76 / 273
第4章:学園編
お茶会2
しおりを挟む
「学校二日目はどうだった?確か能力測定したんでしょ?」
ゆっくりとお茶を飲んでいると、テレサが三人に聞いてきた。
「まあまあかな。なんかあんまり大したことなかったよ」
「まあぼちぼちって感じかな。ただただめんどくさかったよ」
「えー、私はとにかく疲れたなー。大体私は治癒系の能力しかないんだから、戦闘とか、的当てとか難しかったよ」
「ふむふむ、そういえば一年生の時の能力測定って私の時もそんな感じだったかなぁ。担任の人はどう?どんな先生?」
「僕のクラスはガバルっていう男の先生だったよ」
「嘘!ガバル先生なの!?あのカツラと揉み上げの!?」
「あ、やっぱりそうなの?なんかすごい生え際が不自然で揉み上げもすごいからみんな笑うの我慢してた」
「あー、やっぱり…私も一年の時の担任の先生だったんだけど、一度授業中にカツラが凄くズレたことがあったなあ。あの時の先生の顔が未だに忘れられないわ、ふふふ…。それでマルシェたちはどんな先生だった?同じクラスなのよね?」
「うん、なんとね私達のクラスの担任は元近衛騎士団副団長のベイン・レシオンだったの!すんごいやる気ない先生だった!」
「ああ、最初のホームルームから二日酔いだって言って寝始めたしな」
「えっ!ベイン先生ってそんな人なの?確か副団長時代は切れ者でかっこよかったんだけど?」
「あー、うん。最初は他の奴らも興奮してたんだけどさ。途中から全くやる気が無いってことが分かって、しかも睡眠の邪魔をすると滅茶苦茶切れるからもう腫れ物扱いだよ」
「ウンウン、すでに何人もあの人の餌食になってるもんね」
「へー、そうなんだ。なんか意外だなー。ね、シオン?」
「確かにね。あの人って何を教えることになってるの?」
「えっと、確か世界史だったかな?どんな風に世界ができたか~みたいなやつ」
「へえ、じゃあ僕のクラスでも教えるのかな?少し楽しみだね」
「ねえ、ガバル先生はなんの授業の先生なの?」
「ああ、あの人は法術の応用理論についてだよ」
「えー、なんかめんどくさそう…」
「でもカツラで、揉み上げもすごいけどいい先生よ。教え方もすごいわかりやすいし、私達の代でも人気の先生だったんだから」
「うっそ!信じられない。僕なら絶対授業よりそっちに集中しちゃいそう」
「ふふふ…そうね。あ、そういえばジンくんクラスメイトはどう?面白い子はいた?」
「えっととりあえず同じ寮室のやつとは仲良くなったよ。ルースってやつなんだけどさ。すごい田舎臭くて妙に自信家なやつなんだよ。結構間抜けみたいで一番最初にベイン先生に吹っ飛ばされた」
「へえ、面白そうね。どんなことしたの?」
「遅刻して、大声で教室に入ったら、二日酔いでダウンしていた先生の逆鱗に触れた」
「初日から遅刻したの!?なんて言うか凄い豪胆な子ね。マルシェはどう?」
「んー、まあ何人かとは話したんだけどね。なんだろ?二人と話してたのを見られてたのか、みんな二人のことを聞きたがってくるんだよねぇ」
「あらあら、それは…」
「うん、だから適当に流してるよ。あ、でも一人面白い子がいるよ。エルマーっていう男の子なんだけどね。ものっすごいシスコンで、ずっとお姉さんの話をしてるんだ。お姉さん3年生らしいから、もしかしたらテレサちんの知り合いかも。サラ・オプファーって言うんだけど」
「ああ、サラちゃんね。そういえばサラちゃんの弟が入ったんだっけ。どんな子?かわいい?」
「うん、なんか小動物みたいな感じ。凄く餌付けしたくなる」
「サラちゃんもそんなこと言ってたなー。今度見に行こうかしら。シオンの方はどう?確か今年はなかなか面白そうな子が入ったんでしょ。アレキウス様のご子息とか」
「あー、うん。なんて言うか声が大きくていつも周りにお付きのものを侍らせてる感じで僕はあんまり好きじゃないな。しかも俺の方が強い~みたいな感じで妙に対抗意識燃やしてくるから、まだ二日しか一緒のクラスじゃないけど、なんか疲れちゃうよ」
