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オカン公爵令嬢は潜入する。
28話 オヤジの本性(1)
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「レオポルド・ヌオヴァ……やっぱりヤツが犯人だったのね?」
「いや……オカンはシークレットキャラが犯人だって言ってよね?それでレオパルドは学生じゃないから、違うって言ってたよね?」
「一番初めはレオパルドだって言ってたでしょう?ぐちぐちと細かいことにうるさいわね」
「細かいとかそういう問題じゃないよね?」
舌打ちして腕組みして挙句俺を睨むオカンは、更に俺の足を細いヒールでグリグリと踏む。
ひどい……これが淑女の鏡と世間で言われているエヴァンジェリーナの本当の姿だ!と声高に叫びたいけど、そこは我慢しよう。我が国の恥となる。
「燈子さん!咲夜くんをいじめないでください!」
かわいい麗の助けが入った!
麗はオカンの腕をとり、ぐいぐいとひきながら俺とオカンの距離を離す。
「かわいい彼女が助けに入ってくれて幸せ者だね。咲夜は」
「オヤジは止める気ないんだ?」
「本気で嫌だったら止めるよ?」
そう言われてしまったら黙るしかない。
ウーゴの攻略を諦めた俺たちは倒れてしまった生徒を回復させて、保健室へと引き上げることにした。通常の生活に戻った生徒たちは、俺とオヤジのことをかっこいいとか素敵とか言うけれど、それはアイドルに向ける眼差しのようだった。前みたい極端な愛着を感じる視線ではなかった。それに男性からはちゃんとやっかみの視線も頂いた。万人に好かれる世界などありはしない。これで普通の生活に戻ったといえる。ただ……。
「それにしても……アダルベルトへの攻略ルートが消えないね」
オヤジがタブレット型のウツオ君を俺に見せる。
そう、この作られた世界の大半は元に戻った。『ムーンバタフライ』の攻略対象として出ていた、ジェラルド、ロメオ、ブルーノ、ティベリオ、ウーゴは画面から消えた。そしてなぜか俺だけが攻略対象者として残っている。
「誰が誰を攻略するって形になってるんだか……」
「……咲夜は忘れてしまったのかな?このゲームは元々アダルベルトを攻略するゲームなんだよ。ひとりの攻略対象者、そして攻略者は4人。だからゲームに則った正しい形にはなった。だがここはゲームの世界じゃない。だから本来攻略役である4人は攻略する気がない。つまりおかしな形になってるんだ」
「元々おかしいでしょう?だってここはゲームの世界じゃないんだから」
「そう……ゲームの世界じゃなく、現実だ。そんな現実の世界にレオパルドは何らかの方法で、ゲームの世界を作り上げた。では……このデータは?どこから来てる?」
でた!オヤジも推理小説モード‼︎こうなったオヤジは面倒くさい。今更だけど、俺の両親はふたりとも変わっている。俺が普通に育ったのは、このふたりのようになりたくなかったからだろうか……。反面教師というやつだ。
「データだから……ゲームの世界?」
「この世界はゲームではないのに?」
ああ、オヤジがバカを見る目で俺を見る。うん、何度も聞いたね。それ。
「え……っと、ゲームの世界を作ったのはレオパルドだから、じゃあレオパルド?」
「そう……その可能性が高い。つまり?」
本当に推理モードのオヤジは面倒くさい‼︎何故こんなにもったいぶるのか。しかも段々と距離も詰めてくるし、良い匂い~とか俺も思っちゃうし!
「「あ!」」
金;アダルベルト・フォルトゥーナ・ミケーレ
好感度88% 親密度 62% 恋愛度 40%
増えた好感度にオヤジと俺の声がハモった。
「いや……オカンはシークレットキャラが犯人だって言ってよね?それでレオパルドは学生じゃないから、違うって言ってたよね?」
「一番初めはレオパルドだって言ってたでしょう?ぐちぐちと細かいことにうるさいわね」
「細かいとかそういう問題じゃないよね?」
舌打ちして腕組みして挙句俺を睨むオカンは、更に俺の足を細いヒールでグリグリと踏む。
ひどい……これが淑女の鏡と世間で言われているエヴァンジェリーナの本当の姿だ!と声高に叫びたいけど、そこは我慢しよう。我が国の恥となる。
「燈子さん!咲夜くんをいじめないでください!」
かわいい麗の助けが入った!
麗はオカンの腕をとり、ぐいぐいとひきながら俺とオカンの距離を離す。
「かわいい彼女が助けに入ってくれて幸せ者だね。咲夜は」
「オヤジは止める気ないんだ?」
「本気で嫌だったら止めるよ?」
そう言われてしまったら黙るしかない。
ウーゴの攻略を諦めた俺たちは倒れてしまった生徒を回復させて、保健室へと引き上げることにした。通常の生活に戻った生徒たちは、俺とオヤジのことをかっこいいとか素敵とか言うけれど、それはアイドルに向ける眼差しのようだった。前みたい極端な愛着を感じる視線ではなかった。それに男性からはちゃんとやっかみの視線も頂いた。万人に好かれる世界などありはしない。これで普通の生活に戻ったといえる。ただ……。
「それにしても……アダルベルトへの攻略ルートが消えないね」
オヤジがタブレット型のウツオ君を俺に見せる。
そう、この作られた世界の大半は元に戻った。『ムーンバタフライ』の攻略対象として出ていた、ジェラルド、ロメオ、ブルーノ、ティベリオ、ウーゴは画面から消えた。そしてなぜか俺だけが攻略対象者として残っている。
「誰が誰を攻略するって形になってるんだか……」
「……咲夜は忘れてしまったのかな?このゲームは元々アダルベルトを攻略するゲームなんだよ。ひとりの攻略対象者、そして攻略者は4人。だからゲームに則った正しい形にはなった。だがここはゲームの世界じゃない。だから本来攻略役である4人は攻略する気がない。つまりおかしな形になってるんだ」
「元々おかしいでしょう?だってここはゲームの世界じゃないんだから」
「そう……ゲームの世界じゃなく、現実だ。そんな現実の世界にレオパルドは何らかの方法で、ゲームの世界を作り上げた。では……このデータは?どこから来てる?」
でた!オヤジも推理小説モード‼︎こうなったオヤジは面倒くさい。今更だけど、俺の両親はふたりとも変わっている。俺が普通に育ったのは、このふたりのようになりたくなかったからだろうか……。反面教師というやつだ。
「データだから……ゲームの世界?」
「この世界はゲームではないのに?」
ああ、オヤジがバカを見る目で俺を見る。うん、何度も聞いたね。それ。
「え……っと、ゲームの世界を作ったのはレオパルドだから、じゃあレオパルド?」
「そう……その可能性が高い。つまり?」
本当に推理モードのオヤジは面倒くさい‼︎何故こんなにもったいぶるのか。しかも段々と距離も詰めてくるし、良い匂い~とか俺も思っちゃうし!
「「あ!」」
金;アダルベルト・フォルトゥーナ・ミケーレ
好感度88% 親密度 62% 恋愛度 40%
増えた好感度にオヤジと俺の声がハモった。
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