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オカン公爵令嬢は潜入する。
18話 卓球対決
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白くて小さなボールが高い音を鳴り響かせながら、飛び交う。それ受けるのは小さなラケット。
「負けない、負けないんだから‼︎」
今の叫び声はティベリオだ。その言葉を受けて俺は、不適な笑みを浮かべる。
「これでこの学園のエースとは……レベルが知れると言うものだね‼︎」
言葉と同時に強くピンポン球を打ち返す。鋭いスピードでネットスレスレに飛んだ球は、台のギリギリにかろうじて当たった。そしてその球を受けようとして、ティベリオはこけた。見事に顔から転けた。なのに起き上がったティベリオは膝小僧から血が流れてる。あんなに見事に顔から転けて、鼻血が出ないとは『仕様』とは素晴らしい。
そして俺も卓球を今世ではもちろん、前世でもやったことがなかったけれど、勝てた!さすがハイスペック王太子アダルベルト!運動神経抜群な俺ってかっこいい。
「君の負けだね……みずみずしい緑の葉はその瞳も同じように濡れるのかな?」
なんだこの台詞?とは思うが気にしないでおこう。俺はオカンの操り人形。考えちゃいけない!
「な……泣くわけないだろう!悔しくなんかないんだから!」
泣いてるし……顔は真っ赤だし、忙しい子だなぁ。
しかも、この体育館は人だかりになってキャーキャーうるさいし、本当に俺は何をやっているのだろう。
オカンの指示で体育館に来た俺は、卓球をやっているティベリオに目を付けられた。卓球で勝負だ!と脈絡もなく言われ、なし崩し的に始まった勝負はあっさりと俺の勝利で終わった。しかもどこから聞きつけてきたのか、わらわらと見学客も集ってる状態だ。
(さてさてデータは?)
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度62% 親密度 0% 恋愛度 0%
……2上がってる。負けて悔しがっているのに上がるってなんだろう。変態さんなんだろうか。俺には良く分からない。
あ……オカンから続け様に指示が来る。
まずは床で三角座りをするティベリオに視線を合わせ……つまり俺も跪けば良いんだな?え?うんこ座りはやめろ?うんこ座りってなんだろう……オカン世代の言葉かな?片膝付きで座れと怒られた。
はいはい、これで良いんですね?そして髪を耳に右手でかけろ?
なんの意味があるのかな?
やるけどさ!そしてフッと笑ってから、少し斜め上から見下げろ。
はいはい、これで良いですか?どうでも良いけど指示が細いかいな!そして台詞は……
「悔しがった姿も醜いな。君のような醜い人間を初めて見たよ……」
って、こんなこと言ったらダメじゃない?人の尊厳を傷つけるよ?おかしいでしょ!オカン!!っと心の中で突っ込むけれど、俺の想像とは逆にティベリオは、ポゥっと頬を染めてる。変態さんの考えていることは分からない。
「僕のことをまた、馬鹿にしたな!しかもなんて酷いことを言うんだ!」
と言ってティベリオは怒るけど……
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度80% 親密度 0% 恋愛度 0%
データが爆上がりだ。本心では酷いことを言われて喜んでいるらしい。これはデータが見えないと分からなかった。
おっと……オカンからの指示が来た。今度はグッと近づいて耳打ちしろと言う。そして言う言葉は……
「君の涙は他の人間に見せるべきではないな。私の前でだけで鳴く君が見たいものだ」
どう言う意味?俺には良く分からないけど、ティベリオは真っ赤になってる。更に追加で指示がくる。ティベリオの前髪をひとつまみして、軽く引っ張って手を離せ?なんだそれ?
じゃあ、やってみよう――そう思って、前髪をひとつまみしようと手を差し伸べてた段階で、ティベリオが自身の頭をグッと押さえた。
どうして?そんな必死な顔をされたら摘むことなんてできない。まるで髪を触ると全てが終わってしまう様に拒否する彼を見ているとできない。そこまで無神経にオカンの人形はなれない……。
どうしたら良いのか……そう思っていたらオカンから指示が来た。ほっぺを触れ……それならできそうだ。すっと指で触ると……随分と柔らかい。男の肌?これが?
