228 / 273
第8章:王国決戦編
モンスターパニック2
しおりを挟む
拳に纏っていた炎を消し、ルースは大きく息を吐くとマルシェの方へと振り向いて手を差し出した。
「大丈夫か?」
「う、うん」
その手を掴みながら、立ち上がる。チラリと彼の後ろを見ると、そこにはつい先程まで彼女の教室で猛威を振るっていた化け物が死んでいた。ルースが彼女の前に現れてまだ10分程しか経っていない。それなのにほぼ無傷でルースはその化け物に勝利していた。
「悪かったな。少し遅くなって」
「う、うん」
マルシェは目の前の危険が無くなり、唐突に周囲の様子を理解し、顔を蒼白にする。ガタガタと体が震え、ガチガチと歯を鳴らす。
「大丈夫、大丈夫だから」
そんな彼女をルースは抱きしめ、頭を優しく撫でる。
「う、うう、うわああああああん!」
ついには耐えきれなくなり、マルシェは大声で泣き始めた。ルースはそんな彼女を安心させるためにより一層強く抱きしめ、彼女が周囲を見ないで済むように、胸に顔を埋めさせた。
「マルシェ!」
アルトワールが教室に駆け込んでくる。彼女の泣き声が聞こえてきたため、異変があったのだと思い、息を荒くするほど全力で走ってきたのだ。
教室の中に入った彼女はその惨状に目を見開く。しかし、すぐに目を逸らし、泣き声のする方に目を向ける。ルースの腕の中にいるマルシェを確認し、彼女が無事である事が分かってホッと息をついた。
「マルシェ、大丈夫?」
「ア、アルるん、み、皆が、皆が!」
ルースの胸から離れてアルトワールの胸に飛び込む。マルシェの服についている血がアルトワールの服につくが、それを気にせず、激しく泣きじゃくる彼女をアルトワールは慰める。
「とりあえず教室から出て、第2演習場に行きましょう。避難場所になっているはずよ」
複数ある演習場は学生が模擬戦の時に使用するため、法術が外に出ないように強固な結界があり、緊急時の避難所としての役割を持っていた。第2演習場は、3年の校舎から最も近く、アルトワールの予想が正しければ、すでに多くの学生が集合しているはずだ。
「そうだな。マルシェ、動けるか?」
その質問にマルシェは首を横に振る。恐怖で腰が抜けてしまった様だった。
「分かった。じゃあ、俺の背に乗れ」
マルシェの前に背を向けて跪く。
「ほら、マルシェ」
アルトワールに促され、マルシェはヨロヨロとルースの背に乗った。
「周囲の警戒は任せた」
「ええ」
ルースとアルトワールは目配せすると、第2演習場に向けて走り出した。
~~~~~~~~
白い翼を持った化け物達が街を蹂躙する。歪ながら人の姿を保つものもいれば、白い翼を生やしただけで、見た目は完全に化け物のものもいる。その数は100を越え、オリジンの5分の1が既に焦土と化している。
「父上、準備が整いました」
「分かった。ならば至急駆除を始めろ」
息子のアスランにそう告げるとイースは眼下に広がる光景を忌々しく睨みつける。自分も今すぐにでも向かいたい所だが、立場がそれを許さない。彼の代わりにアスランが対処に当たる事となった。
「全く、こういう時ほど立場というものを忌々しく思うこともないな」
ボソリと呟くと後ろで動く気配がした。
「ナディアか」
後ろを向かずにイースが言う。
「あら~、お気づきでしたか~」
彼の後ろには20代ほどの見た目の蠱惑的な女性が立っていた。
「託宣か?」
「はい~。フィリア様から先程お言葉をいただきました~」
のんびりとした喋り方に若干イラつきつつも、イースは先を促す。だが彼女から告げられた事実は彼の想像を超えるほど最悪なものだった。
「使徒の一人が堕ちて、【法魔】が復活したそうです~」
「何!? それは真実なのか?」
「はい~。フィリア様は確かにそう言いました~」
「……誰が成った?」
「シオンちゃんです~」