「確かにそれは面倒ね。でも喧嘩を売ってきても買っちゃダメよ?」
「わ、分かってるよ…」
「本当にー?シオン嘘つく時いつも目が左の方見るんだけどなぁ?」
「う、嘘じゃないよ!多分…きっと…そ、そんなことよりテレサの方はどうなのさ!?」
「あ、そうそう!アスラン様と同じクラスなんでしょ?」
「あー、アスランくんか。なんかいつも誰かに囲まれてて大変そうよ。この前なんかストーカーにつけられたって言ってたわ。怖いわよねー」
「マジかよ、そんなことする女子がいるのか…」
「嘘!本当に!?」
マルシェがそれからアスランのことについてテレサに尋ね始めた。
それを眺めているとシオンがジンの袖を引っ張り顔を耳元に近づけてきた。突然の行動にジンは少し緊張する。
「あんなこと言ってたけどテレサなんか今まで七、八人に後をつけられてたんだよ。あの子が気がつかなかっただけで…」
耳元で吹きかけられる息が少しくすぐったい。それと同時にジンは確信した。
「なるほど、それで全員お前が救護院送りにしたと」
「当然」
シオンの方に目を向けると、得意げな顔をしている。以前に見たようにシオンはテレサを守るために色々やっているらしい。
未だにアスランのことについて話し続けている。彼女たちを放置してジンはシオンに小声で尋ねる。
「なあ、なんでお前はそんなにテレサのこと大事にしてるんだ?」
「うーん、なんでだろう?幼馴染だからかな?」
「それだけでか?」
「え?んー、まあ強いて言えば、テレサって放っておいたらどんな目にあうか分からなそうじゃない?だからかな」
「あー、なるほど。確かにそんな感じするわ」
そんなこんなで彼女と会話を続けていく。そしてふとジンはシオンとまともに話していることに気がついた。そのことに内心驚く。数時間前は睨みつけられていたはずだが、何度も会う内に彼女も少し自分に心を開いたのだろうか。思い返せば、からかったことと下着を覗いたことしか記憶にないのだが。しかしそのことは指摘しない。わざわざ関係を拗らせる気はジンには元より無い。
おそらくこれがシオンの元々の性格なのだろう。短気で見栄っ張りだが人懐っこい少女のようだ。一度話し始めると自然と言葉が出てきた。
「それよりさ…、お前って、あの…いや、やっぱいいや」
しばらく話していると突然シオンが何かを話そうとしていい渋った。
「なんだよ?」
「いや、やっぱいいって。多分違うから…」
「ん?よく分からないけど、まあいいよ」
そこでジンとシオンは二つの視線を感じた。いつの間にか話し終えていたらしい。ニヤニヤと言う擬音が聞こえてきそうないやらしい笑みを浮かべたテレサとマルシェが二人を観察していたのだ。
「ねえねえ、どう思いますテレサちん?」
「うーん、黒に近い灰色かなぁ?あんな男の子と楽しそうに話しているシオンって初めて見たし。マルシェはどう思う?」
「同じく」
ヒソヒソと何かを話しているが小さすぎて聞き取れない。だがシオンは二人に見られていたことが恥ずかしかったのか耳を赤くしていた。
「おほん。ズバリ、シオンくんはジンくんのことをどう思っているのかな?」
テレサと話し終えたマルシェが唐突にそんなことを聞いてきた。
「どうって…」
何を聞かれたのか、分からずキョトンとした表情を浮かべる。
「敵…知り合い?…やなやつ?かな」
「むう、そう言うことを聞いてるんじゃないんだよ。ねえ、テレサちん?」
「そうそう、なんかこうもっと甘酸っぱい感じの…」
「あの、それ俺の前で話すような内容じゃなくないか?」
なんとなく気まずく思い、ジンが口を挟む。
「えー、当事者がいないと面白くないじゃん!」
「そうだそうだ!それならジンくんはシオンのことどう思ってるの?」
マルシェの言葉に賛同してテレサが同じ質問をジンに聞いてくる。
「いや、どうって、このタイミングで聞く?今俺シオンに嫌なやつ扱いされたばかりなんだけど…」