そしてティベリオは……真っ赤だ。茹蛸みたいだ。男同士だから、そんなに照れなくて良いのに。
「アダルベルト王子の馬鹿!エッチ‼︎変態‼︎」
……変態呼ばわりされてしまった。
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度85% 親密度 5% 恋愛度 0%
でもデータは上がってる。不思議な子だなぁ。
そう思ってるうちにティベリオは走って体育館を出て行ってしまった。
体育館シューズのままだけど、良いのかなぁ……。
《追いかけなさい‼︎》
オカンの指示が明確だ。仕方ないので走り出す。鞭で撃たれた馬のように。
「負けない、負けないんだから‼︎」
今の叫び声はティベリオだ。その言葉を受けて俺は、不適な笑みを浮かべる。
「これでこの学園のエースとは……レベルが知れると言うものだね‼︎」
言葉と同時に強くピンポン球を打ち返す。鋭いスピードでネットスレスレに飛んだ球は、台のギリギリにかろうじて当たった。そしてその球を受けようとして、ティベリオはこけた。見事に顔から転けた。なのに起き上がったティベリオは膝小僧から血が流れてる。あんなに見事に顔から転けて、鼻血が出ないとは『仕様』とは素晴らしい。
そして俺も卓球を今世ではもちろん、前世でもやったことがなかったけれど、勝てた!さすがハイスペック王太子アダルベルト!運動神経抜群な俺ってかっこいい。
「君の負けだね……みずみずしい緑の葉はその瞳も同じように濡れるのかな?」
なんだこの台詞?とは思うが気にしないでおこう。俺はオカンの操り人形。考えちゃいけない!
「な……泣くわけないだろう!悔しくなんかないんだから!」
泣いてるし……顔は真っ赤だし、忙しい子だなぁ。
しかも、この体育館は人だかりになってキャーキャーうるさいし、本当に俺は何をやっているのだろう。
オカンの指示で体育館に来た俺は、卓球をやっているティベリオに目を付けられた。卓球で勝負だ!と脈絡もなく言われ、なし崩し的に始まった勝負はあっさりと俺の勝利で終わった。しかもどこから聞きつけてきたのか、わらわらと見学客も集ってる状態だ。
(さてさてデータは?)
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度62% 親密度 0% 恋愛度 0%
……2上がってる。負けて悔しがっているのに上がるってなんだろう。変態さんなんだろうか。俺には良く分からない。
あ……オカンから続け様に指示が来る。
まずは床で三角座りをするティベリオに視線を合わせ……つまり俺も跪けば良いんだな?え?うんこ座りはやめろ?うんこ座りってなんだろう……オカン世代の言葉かな?片膝付きで座れと怒られた。
はいはい、これで良いんですね?そして髪を耳に右手でかけろ?
なんの意味があるのかな?
やるけどさ!そしてフッと笑ってから、少し斜め上から見下げろ。
はいはい、これで良いですか?どうでも良いけど指示が細いかいな!そして台詞は……
「悔しがった姿も醜いな。君のような醜い人間を初めて見たよ……」
って、こんなこと言ったらダメじゃない?人の尊厳を傷つけるよ?おかしいでしょ!オカン!!っと心の中で突っ込むけれど、俺の想像とは逆にティベリオは、ポゥっと頬を染めてる。変態さんの考えていることは分からない。
「僕のことをまた、馬鹿にしたな!しかもなんて酷いことを言うんだ!」
と言ってティベリオは怒るけど……
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度80% 親密度 0% 恋愛度 0%
データが爆上がりだ。本心では酷いことを言われて喜んでいるらしい。これはデータが見えないと分からなかった。
おっと……オカンからの指示が来た。今度はグッと近づいて耳打ちしろと言う。そして言う言葉は……
「君の涙は他の人間に見せるべきではないな。私の前でだけで鳴く君が見たいものだ」
どう言う意味?俺には良く分からないけど、ティベリオは真っ赤になってる。更に追加で指示がくる。ティベリオの前髪をひとつまみして、軽く引っ張って手を離せ?なんだそれ?
じゃあ、やってみよう――そう思って、前髪をひとつまみしようと手を差し伸べてた段階で、ティベリオが自身の頭をグッと押さえた。
どうして?そんな必死な顔をされたら摘むことなんてできない。まるで髪を触ると全てが終わってしまう様に拒否する彼を見ているとできない。そこまで無神経にオカンの人形はなれない……。
どうしたら良いのか……そう思っていたらオカンから指示が来た。ほっぺを触れ……それならできそうだ。すっと指で触ると……随分と柔らかい。男の肌?これが?
そしてティベリオは……真っ赤だ。茹蛸みたいだ。男同士だから、そんなに照れなくて良いのに。
「アダルベルト王子の馬鹿!エッチ‼︎変態‼︎」
……変態呼ばわりされてしまった。
緑;ティベリオ・クレシェンテ
好感度85% 親密度 5% 恋愛度 0%
でもデータは上がってる。不思議な子だなぁ。
そう思ってるうちにティベリオは走って体育館を出て行ってしまった。
体育館シューズのままだけど、良いのかなぁ……。
《追いかけなさい‼︎》
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