脳裏に銀髪の少女が浮かぶ。才能で言えばはっきり言って自分すらも超えるだろう。まだ現時点では他の使徒達の方が強いだろうが、恐らく数年の内に追い越すだろう。それほど期待を向けていた少女だった。しかし『法魔』に成ったというのが事実であれば、もう彼女は人類の敵だ。早急に排除しなければ、この世界が滅びる。まだ成り立てのうちに殺す必要がある。
「グルードには悪い事をするな」
「そうですね~」
「出る」
そう言うとイースは装備を身につけ始めた。『法魔』を倒せる可能性があるのはこの国で彼しかいなかったからだ。
「全く、勇者は何をしているんだ」
勇者が誕生した事は聞いていた。それが人格破綻者であるという情報も掴んでいる。さらに言えばオリジンに向かっているという事も知っていた。それなのにいつまで待っても現れず、結局今に至る。勇者は四魔を倒すための兵器であり、その力があれば『法魔』も倒せるはずだった。
「ナディア、お前は避難していろよ」
「分かってます~」
フィリアの言葉を受け取る彼女は国において重要な存在だ。その彼女を失うことは、他の使徒を失うことよりも重い。
「さて、行くとするか」
イースは先程感じた禍々しい力の波動の先を睨む。未だにそこから吹き荒れる嵐の様な気配に向かって、執務室の窓から飛び出した。
~~~~~~~~~
「無事だったか。いないから心配したぞ。アルトワール」
ベインがルース達に近づいてくる。Eクラスの生徒達を引き連れてきた。どうやらアルトワールがいなかったので、探していたらしい。普段のやる気なさが薄れ、真剣な顔をしている。
「すいませんね。それよりも、今何が起こっているんですか?」
「俺も分からん。ただ既に複数のクラスが餌食になっているらしい。Cクラスはどうした?」
ベインの質問にマルシェがルースの背で震える。
「先生」
アルトワールが糾弾するように短く言う。
「そうか。分かった」
その意味を理解し、ベインはそれ以上何も言わなかった。
~~~~~~~~~
「ひいいいい! 来るな! 来るな!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」
ディアスは自分の背後から迫ってくる白い翼を生やしたキマイラから必死に逃げていた。お供のコルテも必死で彼を追いかける。既に彼以外の3人のお付きの者は全員後ろのキマイラに喰われている。
「ディ、ディアス様! 待ってください! 待って!」
コルテが叫ぶ。しかしディアスはそれを無視する。それどころか、口を微かに歪めて醜悪な顔を浮かべた。
「お、俺のために死ね!」
そう言うと、ディアスは走りながら小さく呪文を呟き、地面をサッと触った。その途端、コルテの前方に土の壁が出来た。急いでいるため、大した厚さではないので壊す事は容易なのだが、混乱しているコルテにはそれが分からなかった。
「ふ、ふざけるな! ふざけるなぁあああああああ! 殺してやる! 殺してやるぞ! ディアスゥゥゥゥゥゥ!」
壁をガンガンと殴り、コルテは怨嗟の叫びを上げる。そんな彼の後ろでザッザッザッとキマイラが近づいてくる音がした。恐る恐るコルテが振り返ると、そこには涎を垂らしてグルグルと唸るキマイラがいた。
「あ、ああ、あああああ! 許してください! お願いです! 殺さないで! 殺さな……」
コルテの首にキマイラが噛み付く。真っ赤な血を噴き出すと同時に、喉笛を喰い千切られた。出血が止まらず、コルテは思わず喉笛を抑える。痛みよりも恐怖で感覚が麻痺していた。
「…………!」
声にならない叫び声が響きわたり、そのまま彼はキマイラに切り裂かれた。
~~~~~~~~~
「助かった!」
ディアスが第2演習場に入ってくる。いつものお付きは誰もおらず、荒い息を吐き、所々服が汚れている。
「ディアスか。お前一人か? いつも連れている奴らはどうした?」
ベインが話しかける。ディアスは引き攣った笑みを浮かべる。まるで無理矢理笑おうとしているかのようだった。