ジンが言い淀むと、何を聞かれていたのかようやく理解したらしいシオンが顔を赤くして二人を止めようとする。
「もう終わり!この話は終わり!それにほら、そろそろ暗くなってきたし帰らないと!特にテレサとマルシェは通いなんだから、最近夜道は危ないって言うし!解散解散!」
「えー、もうちょっと話そうよー。ね、テレサちん?」
「そうそう、もう少しだけ。お願いシオン?」
テレサが手を組んでシオンを見つめる。
「うっ、ジ、ジンもそう思うよね?ね?」
「あ、ああ。それにほら俺たち明日が授業初日な訳だし、今日の能力測定で疲れているから、さっさと帰って休まないと明日に響くかもしれないだろ?」
「そ、そうその通り!だから解散、解散!」
未だに不満そうなテレサとマルシェを強引に立たせる。その後テレサが渋々と会計を済ませると彼らは店の前で別れた。シオンはこれからテレサを家まで送って行くらしい。
「それじゃあ私たちも行こっか?」
「ああ」
そしてジンは半ば強引にマルシェを家まで送ることになった。
ゆっくりとお茶を飲んでいると、テレサが三人に聞いてきた。
「まあまあかな。なんかあんまり大したことなかったよ」
「まあぼちぼちって感じかな。ただただめんどくさかったよ」
「えー、私はとにかく疲れたなー。大体私は治癒系の能力しかないんだから、戦闘とか、的当てとか難しかったよ」
「ふむふむ、そういえば一年生の時の能力測定って私の時もそんな感じだったかなぁ。担任の人はどう?どんな先生?」
「僕のクラスはガバルっていう男の先生だったよ」
「嘘!ガバル先生なの!?あのカツラと揉み上げの!?」
「あ、やっぱりそうなの?なんかすごい生え際が不自然で揉み上げもすごいからみんな笑うの我慢してた」
「あー、やっぱり…私も一年の時の担任の先生だったんだけど、一度授業中にカツラが凄くズレたことがあったなあ。あの時の先生の顔が未だに忘れられないわ、ふふふ…。それでマルシェたちはどんな先生だった?同じクラスなのよね?」
「うん、なんとね私達のクラスの担任は元近衛騎士団副団長のベイン・レシオンだったの!すんごいやる気ない先生だった!」
「ああ、最初のホームルームから二日酔いだって言って寝始めたしな」
「えっ!ベイン先生ってそんな人なの?確か副団長時代は切れ者でかっこよかったんだけど?」
「あー、うん。最初は他の奴らも興奮してたんだけどさ。途中から全くやる気が無いってことが分かって、しかも睡眠の邪魔をすると滅茶苦茶切れるからもう腫れ物扱いだよ」
「ウンウン、すでに何人もあの人の餌食になってるもんね」
「へー、そうなんだ。なんか意外だなー。ね、シオン?」
「確かにね。あの人って何を教えることになってるの?」
「えっと、確か世界史だったかな?どんな風に世界ができたか~みたいなやつ」
「へえ、じゃあ僕のクラスでも教えるのかな?少し楽しみだね」
「ねえ、ガバル先生はなんの授業の先生なの?」
「ああ、あの人は法術の応用理論についてだよ」
「えー、なんかめんどくさそう…」
「でもカツラで、揉み上げもすごいけどいい先生よ。教え方もすごいわかりやすいし、私達の代でも人気の先生だったんだから」
「うっそ!信じられない。僕なら絶対授業よりそっちに集中しちゃいそう」
「ふふふ…そうね。あ、そういえばジンくんクラスメイトはどう?面白い子はいた?」
「えっととりあえず同じ寮室のやつとは仲良くなったよ。ルースってやつなんだけどさ。すごい田舎臭くて妙に自信家なやつなんだよ。結構間抜けみたいで一番最初にベイン先生に吹っ飛ばされた」
「へえ、面白そうね。どんなことしたの?」
「遅刻して、大声で教室に入ったら、二日酔いでダウンしていた先生の逆鱗に触れた」
「初日から遅刻したの!?なんて言うか凄い豪胆な子ね。マルシェはどう?」
「んー、まあ何人かとは話したんだけどね。なんだろ?二人と話してたのを見られてたのか、みんな二人のことを聞きたがってくるんだよねぇ」
