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オカン公爵令嬢は潜入する。
19話 イベント
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追いかけて辿り着いた場所は、体育館の裏にあるゴミ捨て場だ。焼却炉がある。なんだか懐かしい風景だ。
そしてそこには男と言い争っているティベリオと誰かがいる。誰だろうと思っていると、オカンからはモブ男2だと告げられた。
どうでも良いけど、ここはゲームの世界に則しているのかも知れないけど、現実でもあるんだから、ちゃんと個人の名前を覚えてあげようと思わないのだろうか。まぁ、そもそもオカンは顔を覚えるのが苦手だけれど。
《なに、ぼーっとしてんの!ティベリオを助けなさい!》
オカンの言葉にため息を落として近付いていくと、喧嘩ではなく襲われそうになっているのが分かった。モブ男2が、ティベリオを壁際に追い詰めて、むりやりキスを迫ろうとしている。腕を上に締め上げらたティベリオは嫌だと叫んでる。
それはダメだろうと思い、慌てて駆け寄る。流石に犯罪は見逃せない。
「なにをしている⁉︎」
ふたりの間に割って入り、モブ男2に正面に立つ。ティベリオは背中に隠してあげた。背中越しにも震えるティベリオが分かる。そこは男子だろうと関係ない。弱い方を助けるべきだろう。
「あ――アダルベルト王子!」
「無理強いをするのはいかがなものかな?」
「――くっ」と一言漏らし、モブ男2は逃げるように去っていった。
随分とあっけない……。だけどオカンはそれで良いと言っている。なんだか随分と単純なゲームだ。
「大丈夫か?」
振り返って見ると、ポロポロと大粒に涙を流しながら泣いていてる。
「こ……怖かった……」
「ナイフを持った男にも平然としていた君にも怖いものがあるんだな」
「だって……あの時だってアダルベルト様がいたし……」
指ですっと涙を拭いながらティベリオを見ていると、なんだか奇妙な感覚になる。本当に男だろうか?いや、この国には男しかいないから、間違いなく男性なんだけど、これが中性的というものなんだろう。
そう言えばクラスメイトでSNSに『男の娘』の姿をあげている子もいた。その子も目がぱっちりとして女子と一緒に化粧の話をしていた。
「僕を2度も助けてくれてありがとう……あの、すこし屈んでもらえないかな?」
「え?ああ」
ふとティベリオのデータを見る。
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度100% 親密度 5% 恋愛度 0%
(単純すぎない?)
そう思いながら腰を屈めると、頬に何かがあたった。
慌てて体をパッと離すと、頬を赤く染めたティベリオが俯きながら笑ってる。
「えへへ、僕の初めてをあげる……」
そして……照れながら走り去っていく。
(待ってくれ――そんな物はいらない……そんな初めて欲しくない!)
そして続け様に感じる気配に俺も青くなる。
ああ、やはり転移の仕方が意味不明だ。そして放たれる殺気が怖い。
「さくや……くん?」
「う……らら?」
ゆっくりゆっくり振り返る。ここは王太子教育が生かされる時だ!頑張れ、俺!自分は無実だと訴えるんだ。まずはにこやかに笑うんだ。
そして振り向いた先に待っていたのは……怒りながら泣く麗。
ああ、麗を泣かさないと誓ったはずなのに……俺が拐われて、こんな国に来たばかりに――。
「ごめん、麗!」
最初にでた情けない一言は、天から落ちた雷によって打ち消された。体を貫く鋭い痛みに、今の俺は気絶することしかできない。
気絶する一瞬声が聞こえた。
[もう限界よ、私の可愛いウララがこれ以上、泣く事は許さないわ!]
誰だろう。この世界での麗の名前はコスタンツァなのに……。
そしてそこには男と言い争っているティベリオと誰かがいる。誰だろうと思っていると、オカンからはモブ男2だと告げられた。
どうでも良いけど、ここはゲームの世界に則しているのかも知れないけど、現実でもあるんだから、ちゃんと個人の名前を覚えてあげようと思わないのだろうか。まぁ、そもそもオカンは顔を覚えるのが苦手だけれど。
《なに、ぼーっとしてんの!ティベリオを助けなさい!》
オカンの言葉にため息を落として近付いていくと、喧嘩ではなく襲われそうになっているのが分かった。モブ男2が、ティベリオを壁際に追い詰めて、むりやりキスを迫ろうとしている。腕を上に締め上げらたティベリオは嫌だと叫んでる。
それはダメだろうと思い、慌てて駆け寄る。流石に犯罪は見逃せない。
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ふたりの間に割って入り、モブ男2に正面に立つ。ティベリオは背中に隠してあげた。背中越しにも震えるティベリオが分かる。そこは男子だろうと関係ない。弱い方を助けるべきだろう。
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随分とあっけない……。だけどオカンはそれで良いと言っている。なんだか随分と単純なゲームだ。
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「こ……怖かった……」
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「だって……あの時だってアダルベルト様がいたし……」
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そう言えばクラスメイトでSNSに『男の娘』の姿をあげている子もいた。その子も目がぱっちりとして女子と一緒に化粧の話をしていた。
「僕を2度も助けてくれてありがとう……あの、すこし屈んでもらえないかな?」
「え?ああ」
ふとティベリオのデータを見る。
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度100% 親密度 5% 恋愛度 0%
(単純すぎない?)
そう思いながら腰を屈めると、頬に何かがあたった。
慌てて体をパッと離すと、頬を赤く染めたティベリオが俯きながら笑ってる。
「えへへ、僕の初めてをあげる……」
そして……照れながら走り去っていく。
(待ってくれ――そんな物はいらない……そんな初めて欲しくない!)
そして続け様に感じる気配に俺も青くなる。
ああ、やはり転移の仕方が意味不明だ。そして放たれる殺気が怖い。
「さくや……くん?」
「う……らら?」
ゆっくりゆっくり振り返る。ここは王太子教育が生かされる時だ!頑張れ、俺!自分は無実だと訴えるんだ。まずはにこやかに笑うんだ。
そして振り向いた先に待っていたのは……怒りながら泣く麗。
ああ、麗を泣かさないと誓ったはずなのに……俺が拐われて、こんな国に来たばかりに――。
「ごめん、麗!」
最初にでた情けない一言は、天から落ちた雷によって打ち消された。体を貫く鋭い痛みに、今の俺は気絶することしかできない。
気絶する一瞬声が聞こえた。
[もう限界よ、私の可愛いウララがこれ以上、泣く事は許さないわ!]
誰だろう。この世界での麗の名前はコスタンツァなのに……。
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