「他の奴らとは途中で逸れてしまいました」
どことなく怪しさがあるものの、今はそこを追求している時間はなかった。
「……そうか」
「きゃあああああああ!」
突然女生徒の悲鳴がきこえてきた。
「なんだ?」
ベインがそちらに目を向けると、演習場の入り口に白い翼を生やしたキマイラがいた。その大きさは先程ディアスが見たサイズよりも一回り大きくなっていた。
「あ、あいつは!」
「知っているのか?」
「コルテは、コルテは何をしているんだ!」
ベインの質問に答えず、ディアスは頭を掻きむしる。
「……ルース」
「なんすか?」
「あのキマイラ、倒せそうか?」
その言葉に、ルースはキマイラの方を見る。力は未知数だが、あまり恐怖は感じない。勝てるかは分からないが、負けない自信はある。
「多分行けます」
「そうか。まあ単騎では無理だろうからアルトワール、お前も行け」
「ええ!? 何で私が!」
アルトワールはマルシェのそばに座っていた。突然声をかけられた上に、ベインの言葉が理解できなかった。
「テメェがいつもサボってんのは知ってんだよ。たまには役に立ちやがれ」
「で、でもマルシェが」
「そいつは俺が見ておく。だからさっさと行け!」
その言葉に、アルトワールは渋々と立ち上がる。彼女が離れてしまう事を理解し、マルシェがギュッとアルトワールの服を掴んできた。
「マルシェ、ちょっと行ってくるね。大丈夫、絶対に帰ってくるから」
アルトワールはマルシェの頭を撫でる。
「……うん」
それに小さく頷いて答えた。
「ふっ、久々のタッグだな」
「そういう暑苦しいのパス」
「いやいや、パスとかねえから。気合入れていこうぜ!」
ルースがアルトワールの肩をバシバシ叩く。
「はあ、だからあんたと組むのって面倒なのよ」
叩かれた肩をさすりながらアルトワールはボヤいた。
「大丈夫か?」
「う、うん」
その手を掴みながら、立ち上がる。チラリと彼の後ろを見ると、そこにはつい先程まで彼女の教室で猛威を振るっていた化け物が死んでいた。ルースが彼女の前に現れてまだ10分程しか経っていない。それなのにほぼ無傷でルースはその化け物に勝利していた。
「悪かったな。少し遅くなって」
「う、うん」
マルシェは目の前の危険が無くなり、唐突に周囲の様子を理解し、顔を蒼白にする。ガタガタと体が震え、ガチガチと歯を鳴らす。
「大丈夫、大丈夫だから」
そんな彼女をルースは抱きしめ、頭を優しく撫でる。
「う、うう、うわああああああん!」
ついには耐えきれなくなり、マルシェは大声で泣き始めた。ルースはそんな彼女を安心させるためにより一層強く抱きしめ、彼女が周囲を見ないで済むように、胸に顔を埋めさせた。
「マルシェ!」
アルトワールが教室に駆け込んでくる。彼女の泣き声が聞こえてきたため、異変があったのだと思い、息を荒くするほど全力で走ってきたのだ。
教室の中に入った彼女はその惨状に目を見開く。しかし、すぐに目を逸らし、泣き声のする方に目を向ける。ルースの腕の中にいるマルシェを確認し、彼女が無事である事が分かってホッと息をついた。
「マルシェ、大丈夫?」
「ア、アルるん、み、皆が、皆が!」
ルースの胸から離れてアルトワールの胸に飛び込む。マルシェの服についている血がアルトワールの服につくが、それを気にせず、激しく泣きじゃくる彼女をアルトワールは慰める。
「とりあえず教室から出て、第2演習場に行きましょう。避難場所になっているはずよ」
複数ある演習場は学生が模擬戦の時に使用するため、法術が外に出ないように強固な結界があり、緊急時の避難所としての役割を持っていた。第2演習場は、3年の校舎から最も近く、アルトワールの予想が正しければ、すでに多くの学生が集合しているはずだ。
「そうだな。マルシェ、動けるか?」
その質問にマルシェは首を横に振る。恐怖で腰が抜けてしまった様だった。
「分かった。じゃあ、俺の背に乗れ」