「あらあら、それは…」
「うん、だから適当に流してるよ。あ、でも一人面白い子がいるよ。エルマーっていう男の子なんだけどね。ものっすごいシスコンで、ずっとお姉さんの話をしてるんだ。お姉さん3年生らしいから、もしかしたらテレサちんの知り合いかも。サラ・オプファーって言うんだけど」
「ああ、サラちゃんね。そういえばサラちゃんの弟が入ったんだっけ。どんな子?かわいい?」
「うん、なんか小動物みたいな感じ。凄く餌付けしたくなる」
「サラちゃんもそんなこと言ってたなー。今度見に行こうかしら。シオンの方はどう?確か今年はなかなか面白そうな子が入ったんでしょ。アレキウス様のご子息とか」
「あー、うん。なんて言うか声が大きくていつも周りにお付きのものを侍らせてる感じで僕はあんまり好きじゃないな。しかも俺の方が強い~みたいな感じで妙に対抗意識燃やしてくるから、まだ二日しか一緒のクラスじゃないけど、なんか疲れちゃうよ」
「確かにそれは面倒ね。でも喧嘩を売ってきても買っちゃダメよ?」
「わ、分かってるよ…」
「本当にー?シオン嘘つく時いつも目が左の方見るんだけどなぁ?」
「う、嘘じゃないよ!多分…きっと…そ、そんなことよりテレサの方はどうなのさ!?」
「あ、そうそう!アスラン様と同じクラスなんでしょ?」
「あー、アスランくんか。なんかいつも誰かに囲まれてて大変そうよ。この前なんかストーカーにつけられたって言ってたわ。怖いわよねー」
「マジかよ、そんなことする女子がいるのか…」
「嘘!本当に!?」
マルシェがそれからアスランのことについてテレサに尋ね始めた。
それを眺めているとシオンがジンの袖を引っ張り顔を耳元に近づけてきた。突然の行動にジンは少し緊張する。
「あんなこと言ってたけどテレサなんか今まで七、八人に後をつけられてたんだよ。あの子が気がつかなかっただけで…」
耳元で吹きかけられる息が少しくすぐったい。それと同時にジンは確信した。
「なるほど、それで全員お前が救護院送りにしたと」
「当然」
シオンの方に目を向けると、得意げな顔をしている。以前に見たようにシオンはテレサを守るために色々やっているらしい。
未だにアスランのことについて話し続けている。彼女たちを放置してジンはシオンに小声で尋ねる。
「なあ、なんでお前はそんなにテレサのこと大事にしてるんだ?」
「うーん、なんでだろう?幼馴染だからかな?」
「それだけでか?」
「え?んー、まあ強いて言えば、テレサって放っておいたらどんな目にあうか分からなそうじゃない?だからかな」
「あー、なるほど。確かにそんな感じするわ」
そんなこんなで彼女と会話を続けていく。そしてふとジンはシオンとまともに話していることに気がついた。そのことに内心驚く。数時間前は睨みつけられていたはずだが、何度も会う内に彼女も少し自分に心を開いたのだろうか。思い返せば、からかったことと下着を覗いたことしか記憶にないのだが。しかしそのことは指摘しない。わざわざ関係を拗らせる気はジンには元より無い。
おそらくこれがシオンの元々の性格なのだろう。短気で見栄っ張りだが人懐っこい少女のようだ。一度話し始めると自然と言葉が出てきた。
「それよりさ…、お前って、あの…いや、やっぱいいや」
しばらく話していると突然シオンが何かを話そうとしていい渋った。
「なんだよ?」
「いや、やっぱいいって。多分違うから…」
「ん?よく分からないけど、まあいいよ」
そこでジンとシオンは二つの視線を感じた。いつの間にか話し終えていたらしい。ニヤニヤと言う擬音が聞こえてきそうないやらしい笑みを浮かべたテレサとマルシェが二人を観察していたのだ。
「ねえねえ、どう思いますテレサちん?」
「うーん、黒に近い灰色かなぁ?あんな男の子と楽しそうに話しているシオンって初めて見たし。マルシェはどう思う?」
「同じく」
