで選ばれるって、子供を作る道具みたいじゃない」
「小兄様、結婚するってそう言う事じゃないかな?」
メイリーンの真剣な眼差しに、アーマンディは黙り込む。
「もちろん、全ての夫婦がそうとは思わないけど、少なくとも私はそう思ってる。小兄様は違うの?」
「思ってるけど、でも」
「小兄様はもっとゆっくり育んで行きたかったのね?」
年下なのに大人の様に笑うメイリーンを見て、アーマンディも微笑む。
「うん。ちゃんと両親に挨拶して、婚約して、結婚式してって言う手順を踏みたい。僕は結婚なんてできないと思ってたから、できると思ったら欲が出てきたみたい」
「じゃあ、それをシェリル様とちゃんと話さないと!あ、でもすぐ襲おうとするシェリル様は大問題よ!そこはちゃんと注意して!」
「分かった。メイリーンは?僕はルーベンスはメイリーンの事が好きだと思うよ?」
「そう思ったときもあったけど、今は分かんないわ。でもそうね!小兄様、私当たって砕けて見せるわ!ダメだったら慰めてくれる?」
「もちろん!もう嫌だって言うくらいに甘やかしちゃうよ」
2人で抱きしめあい、激励を送る。時間を置けば動けなくなるからと、2人で同時に部屋を出た。
◇◇◇◇◇◇
「シェリル姉、どうしたんだよ」
ルーベンスはシェリルの部屋にいた。3人の兄達と戦っていた所、突如として現れたシェリルにつまみ上げられ、部屋に閉じ込められた。いつも突拍子もない姉の行動に、慣れてるとは言え今回は異常だと気付く。
「ルーベンス、答えてくれ!」
ルーベンスの両肩をがっしり掴むシェリルを見て、自分が逃れられない事に気付き、とりあえず頷く事にした。嫌な予感しかしない。
「好きな相手が目の前にいたら、常に触りたいと思うし、全てを自分の物にしたいと思うだろう?」
やっぱりアーマンディとの事かと、ルーベンスは納得する。この姉に人の心の機微を教える時がきたか・・・と。
「思うけど、相手の立場とか、心とかは配慮するよ。だって俺達は獣じゃない。人だから」
「私は、それが、配慮が足りないのか?」
「アーマンディ様はなんて言ってんの?」
「結婚するまで清い関係でいたい・・と」
ルーベンスは、あからさまにガッカリするシェリルの腕を軽く2回叩く。
「謝るなら早い方が良いぜ?」
「でも、触れたくて触れたくて仕方ない時はどうすれば良いんだ?」
「我慢・・は?」
「無理だ!」
食い気味に言い切るシェリルに半眼しながらルーベンスは悩む。どうすれば良いのか。解決案ってあるのか?これ。
「我慢するご褒美だと思ってとっておけば?結婚するまでの。結婚したら一晩中でも丸一日中でもやれば良いじゃん」
半ばやけくそで提案したら、満面の笑みで返された。良く分からないけど、納得してくれた様だ。俺は更に続ける。正直もうつきあいたくない。
「それまではどこまでOKか、アーマンディ様と取り決めしておけば?口へのキスはOKかとか?どこまでなら触ってOKか?とか」
「所有印つけたい」
「・・・じゃあ肩甲骨の上を自由にして良いかって聞けば?」
「分かった」
頷くシェリルを見ながら段々イラだつ自分を抑えてる。親も兄弟もおれに頼りすぎじゃないだろうか。俺だって、自分の恋をしたいのに。
扉がノックされ、誰の気配か察知し笑顔になる姉を制しルーベンスは扉を開ける。思ったより早く立ち直ってくれたアーマンディ様には感謝しかない。
「ルーベンス?中庭じゃなかったの?」
「え?ああ、シェリル姉に連れて来られました」
一旦扉を閉め、廊下へアーマンディを推し出す。シェリル姉とアーマンディ様を分断する。苦労性な自分に涙が出そうだ。
「シェリル姉は相当落ち込んでます。覚悟を決める必要はありませんが、妥協くらいはしてあげて下さい」
「妥協?」
「譲歩する事は必要でしょう。シェリル姉も悪いですが、そんな露出多めな服を着てるアーマンディ様も悪いです」
「え?」
自覚がないのかとルーベンスはため息をつく。
アーマンディのドレスは聖女の仕様か趣味かは知らないが、いつも体に吸い付く様な薄い白いドレスだ。細い二の腕と肩甲骨も顕にしてる。この洋服が似合うのが『男』だと言うのが恐ろしい。
「そうなんだ。うん、ごめん気付かなくて、でもこれは、聖女の正装みたいなものだから」
「それじゃあ仕方ないですね」
「妥協?そこを頑張ってみる。いつもありがとうね」
「いえ、こちらも姉がすみません」
「あのね、ルーベンス。メイリーンがルーベンスを探しに中庭に行ったの。行ってくれる?」
「嘘でしょ⁉︎兄達にまた絡まれますよ?」
「守ってくれる?メイリーンを好きなら」
アーマンディの言葉に、ルーベンスは頷く事で答え、駆けていく。
それを見送りアーマンディは深呼吸をした。ついさっき拒絶したばかり。でも向き合うなら早い方が良い。別れたいわけじゃない。必要なのは諦めず向かい合う度胸。
アーマンディは扉をもう一度、ノックした。
◇◇◇◇◇◇
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案の定、一番上の兄に捕まってる。だったらやるべき事は決まってる。二人の間に入って、下から兄貴を睨みつける。
「ルーベンス!今は俺がメイリーン嬢と話してるんだ。邪魔をするな」
「メイリーン嬢、どっちと行きますか?俺も話しがあります」
メイリーンの前に、レオニダスとルーベンスが手を差し出す。
敢えて選んでもらう形を取った。このやり方の方がレオニダスに伝わるはずだ。案の定、メイリーンはルーベンスの手を取る。
「ごめんなさい」と言う一言をレオニダスに残し、メイリーンはルーベンスにエスコートされる。ルーベンスは優越感に浸りながら、行き先を考える。こう言う時は何も考えず、アーマンディを自室に連れ込めるシェリルが羨ましいと思う。
「ルーベンス様、あの、できれば二人で話したいんですが?」
メイリーンの言葉にドキリとする。公爵令嬢の発言とは思えない。言葉足らずだと思い、無難な答えを返す。
「あぁ、じゃあ温室とかどうでしょう?一年中バラが咲いてるんですよ」
「使用人いますよね?それだと恥ずかしいので、う~ん、ルーベンス様のお部屋か、私達が使わせてもらってる客間でどうですか?」
「それだと、二人きりになりますよ?」
「そうしたいんですが、ダメですか?」
首をコトリと傾けるメイリーンに、ルーベンスは動揺を隠せない。
かわいいし、無防備だし、そもそもウンディーネ公爵家の貴族教育はどうなってるんだ⁉︎普通の貴族令嬢なら、男と二人きりになりたいなんて言えないはずだ。
「ルーベンス様?ダメですか?」
気がつくと目の前に、メイリーンの顔があった。赤くなった顔を隠すため、咄嗟に顔を逸らす。
そう言えば、いつも距離感が近い気がする。やっぱりウンディーネ公爵家がおかしいんだ!!
「あ、じゃあ、俺の部屋が近くにあるんですが?」
「分かりました!ルーベンス様のお部屋を見たいです!」
「面白い物は何もないですよ?」
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