マルシェの前に背を向けて跪く。
「ほら、マルシェ」
アルトワールに促され、マルシェはヨロヨロとルースの背に乗った。
「周囲の警戒は任せた」
「ええ」
ルースとアルトワールは目配せすると、第2演習場に向けて走り出した。
~~~~~~~~
白い翼を持った化け物達が街を蹂躙する。歪ながら人の姿を保つものもいれば、白い翼を生やしただけで、見た目は完全に化け物のものもいる。その数は100を越え、オリジンの5分の1が既に焦土と化している。
「父上、準備が整いました」
「分かった。ならば至急駆除を始めろ」
息子のアスランにそう告げるとイースは眼下に広がる光景を忌々しく睨みつける。自分も今すぐにでも向かいたい所だが、立場がそれを許さない。彼の代わりにアスランが対処に当たる事となった。
「全く、こういう時ほど立場というものを忌々しく思うこともないな」
ボソリと呟くと後ろで動く気配がした。
「ナディアか」
後ろを向かずにイースが言う。
「あら~、お気づきでしたか~」
彼の後ろには20代ほどの見た目の蠱惑的な女性が立っていた。
「託宣か?」
「はい~。フィリア様から先程お言葉をいただきました~」
のんびりとした喋り方に若干イラつきつつも、イースは先を促す。だが彼女から告げられた事実は彼の想像を超えるほど最悪なものだった。
「使徒の一人が堕ちて、【法魔】が復活したそうです~」
「何!? それは真実なのか?」
「はい~。フィリア様は確かにそう言いました~」
「……誰が成った?」
「シオンちゃんです~」
脳裏に銀髪の少女が浮かぶ。才能で言えばはっきり言って自分すらも超えるだろう。まだ現時点では他の使徒達の方が強いだろうが、恐らく数年の内に追い越すだろう。それほど期待を向けていた少女だった。しかし『法魔』に成ったというのが事実であれば、もう彼女は人類の敵だ。早急に排除しなければ、この世界が滅びる。まだ成り立てのうちに殺す必要がある。
「グルードには悪い事をするな」
「そうですね~」
「出る」
そう言うとイースは装備を身につけ始めた。『法魔』を倒せる可能性があるのはこの国で彼しかいなかったからだ。
「全く、勇者は何をしているんだ」
勇者が誕生した事は聞いていた。それが人格破綻者であるという情報も掴んでいる。さらに言えばオリジンに向かっているという事も知っていた。それなのにいつまで待っても現れず、結局今に至る。勇者は四魔を倒すための兵器であり、その力があれば『法魔』も倒せるはずだった。
「ナディア、お前は避難していろよ」
「分かってます~」
フィリアの言葉を受け取る彼女は国において重要な存在だ。その彼女を失うことは、他の使徒を失うことよりも重い。
「さて、行くとするか」
イースは先程感じた禍々しい力の波動の先を睨む。未だにそこから吹き荒れる嵐の様な気配に向かって、執務室の窓から飛び出した。
~~~~~~~~~
「無事だったか。いないから心配したぞ。アルトワール」
ベインがルース達に近づいてくる。Eクラスの生徒達を引き連れてきた。どうやらアルトワールがいなかったので、探していたらしい。普段のやる気なさが薄れ、真剣な顔をしている。
「すいませんね。それよりも、今何が起こっているんですか?」
「俺も分からん。ただ既に複数のクラスが餌食になっているらしい。Cクラスはどうした?」
ベインの質問にマルシェがルースの背で震える。
「先生」
アルトワールが糾弾するように短く言う。
「そうか。分かった」
その意味を理解し、ベインはそれ以上何も言わなかった。
~~~~~~~~~
「ひいいいい! 来るな! 来るな!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!」
ディアスは自分の背後から迫ってくる白い翼を生やしたキマイラから必死に逃げていた。お供のコルテも必死で彼を追いかける。既に彼以外の3人のお付きの者は全員後ろのキマイラに喰われている。