ヒソヒソと何かを話しているが小さすぎて聞き取れない。だがシオンは二人に見られていたことが恥ずかしかったのか耳を赤くしていた。
「おほん。ズバリ、シオンくんはジンくんのことをどう思っているのかな?」
テレサと話し終えたマルシェが唐突にそんなことを聞いてきた。
「どうって…」
何を聞かれたのか、分からずキョトンとした表情を浮かべる。
「敵…知り合い?…やなやつ?かな」
「むう、そう言うことを聞いてるんじゃないんだよ。ねえ、テレサちん?」
「そうそう、なんかこうもっと甘酸っぱい感じの…」
「あの、それ俺の前で話すような内容じゃなくないか?」
なんとなく気まずく思い、ジンが口を挟む。
「えー、当事者がいないと面白くないじゃん!」
「そうだそうだ!それならジンくんはシオンのことどう思ってるの?」
マルシェの言葉に賛同してテレサが同じ質問をジンに聞いてくる。
「いや、どうって、このタイミングで聞く?今俺シオンに嫌なやつ扱いされたばかりなんだけど…」
ジンが言い淀むと、何を聞かれていたのかようやく理解したらしいシオンが顔を赤くして二人を止めようとする。
「もう終わり!この話は終わり!それにほら、そろそろ暗くなってきたし帰らないと!特にテレサとマルシェは通いなんだから、最近夜道は危ないって言うし!解散解散!」
「えー、もうちょっと話そうよー。ね、テレサちん?」
「そうそう、もう少しだけ。お願いシオン?」
テレサが手を組んでシオンを見つめる。
「うっ、ジ、ジンもそう思うよね?ね?」
「あ、ああ。それにほら俺たち明日が授業初日な訳だし、今日の能力測定で疲れているから、さっさと帰って休まないと明日に響くかもしれないだろ?」
「そ、そうその通り!だから解散、解散!」
未だに不満そうなテレサとマルシェを強引に立たせる。その後テレサが渋々と会計を済ませると彼らは店の前で別れた。シオンはこれからテレサを家まで送って行くらしい。
「それじゃあ私たちも行こっか?」
「ああ」
そしてジンは半ば強引にマルシェを家まで送ることになった。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
王家から追放された貴族の次男、レアスキルを授かったので成り上がることにした【クラス“陰キャ”】
時沢秋水
ファンタジー
「恥さらしめ、王家の血筋でありながら、クラスを授からないとは」
俺は断崖絶壁の崖っぷちで国王である祖父から暴言を吐かれていた。
「爺様、たとえ後継者になれずとも私には生きる権利がございます」
「黙れ!お前のような無能が我が血筋から出たと世間に知られれば、儂の名誉に傷がつくのだ」
俺は爺さんにより谷底へと突き落とされてしまうが、奇跡の生還を遂げた。すると、谷底で幸運にも討伐できた魔獣からレアクラスである“陰キャ”を受け継いだ。
俺は【クラス“陰キャ”】の力で冒険者として成り上がることを決意した。
主人公:レオ・グリフォン 14歳 金髪イケメン
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜
月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。
蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。
呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。
泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。
ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。
おっさん若返り異世界ファンタジーです。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる