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39話 監禁ルート(2)
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主人に対面しろ、と言うからには、私が出向くのだろうと思っていた。ついでに建物の構造を探ろうと思っていたら、主人の方が私の部屋に来た。どうやらこの部屋から出す気はないらしい。
主人とやらを観察する。
私のドレスと同じ髪色。ネックレスと同じ血の様な赤い瞳。息を呑む程に美しい男だ。
長い髪を横に束ね前に落としている。その衣装は黒い騎士服だ。炎のように赤いマントを翻し、その男は美しく笑う。
酷薄さを語る赤い瞳。すっと伸びた鼻の下には、薄い柔らかそうな唇。少し濡れた唇に長い指が添えられ、なんとも言えない感覚に囚われる。
「アダルベルト王太子より、僕の顔の方が好みですか?とても凝視されている」
右手を胸に当て、もう片方の手で私の左頬を触る。
「お求めでしたら、口付けでも、もちろんその先も」
そう言って笑みを浮かべる男の目は、笑っていない!
「不敬ですわよ?わたくしの身も心もアダルベルト王太子様のもの。彼以外に捧げるつもりはありません」
睨みつけながら話す。怯えていると思われてはいけない。下がってはいけない。私は負けない!
「しかし、貴方がわたくしをお求めになるのは勝手。そして純潔を守るために自害するのもわたくしの勝手」
「あの様な男に貴女が純潔を捧げる必要はないですよ。僕に負けた軟弱な男です。敗者は勝者に獲物を捧げなければいけない。貴女は差し出された獲物です」
「わたくしを攫って置いて、素晴らしい言い訳をおっしゃるのね?」
「そう……そうまでしても、貴女が欲しかったから」
私の頬に当てていた男の手が、髪を撫で始めた。手は髪から首に移り、顎へと到着する。
私は目を逸らさず睨みつける。
負けるな!私‼︎ ここで目を逸らしたり、反応したら負けだ!男の告げる情報に惑わされるな!咲夜は生きてる!麗も生きてる!と思い込め!ここが勝負所だ‼︎
「存外にしぶとい。魔法を封じられていても、魅了の魔法にかからないとは意志がお強い」
男が微笑みながら、手を離す。
魅了の魔法⁉︎危ない!通りで変な妄想ばかりすると思った‼︎
「わたくしの心はアダル様の物ですから」
「その惚気は聞きたくないね」
やっと観念したのか、男は私をソファへと誘った。当たり前の様に横に座る男に苛立つが、そのままに座る事にした。逃げたら負けだ。
ラウラが紅茶を運んできて、一礼して去る。待って、二人にしないで。残りなさいよ!本当に役に立たない女ね‼︎
「 改めて名乗ろう。セヴェーロ・ヴェリタ・デルヴェッキだ。今は魔王を名乗っている。ヴェリタ王国へようこそ。エヴァンジェリーナ嬢」
そう言うと私の手にキスをした。魅了の魔法がまだ効いているのかドキッとした。おかしい。前世じゃともかく、今世では何度も受けているのに。
でも魔法ではないかも、とも思った。何故ならこの男の顔はバッチリ好みだ。妖艶な魅力、酷薄そうな笑み。
サラサラしたストレートの髪を横に束ねてるのもポイントが高い。長い指も加点対象だ!足も長い。更にプラスだ!細く見える割に意外と筋肉質な、脱ぐとすごいんです系細マッチョだと更に加点!腹筋が割れてると大幅増‼︎
低く響くエロい声もやばい。なのに一人称は『僕』って!加点が凄すぎて、100点をオーバーしちゃうじゃないか‼︎
「挨拶を受けて頂けないと言う事は、よほど僕の事を嫌いらしい」
そう言って、私の髪を取り、
「とても寂しいね。貴女は僕の心を乱す」
その髪に口付けって‼︎
やめて‼︎ 好みの顔、口調、Sっぽくありながら、私にはMも見せるって‼︎ トキメいちゃうじゃないか‼︎
落ち着け!私!思い出せ‼︎ 前世50歳!今世18歳!併せて68歳、還暦も過ぎた婆がトキメくな‼︎ 雅也さんの顔を思い出せ!私は雅也さん一筋!雅也さん‼︎
うん、落ち着いた!たぶん‼︎
「ヴェリタ王国など聞いた事はありません。そう思っていただけです」
そう言って髪を払う流れで、男の手から髪を奪う。その髪の無くなった手を見る男。ざまぁみろ!そしてその寂しげな表情やめて!私も私だ!トキメクな!還暦過ぎてんだぞ!
「名乗りを受けましたので、改めて返しましょう。エヴァンジェリーナ・サヴィーニでございます。サヴィーニ公爵家の長女で、アダルベルト・フォルトゥーナ・ミケーレ王太子の婚約者でございます」
立ち上がり、この極端に胸の開いたドレスを抑えるために右手を胸に、左手でドレスの裾を摘もうと思ったけど、大胆なスリットが入ってたので、お辞儀をするだけにした。ヤバい、ヤバい。気をつけないと!
そして顔をあげ、背筋を伸ばし、座る彼を上からわざと見下げる。
「セヴェーロ・ヴェリタ・デルヴェッキ国王様。お初にお目にかかりますわ。王族の誘拐は高く付きますわよ?」
「君はまだ、王族ではないはずだ」
まなじりが歪み、不愉快極まりない表情をする。驚いた。こんな顔もするのね。
「そのつもりですわ。わたくしも皆も。わたくしはアダルベルト王太子様の物ですから」
身も心も、とわざと強調して続ける。
主人とやらを観察する。
私のドレスと同じ髪色。ネックレスと同じ血の様な赤い瞳。息を呑む程に美しい男だ。
長い髪を横に束ね前に落としている。その衣装は黒い騎士服だ。炎のように赤いマントを翻し、その男は美しく笑う。
酷薄さを語る赤い瞳。すっと伸びた鼻の下には、薄い柔らかそうな唇。少し濡れた唇に長い指が添えられ、なんとも言えない感覚に囚われる。
「アダルベルト王太子より、僕の顔の方が好みですか?とても凝視されている」
右手を胸に当て、もう片方の手で私の左頬を触る。
「お求めでしたら、口付けでも、もちろんその先も」
そう言って笑みを浮かべる男の目は、笑っていない!
「不敬ですわよ?わたくしの身も心もアダルベルト王太子様のもの。彼以外に捧げるつもりはありません」
睨みつけながら話す。怯えていると思われてはいけない。下がってはいけない。私は負けない!
「しかし、貴方がわたくしをお求めになるのは勝手。そして純潔を守るために自害するのもわたくしの勝手」
「あの様な男に貴女が純潔を捧げる必要はないですよ。僕に負けた軟弱な男です。敗者は勝者に獲物を捧げなければいけない。貴女は差し出された獲物です」
「わたくしを攫って置いて、素晴らしい言い訳をおっしゃるのね?」
「そう……そうまでしても、貴女が欲しかったから」
私の頬に当てていた男の手が、髪を撫で始めた。手は髪から首に移り、顎へと到着する。
私は目を逸らさず睨みつける。
負けるな!私‼︎ ここで目を逸らしたり、反応したら負けだ!男の告げる情報に惑わされるな!咲夜は生きてる!麗も生きてる!と思い込め!ここが勝負所だ‼︎
「存外にしぶとい。魔法を封じられていても、魅了の魔法にかからないとは意志がお強い」
男が微笑みながら、手を離す。
魅了の魔法⁉︎危ない!通りで変な妄想ばかりすると思った‼︎
「わたくしの心はアダル様の物ですから」
「その惚気は聞きたくないね」
やっと観念したのか、男は私をソファへと誘った。当たり前の様に横に座る男に苛立つが、そのままに座る事にした。逃げたら負けだ。
ラウラが紅茶を運んできて、一礼して去る。待って、二人にしないで。残りなさいよ!本当に役に立たない女ね‼︎
「 改めて名乗ろう。セヴェーロ・ヴェリタ・デルヴェッキだ。今は魔王を名乗っている。ヴェリタ王国へようこそ。エヴァンジェリーナ嬢」
そう言うと私の手にキスをした。魅了の魔法がまだ効いているのかドキッとした。おかしい。前世じゃともかく、今世では何度も受けているのに。
でも魔法ではないかも、とも思った。何故ならこの男の顔はバッチリ好みだ。妖艶な魅力、酷薄そうな笑み。
サラサラしたストレートの髪を横に束ねてるのもポイントが高い。長い指も加点対象だ!足も長い。更にプラスだ!細く見える割に意外と筋肉質な、脱ぐとすごいんです系細マッチョだと更に加点!腹筋が割れてると大幅増‼︎
低く響くエロい声もやばい。なのに一人称は『僕』って!加点が凄すぎて、100点をオーバーしちゃうじゃないか‼︎
「挨拶を受けて頂けないと言う事は、よほど僕の事を嫌いらしい」
そう言って、私の髪を取り、
「とても寂しいね。貴女は僕の心を乱す」
その髪に口付けって‼︎
やめて‼︎ 好みの顔、口調、Sっぽくありながら、私にはMも見せるって‼︎ トキメいちゃうじゃないか‼︎
落ち着け!私!思い出せ‼︎ 前世50歳!今世18歳!併せて68歳、還暦も過ぎた婆がトキメくな‼︎ 雅也さんの顔を思い出せ!私は雅也さん一筋!雅也さん‼︎
うん、落ち着いた!たぶん‼︎
「ヴェリタ王国など聞いた事はありません。そう思っていただけです」
そう言って髪を払う流れで、男の手から髪を奪う。その髪の無くなった手を見る男。ざまぁみろ!そしてその寂しげな表情やめて!私も私だ!トキメクな!還暦過ぎてんだぞ!
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そして顔をあげ、背筋を伸ばし、座る彼を上からわざと見下げる。
「セヴェーロ・ヴェリタ・デルヴェッキ国王様。お初にお目にかかりますわ。王族の誘拐は高く付きますわよ?」
「君はまだ、王族ではないはずだ」
まなじりが歪み、不愉快極まりない表情をする。驚いた。こんな顔もするのね。
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