「ディ、ディアス様! 待ってください! 待って!」
コルテが叫ぶ。しかしディアスはそれを無視する。それどころか、口を微かに歪めて醜悪な顔を浮かべた。
「お、俺のために死ね!」
そう言うと、ディアスは走りながら小さく呪文を呟き、地面をサッと触った。その途端、コルテの前方に土の壁が出来た。急いでいるため、大した厚さではないので壊す事は容易なのだが、混乱しているコルテにはそれが分からなかった。
「ふ、ふざけるな! ふざけるなぁあああああああ! 殺してやる! 殺してやるぞ! ディアスゥゥゥゥゥゥ!」
壁をガンガンと殴り、コルテは怨嗟の叫びを上げる。そんな彼の後ろでザッザッザッとキマイラが近づいてくる音がした。恐る恐るコルテが振り返ると、そこには涎を垂らしてグルグルと唸るキマイラがいた。
「あ、ああ、あああああ! 許してください! お願いです! 殺さないで! 殺さな……」
コルテの首にキマイラが噛み付く。真っ赤な血を噴き出すと同時に、喉笛を喰い千切られた。出血が止まらず、コルテは思わず喉笛を抑える。痛みよりも恐怖で感覚が麻痺していた。
「…………!」
声にならない叫び声が響きわたり、そのまま彼はキマイラに切り裂かれた。
~~~~~~~~~
「助かった!」
ディアスが第2演習場に入ってくる。いつものお付きは誰もおらず、荒い息を吐き、所々服が汚れている。
「ディアスか。お前一人か? いつも連れている奴らはどうした?」
ベインが話しかける。ディアスは引き攣った笑みを浮かべる。まるで無理矢理笑おうとしているかのようだった。
「他の奴らとは途中で逸れてしまいました」
どことなく怪しさがあるものの、今はそこを追求している時間はなかった。
「……そうか」
「きゃあああああああ!」
突然女生徒の悲鳴がきこえてきた。
「なんだ?」
ベインがそちらに目を向けると、演習場の入り口に白い翼を生やしたキマイラがいた。その大きさは先程ディアスが見たサイズよりも一回り大きくなっていた。
「あ、あいつは!」
「知っているのか?」
「コルテは、コルテは何をしているんだ!」
ベインの質問に答えず、ディアスは頭を掻きむしる。
「……ルース」
「なんすか?」
「あのキマイラ、倒せそうか?」
その言葉に、ルースはキマイラの方を見る。力は未知数だが、あまり恐怖は感じない。勝てるかは分からないが、負けない自信はある。
「多分行けます」
「そうか。まあ単騎では無理だろうからアルトワール、お前も行け」
「ええ!? 何で私が!」
アルトワールはマルシェのそばに座っていた。突然声をかけられた上に、ベインの言葉が理解できなかった。
「テメェがいつもサボってんのは知ってんだよ。たまには役に立ちやがれ」
「で、でもマルシェが」
「そいつは俺が見ておく。だからさっさと行け!」
その言葉に、アルトワールは渋々と立ち上がる。彼女が離れてしまう事を理解し、マルシェがギュッとアルトワールの服を掴んできた。
「マルシェ、ちょっと行ってくるね。大丈夫、絶対に帰ってくるから」
アルトワールはマルシェの頭を撫でる。
「……うん」
それに小さく頷いて答えた。
「ふっ、久々のタッグだな」
「そういう暑苦しいのパス」
「いやいや、パスとかねえから。気合入れていこうぜ!」
ルースがアルトワールの肩をバシバシ叩く。
「はあ、だからあんたと組むのって面倒なのよ」
叩かれた肩をさすりながらアルトワールはボヤいた。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されまして(笑)
竹本 芳生
恋愛
1・2・3巻店頭に無くても書店取り寄せ可能です!
(∩´∀`∩)
コミカライズ1巻も買って下さると嬉しいです!
(∩´∀`∩)
イラストレーターさん、漫画家さん、担当さん、ありがとうございます!
ご令嬢が婚約破棄される話。
そして破棄されてからの話。
ふんわり設定で見切り発車!書き始めて数行でキャラが勝手に動き出して止まらない。作者と言う名の字書きが書く、どこに向かってるんだ?とキャラに問えば愛の物語と言われ恋愛カテゴリーに居続ける。そんなお話。
飯テロとカワイコちゃん達だらけでたまに恋愛モードが降ってくる。
そんなワチャワチャしたお話し。な筈!
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
作業厨から始まる異世界転生 レベル上げ? それなら三百年程やりました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
第十五回ファンタジー小説大賞で奨励賞に選ばれました!
4月19日、一巻が刊行されました!
俺の名前は中山佑輔(なかやまゆうすけ)。作業ゲーが大好きなアラフォーのおっさんだ。みんなからは世界一の作業厨なんて呼ばれてたりもする。
そんな俺はある日、ゲーム中に心不全を起こして、そのまま死んでしまったんだ。
だけど、女神さまのお陰で、剣と魔法のファンタジーな世界に転生することが出来た。しかも!若くててかっこいい身体と寿命で死なないおまけつき!
俺はそこで、ひたすらレベル上げを頑張った。やっぱり、異世界に来たのなら、俺TUEEEEEとかやってみたいからな。
まあ、三百年程で、世界最強と言えるだけの強さを手に入れたんだ。だが、俺はその強さには満足出来なかった。
そう、俺はレベル上げやスキル取得だけをやっていた結果、戦闘技術を上げることをしなくなっていたんだ。
レベル差の暴力で勝っても、嬉しくない。そう思った俺は、戦闘技術も磨いたんだ。他にも、モノづくりなどの戦闘以外のものにも手を出し始めた。
そしたらもう……とんでもない年月が経過していた。だが、ここまでくると、俺の知識だけでは、出来ないことも増えてきた。
「久しぶりに、人間に会ってみようかな?」
そう思い始めた頃、我が家に客がやってきた。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
かぶっていた猫が外れたら騎士団にスカウトされました!
灯倉日鈴(合歓鈴)
ファンタジー
伯爵令息にプロポーズされて幸せ絶頂期だったエレノアは、恋敵に階段から突き飛ばされたことで並外れた身体能力がバレてしまい、婚約破棄されてしまう。
落ち込む彼女の前に、王国騎士団に所属する第三王子フィルアートが現れる。
「王国騎士団に入れ、エレノア・カプリース」
「やだ」
騎士とか剣術とか、そんな汗臭い熱血青春はお断り!
……それなのに、結局騎士団に入ることになって……。
ワケアリ令嬢と有能(だけど恋愛面ではポンコツ)王子、そして二人を取り巻く人々と魔獣の騒がしい日々。
※以前投稿した作品を長編用に設定を整え書き直しました。
※カクヨム様にも投稿しています。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
中二病ドラゴンさんは暗黒破壊神になりたい
禎祥
ファンタジー
俺様は暗黒破壊神ルッスクーリタ!
え? 何で笑うの?
高校生活第一日目にして「中二病乙w」なんて笑われ避けられボッチな俺様。暗黒破壊神は孤高で高貴な存在なのだ! だから友達……コホン、下僕など要らんのだ!
なんて一匹狼を気取っていた俺様。
ある朝気づけばドラゴンになっていた――おおおおっ! 俺様、格好いいではないか! やはりドラゴンに生まれたからには、最強を目指さねばなっ!! そんでもって、今度こそ本当の暗黒破壊神に……え? 暗黒破壊神もういるの? 誰だそいつは!? 俺様を差し置いて暗黒破壊神を名乗るなど、許せん!!
俺様こそ真の暗黒破壊神! 偽物の暗黒破壊神など俺様が倒してやる!
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
中二病気取りの転生者が織りなす痛い系コメディです。ニヤっと笑っていただけたら嬉しいです。
最初からグロ表現あるので耐性のない方は回れ右して下さい。
二話目に挿入したイラストは皆鈴さん(Twitter→@minarin_narou)さんが描いてくださいましたヾ(=゚ω゚=)ノシ
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる