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38話 監禁ルート(1)
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目を開けたら、そこは知らない場所だった。知らないベッド、知らない部屋、あげく寝巻きになってるし?
はいはい、確かに拐われましたよ!そうですね‼︎
お父様の事は心配だけど、城には優秀な回復術士がいる。大丈夫だと信じよう。ポジティブに考えないと思考が鈍り、行動に移せなくなる。いつだって前向きに進む!それが前世の頃からの私の生き様だ!
柔らかなベッドから出て、部屋を見る。
ムカつく、好みの部屋だ。
全体的に濃いめの青を基調としたカーペットやカーテン。濃い焦茶の木材を使用した家具。青は人を冷静にさせる。木材の家具は、心を落ち着かせる。私が前世から好む物だ。
だがこの部屋に窓はない。片開き扉が一つあるだけ。つまり逃げ道はそこだけ。念のためにドアノブに手を掛ける。開かない。鍵を外から掛けるタイプか……。
まさかの監禁ルート。私が⁉︎そこはアダルベルト王太子の役目でしょ‼︎と、突っ込んでも、答えてくれる咲夜はいない。
ため息をつきながらソファに座る。沈み込む様なソファに全身を投げ出し、魔法を展開しようとするができない。
やっぱりね、と独りごちる。
腕にはルビーが輝く青銅色のブレスレット。これで魔法は封じられた。このデザインに覚えがある。ゲームでアダルベルト王太子の魔力を封じた物。まさか私が見ることになるとは……。
扉がノックされたので起き上がる。寝巻きであろうと関係ない。私は堂々としていれば良い!
「おはようございます。エヴァンジェリーナ様」
入ってきたのはメイド服のラウラ。随分と丁寧なお辞儀をする。
「メイド服が良くお似合いね?でも本当に似合うのは、囚人服ではないかしら?」
「お元気そうで何よりでございます。我が主がお持ちです。お着替えを致しましょう」
「寝起きで頭が重いわ。体も怠い。もう少し寝るわ」
「十分に回復しておられるはずです。我が主の回復魔法は、素晴らしいですから」
主人とやらに随分陶酔している様だわ。目がイッてる。どうやら選択肢はないらしい。
「さぁ、お着替えを」
ラウラの言葉に、私はため息で答えた。
◇◇◇
青の様な緑の様な不思議な色のドレスだ。体に張り付く様に作られたドレス。サイズはオーダーメイドで作られた様にちょうど良い。どこで私のサイズを知ったのか……。想像すると気持ち悪くて吐きそうになる。
胸の部分は大きく開いていて、私の大きな胸を更に強調する。脚にも大胆なスリットが入っていて私の美脚を顕にする。随分と男の視線を集めるドレスだ。つまり色っぽい。色っぽすぎる!
ムカツくのはこのデザインを、私が嫌いじゃない事だ。今世の私は抜群にスタイルが良い。それは自分で見ても、惚れ惚れするくらいだ。
だったら見せつけなきゃダメでしょう⁉︎ そう思うからいつも私は大胆なドレスを着ていた。でも流石にここまでのドレスを着ると父が顔を歪める。父の気持ちも分かる。手塩にかけた一人娘が男を誘う様なドレスを着るのだ。それは私が親でも嫌だろうと思うから、わたし的には我慢していた。でも本当はここまで大胆でも良いと思っていた。
だから鏡に写る自分を見てついついニヤけてしまう。この大胆なドレスを着こなせるとは!異世界転生、悪役令嬢大歓迎だ!私はやはり美しい‼︎
鏡に写る私の胸元には血の様に赤い、ピジョン・ブラッドのルビー。
そう言えば、クローゼットの中のドレスは、デザインは違えど、色は全て同じだった。赤と、青銅色。
その理由は、この城の主人に対面した際に分かった。
はいはい、確かに拐われましたよ!そうですね‼︎
お父様の事は心配だけど、城には優秀な回復術士がいる。大丈夫だと信じよう。ポジティブに考えないと思考が鈍り、行動に移せなくなる。いつだって前向きに進む!それが前世の頃からの私の生き様だ!
柔らかなベッドから出て、部屋を見る。
ムカつく、好みの部屋だ。
全体的に濃いめの青を基調としたカーペットやカーテン。濃い焦茶の木材を使用した家具。青は人を冷静にさせる。木材の家具は、心を落ち着かせる。私が前世から好む物だ。
だがこの部屋に窓はない。片開き扉が一つあるだけ。つまり逃げ道はそこだけ。念のためにドアノブに手を掛ける。開かない。鍵を外から掛けるタイプか……。
まさかの監禁ルート。私が⁉︎そこはアダルベルト王太子の役目でしょ‼︎と、突っ込んでも、答えてくれる咲夜はいない。
ため息をつきながらソファに座る。沈み込む様なソファに全身を投げ出し、魔法を展開しようとするができない。
やっぱりね、と独りごちる。
腕にはルビーが輝く青銅色のブレスレット。これで魔法は封じられた。このデザインに覚えがある。ゲームでアダルベルト王太子の魔力を封じた物。まさか私が見ることになるとは……。
扉がノックされたので起き上がる。寝巻きであろうと関係ない。私は堂々としていれば良い!
「おはようございます。エヴァンジェリーナ様」
入ってきたのはメイド服のラウラ。随分と丁寧なお辞儀をする。
「メイド服が良くお似合いね?でも本当に似合うのは、囚人服ではないかしら?」
「お元気そうで何よりでございます。我が主がお持ちです。お着替えを致しましょう」
「寝起きで頭が重いわ。体も怠い。もう少し寝るわ」
「十分に回復しておられるはずです。我が主の回復魔法は、素晴らしいですから」
主人とやらに随分陶酔している様だわ。目がイッてる。どうやら選択肢はないらしい。
「さぁ、お着替えを」
ラウラの言葉に、私はため息で答えた。
◇◇◇
青の様な緑の様な不思議な色のドレスだ。体に張り付く様に作られたドレス。サイズはオーダーメイドで作られた様にちょうど良い。どこで私のサイズを知ったのか……。想像すると気持ち悪くて吐きそうになる。
胸の部分は大きく開いていて、私の大きな胸を更に強調する。脚にも大胆なスリットが入っていて私の美脚を顕にする。随分と男の視線を集めるドレスだ。つまり色っぽい。色っぽすぎる!
ムカツくのはこのデザインを、私が嫌いじゃない事だ。今世の私は抜群にスタイルが良い。それは自分で見ても、惚れ惚れするくらいだ。
だったら見せつけなきゃダメでしょう⁉︎ そう思うからいつも私は大胆なドレスを着ていた。でも流石にここまでのドレスを着ると父が顔を歪める。父の気持ちも分かる。手塩にかけた一人娘が男を誘う様なドレスを着るのだ。それは私が親でも嫌だろうと思うから、わたし的には我慢していた。でも本当はここまで大胆でも良いと思っていた。
だから鏡に写る自分を見てついついニヤけてしまう。この大胆なドレスを着こなせるとは!異世界転生、悪役令嬢大歓迎だ!私はやはり美しい‼︎
鏡に写る私の胸元には血の様に赤い、ピジョン・ブラッドのルビー。
そう言えば、クローゼットの中のドレスは、デザインは違えど、色は全て同じだった。赤と、青銅色。
その理由は、この城の主人に対面した際に分かった。
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